はじめまして!
シチュエーション台本を書いているあゆむです!(新参者)
シチュボの原作は台本を読む前に全体の把握にも使えるなと思ったので、こちらのブログでは私が書いている台本の原作小説を垂れ流していこうかなと思っています。
大して長くないので、寝る前にひとキュンしてもらえたら幸いです照
※投稿サイトに上げている既存の作品ですので、台本のご依頼を下さっているお話ではございません。ご安心ください。
「無自覚ヤンデレから自覚ヤンデレに変化したら」
【女性向け】
「アイツ、俺のLINEの既読はつけねぇくせに、Twitterのいいねはつける暇があるなんておかしいだろ」
自宅から彼女の行動を把握していたい俺は、LINEの返信が遅くなると必ずTwitterを開き彼女のアカウントが息しているか確認する。彼女はヘビーユーザーなので、LINEの返信が遅い時は大抵Twitterで息をしていることが多い。
LINEを送った時間からのつぶやがないので、俺は彼女に電話をかける。
しかし、コールばかりが積み重なり苛立ちが募っていく。結それは局途中で切ってしまい、再度彼女のアカウントを追えば、つぶやきこそしていないがしれ、と他人のつぶやきに「いいね」を押している。
明らかに俺を避けようとしているらしい。
俺はそれを許さない。Twitterのタイムライン警備で彼女の動向を探りを入れる。
「はぁ?! これ、俺のことか?」
『最近メールの返信が少しでも遅れると他のSNSまでチェックしてるみたいで、よく他のSNSのDMでも連絡してくる。心配してくれるのは嬉しいけど監視されてる気分になってくる。それでいて本人は自覚していないんだよね』と改行や行間無視の不満みっちりとした内容に、思わずスクロールの手を止める。
俺は彼女の裏垢も念頭に、アカウント名も色々と検索にかけているため偶然目にしたつぶやきだった。
強めのタップで過去のつぶやきも確認してみる。すると、いよいよ彼女くさい。
『私の彼氏は束縛が激しくて……彼氏さんは相手を尊重できる彼氏ですね! 羨ましい!!』他人のつぶやきにリプをしている。
まだ最後まで読んでいないが、ひとの彼氏を「彼氏さん」と称するあたり、ますます彼女くさくて思わず名前も顔も知らない「彼氏さん」とやらにつける限りの悪態をついた。
「ソイツの放任主義はお互いのためなんかじゃねぇからな。自分の自由のためなんだからな。その自由でソイツ何やってっか分かったもんじゃねぇ。俺はその自由を彼女に献上して、彼女と一緒がいいってだけだ。だから俺は束縛してるわけじゃない。行動制限なんてほとんどしてないし」
それからそのリプから目を背けるようにスクロールを再開させれば、俺の見知った画像が投稿されていた。これは完全に黒である。
俺のLINEには返さず、裏垢でひっそり息をする彼女。
「これは息抜きとは言わないからな。タグつけてメンヘラ彼氏なんて書きやがって。出会いを求めてんのか」
SNSの警備で浮上した浮気疑惑に、さらに俺は焦燥感に駆られて彼女に電話をかけた。
今度は切れるまで待つつもりだった。
四コール目で彼女の声が聞こえた。
タイムラインで見た彼女の不満や裏垢の存在発覚で、随分と時間の経過を感じたのか、久方ぶりの懐かしい声に心なしか安堵している俺がいる。
「よ、遅かったじゃん。何してたん?」と声色まで柔らかくなりやがる。
「あ、これから飲みに行くとこなんだ。誰と? 俺聞いてないよ」
行動制限はしていないから、報告義務が生じるのは当然である。だが、ここでも俺は詰め寄る雰囲気を出さない。
「友達となんだ……ふーん」
ここで男の存在については問わない。俺は束縛なんてしていないから。
「ちゃんと門限までに帰るんだよ。間に合いそうにないなら俺が迎えに行くから、連絡して」
そう確認した時だった。電話を切る間際に少し遠くだったが、男の声がした。
「——おい!!」と言ったところで既に切れた電話。
「友達、男。人数は何人だ。まさか二人なんて……いやいや、ないない。いくら裏垢で俺の愚痴を言ってったって、浮気されたことは一度もねぇんだから……」
言い聞かせても部屋にいやに静寂が包み込む。
