2-4 「医師向け英語勉強法」から万人向けの英語学習論へ

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こんにちは、ドクターNYです。医学の専門家として医学情報検索と英語学習を真面目にお話ししています。

さて、医学英語についてのお話しを中心に英語学習の問題点をお話ししてきました。そこから更に掘り下げて、それではどうすれば英語を自由に使いこなせる様になるのか、楽観論や英語ビジネス販売目的の奇策になることのない様に考えてみましょう。



専門と英語学習

 これまで立て続けに英語学習における「幻想」についてお話ししてきました。英語学習という一ビジネスジャンルが確実に存在する中、商品の販売を目的にした方法論は問題解決に真っ直ぐに向き合っているとは言えません。私は医師として診療と研究を当事者として行ってきた結果、ボリュームの大きい医学の勉強を全て英語日本語両方で消化するという方法をとったことで、高校までの英語教育と専門科目を勉強しただけで英語を使いこなせる様になりました。

その事を応用して、「好きこそものの上手なれ」の精神で自分の好きな事や身につけなければならない内容を英語で展開することを意識しながらやるだけで十分に身につける事ができるものだと思っています。私にとっては医学の勉強であったものが、生物学、数学などの専門科目や、音楽やスポーツやその他趣味について学ぶ時にそれを英語にする努力を重ねていけば確実に同じ事が起きると思っています。日本で暮らしていれば必要のないことでも、敢えて「英語でできなければ負け」の様な自分だけのゲーム感覚を導入することで自分だけの強力な英語学習コンテンツを用意することができるのです。

シンプルイズベスト!?の英語学習

 この勉強法は学校の英語の勉強を頑張るという殆どビジネスチャンスに繋がらない地味な方法から始まっていて、その後も地味な積み重ねを基本にしているので面白みに欠けるものです。そもそも、試験でいい点がとりたいと言われて「頑張って勉強してください」と言われているような感じで聞く人もいるかもしれません。

ーーですが、強調しておくべきことは言語学習はとてもシンプルなものだということです。ーー

 奇をてらったビジネス用の英語学習法に気を取られて、本来だれでも身につけられるはずの外国語を永遠に馴染めない不幸に見舞われないため、このシンプルな事実を確認しておく事がどうしても必要なのです。時計の針は戻せません。中学高校の英語を大事にしてこなかったので基礎的なところに不安があるかもしれません。ですが、シンプルでストレートな中学高校英語は後からでも身に付けられることでしょう。それぞれの学習者が勇気を持って課題に取り組まれることを望んでいます。

内容重視型(コンテンツに基づく)英語学習はなぜ効果的なのか?

 堅い話を続けると肩が凝りますのでもっと身近な例を挙げましょう。
まずその前に、医学生が医学を学ぶ時に英語を使えば近道だと言いましたが、それは何故なのでしょう?おそらくキーポイントは

 1. 使えなければ困るという状況、
 2. 内容が生活や人生に直接関係していて飽きがこないこと
 3. インプット、アウトプット、復習と反復というステップを踏みやすい

 こういうことなのだと思います。言語学習には学習環境が重要だという説があります。それはまずは学習者の食事、安全、人間関係など学習以前の基本的欲求が満たされていることから始まりますが、他方で言語学習を頑張ることで、より便利で目的を達成できる状況になったり、今の状況を維持するためにはその言語が必要になる状況というのが言語学習の大きな動機になると考えられます。

 医学生の医学英語というのは、実は日本で免許をとってお医者さんをするだけなら必須ではないのですが、そこに動機付けをするための「つもり留学、つもり外国移住」という方法を導入することで医学を英語で展開するための学習をするモチベーションを維持することができます。
機会があればその具体的な方法をお話ししようと思っています。


もっと一般的な英語学習例

 さて、世の中にはもっと身近な英語学習の動機付けがあると思います。

 日本に住んでいる時から私と同じ様にネイティブでなくても英語を自在に扱える人たちをたくさん見てきました。例えば、単純に外国語を扱うこと自体に喜びを見出し、アナウンサーや映画俳優の様に喋れることが楽しくてしょうがない人たちです。中学生の教科書朗読教材を模写することから始めて、英語に接する機会を増やし、一度聞いた英語は自分のものになるまで熱心に繰り返したりします。そうすることで、ネイティブの様に喋れる日本人は比較的簡単に出来上がります。
 他には、交際相手や配偶者が外国人である人の中にもネイティブレベルの英語を扱う人がいます。日本人ではありませんが、英語圏の俳優さんは役柄によってイメージ通りの喋り方を身につけるため、英語の訛りの指導を受けてニューヨーク訛り、ボストン訛り、イギリスのコックニーを短期間で身につけたりします。どの例も、上の3つのポイントを満たしているのではないでしょうか?
それらの中の一部は、「仕事が欲しい」「交際相手が欲しい」「自分のアイデンティティの重要部分」などの人間の欲求にかなり深く関係しています。内容重視型の言語学習の本質というのはこういうところにあるのだと解釈しています。

差し迫った必要がない人にも有効な学習法を

 さて問題は、そういう根源的な欲求に訴えることがない生活の中でどうやって動機を見つけ出して維持していくのか、そのヒントがこのブログであればこの上ない喜びです。

 内容重視の英語、即ち必要性と動機付けが強い英語の反対が、いわゆる「英語が上達するための教材」だと思うのです。

 例えば、医学研究者が仕事で海外に拠点を移したい。留学や移住のために英語力が必要だとして、「英語のシャワーで聞いているだけで英語が上達する教材」を購入したとします。偶然それが自分の分野の内容である確率は0%でしょう。商社の人が駐在で仕事をするときの英会話や、高校生がホームステイするときのホストマザーとの会話、別に見たくもないジャンルの映画のセリフ回し、子供向けのアドベンチャー童話。そういう内容が入っているのではないでしょうか?診療や大学院の研究の合間に安くないお金を払ってその様な何の興味もない教材を使うのは苦痛であり、尚且つ大して役に立たないことでしょう。内容重視型の英語学習の正反対のことをわざわざするのは時間の無駄です。より良い学習法を目指して、ゲーム感覚で楽しく英語を身につけたいものだと思います。

 日本人が日本で日本人相手に暮らす時、そこには差し迫った英語の必要性がほとんどないのが英語学習の最大の弱点で、意識していないかもしれませんが多くの「時間やお金を割いても上達しない」日本人の姿は平和で比較的単一カラーの国の内部事情の裏表なのだと思います。それであれば、模擬的に「差し迫った必要性」を作り出すのが得策だと思います。











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