「俺は束縛しない男だから、俺の自由だけを彼女に捧げてきた結果、浮気疑惑発覚か——しょうがない」
スマホを開いてSNS——否、GPS追跡アプリを開く。
束縛をしていない自覚があった俺は、万が一の程度でこっそりと彼女にもGPSアプリを入れていた。それがこのような形で功を奏すとは思ってもみなかったが。
点滅する彼女は店が立ち並ぶ通りでも、商店街でもない、ただの住宅ばかりある道でその点は移動をやめた。
「マンションじゃね?」今時のマップは衛星画像で建物の外観まで鮮明に見られる時代だ。時折その点がズレていようが、既に特定を完了した俺には関係のないことだった。
LINEで彼女にそれとなく迎えのための住所を聞いてみる。
普段なら出掛けている間でも返してくれるチャットがなかなか飛んでこない。
既にそのマンションに向かう俺は「マジで有りえねぇんだけど」と独りごちる。
予想したくないことも当然頭に過ぎりながらも、特定した住所に近づくにつれ、頭が冴えていくのがわかる。
冷水を頭から被ったような感覚のなか、あれから彼女からの返事はひとつも来ないまま玄関前まで着いた。
最後にもう一度LINEと他のSNSをチェックしてみたが、今度はどれにも息をしていなかった。
「これは束縛なんかじゃない。ただ、男と二人なら浮気の疑いで連れ帰る。そうじゃないなら、俺だけ帰る。それだけだ……」
そう言い聞かせて俺は躊躇いながらインターホンを押した。
「……」
貧乏ゆすりが始まる。
「……」
そして、再度インターホンを押す。
「……」
今度は連打する。
だが、応答はない。
「ここにいるはずなんだけど」
それでも反応ひとつない。
「おい! いるんだろ!!」
近所迷惑になるようドアを叩いて声を上げる。——「何か」に熱中していても流石に中断せざるを得ないように。
すると、ようやく痺れを切らしたのか、中から一人の男が出てきた。
明らかに機嫌が悪い。着ているシャツもなぜか「とりあえず着た」感じが否めない。
「俺の彼女がお邪魔してると思うんだけど」と名乗りも挨拶もなしに詰め寄った。
「んなわけねぇだろ。その靴、見覚えあんだけど」
シラを切る男に理路整然というが、内心はかなり穏やかではない。
彼女の見慣れた靴以外に、他人の靴は男の靴以外見当たらないのだ。
(クロ、か)
「ちょっと失礼」と足を中へ忍ばせてから強引に入りん込んだ。
その刹那、部屋から飛び出すように出てきた彼女。
はだけた衣服を寄せながら、蒼白した彼女が立っている。
その姿を見た男が背を向け、俺の彼女に怒号を浴びせた。
「何怒鳴ってんだよ。俺の彼女だっつってんだろ」
冷えた頭が沸騰しそうになる。「……お前、俺がいんの知ってて手ぇ出したな」。
バツが悪そうな男は、彼女の惨状を見られても尚、同意だと抜かす。
だが、俺はまだここへ来る道中で冷静を手放さなかったおかげか、その効力が今も続いている。
「だったら被害届、出してもいいよな。冤罪なら起訴されることもねぇだろ」
急展開で窮鼠に成り果てた男は、一番近くにいた俺に殴りかかる。
そこに、俺はすんでのところで男にスマホを突きつけた。「一歩も動くな。動いたら即通報。この中にはちゃんと証拠もある。通報されたくなかったら、言う通り大人しくしろ」。
大人しくなった男は、彼女に同意を脅迫し続ける。それに完全に萎縮している彼女を見れば、そこに同意はなかったのだと示してくれた。
俺にとっては唯一の救いだった。
「ほら、俺の上着羽織って」へたり込んだ彼女に近寄って腰を支える。
「歩けそうか」
それには返事も出来ない彼女。
「だよな。よし、乗れ」
彼女は素直に俺のいうことを聞いて、背中に体重を預ける。
すなんりと立ち上がった俺に、男は捨て台詞を吐く。『なんで教えてもいない俺らの居場所が分かったのか、よく考えてみろよ。気色悪ぃだろ』と。
論点のすげ替えを行いたかったのだろうが、俺には無駄だ。
「少なくとも、今回は俺のおかげで強姦未遂で終わったこと、まだ理解してないのか」
「彼女のこの怯えようを見れば、お前も十分気色悪い部類の人間だからな」と男を一瞥して家を出た。
一瞬男が詰まったような表情をしたようだが、最早どうでもいいことだ。
背中に伝わるじんわりとした温かさが、彼女の涙の量を教えてくれる。
すぐさま経緯を問いただしたいと思ったが、一番の被害者は俺ではなく彼女だ。これを何度も脳内で反芻させてから、「大丈夫? ……まぁ、大丈夫じゃないよな」という。
啜り泣く彼女が、部屋から飛び出してきたあの時言ってくれた。「助けて」と。とても小さくか細かったが、俺のスマホはきっと拾ってくれている。何より、俺が聞いた。顔面蒼白させながらも、俺に助けを求めた彼女の声を。
「ん? ああ、今はいいから」
謝罪を繰り返す彼女を背負ったまま、俺は真っ直ぐに近くの交番へと歩を進める。
すぐにでもシャワーを浴びさせて俺で上書きしたいところだが、些細な証拠も流すわけにはいかない。
彼女をおぶる俺の指が太ももに食い込む。
俺は彼女の不安要素——俺の不安要素は全て取り除いておきたいのだ。
「本当は今すぐ帰りたいよな。でも、ゴメンな。さっさとアイツを捕まえて欲しいから、警察のとこに行くぞ」
これに頷いた彼女は、道中、Twitterの裏垢の存在を明かしてくれた。
そして、俺のマメ過ぎる連絡に監視されている気分になっていたこと、それから彼女に手を出した男とは、SNSで知り合ったようで、俺が電話の最後に聞こえた男の声に驚いていたのは彼女も同様だったというのがことの顛末らしい。
どうやら、彼女は女が来るとばかり思っていたが、男が来て連れ去られたというのだから、今回は事件沙汰にせざるを得ない案件だった。
そもそもSNSで知り合った人間と安易に一人で会いに行こうとする彼女の気が知れない。
だが、それも俺に監視されていると思っている最中であれば、監視の目を掻い潜り羽を伸ばしたかったのだろうと多少の汲み取りはできる——と思う。
「実は俺も、裏垢は今日見つけたから、騙されるのは仕方ないとは頭では理解できるよ。だって、ソイツのリプに彼氏のことをめちゃくちゃ羨ましがってる風なこと書いてあったし」
「それについては、俺、言いたいことあってさ。監視してるつもりは全くなかったというか、拒否されないから今回は許されてると思ってた」と失敗歴を仄めかしながら吐露する。
「あくまで俺は俺に自由は要らなくて、その分彼女に時間を使いたい人だからさ。自然と連絡はこまめになるし、その連絡が途絶えると不安になる。それを当たり前にできたのはお前が初めてだった」
「だから、余計にお前を手放すなんて絶対考えられなくて。でも、束縛はしたくなくて。……まぁ、万が一の時まで使わなかったGPSアプリのおかげで今があるのは……気まずい話なんだけど」と少し頭を垂れて罪悪感を出しておく。
「俺のこと嫌いになったか?」
黙って首を横に振る彼女。
「じゃあ、SNSはもうやめとけ。監視されてる気分にさせたのは悪かったけど、行動制限とかに口出しはしてこなかっただろ? その束縛がなかった結果がこれだ。俺はもう俺の知らないところで、彼女が何かをしてるなんて不安だ」
実際に騙され連れ込まれたことに負い目を感じているのか、素直に了承してくれた。それと同時に、俺は笑みが溢れてしまう。
ひとつずつ、俺に従う彼女。俺に染まり、俺に安心を与えてくれる。
この負い目——利用しない手はない。
「監視されてるってのは感じる必要がないよう俺も気を付ける。その代わり、もう危ない目に遭わないように同棲、しようか。これから暫くは男が怖いだろうし」
これにもさほど考える間も無く頷いた。
彼女を横抱きではなく、背負っていて良かったと心底思った。
先刻まですっかり怯えて腰が抜けていた彼女に、笑顔を見せるわけにはいかない。
「おう、大人しく守られてろ」の言葉も心なしか弾んでいるかもしれない。
(なーんだ。お前に気を遣ってこそこそしなくても、常に一緒にいられる方法なんて、考えればいくらでもあるじゃねぇか。だったら次は……大学辞めせて仕事に就けないようにしてやらないとな)
——完——
ここまで読んでくださりありがとうございました泣
今回は見切り発車で書き進めてしまいました汗
さて、私の趣味がバレてしまったところで、肝心の台本ですが、演者以外の方が台本を見ても面白くないかなと思いましたので省略です汗
もし、気になっていただけましたら、下記より覗いてくださると幸いです!!