すぐにばれる持続化給付金の不正請求の手口と対策

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法律・税務・士業全般
 中小事業者への新型コロナ対策として、法人に200万円、個人事業者に100万円を給付する制度がある。条件は至って簡単で、前年同月と比較して、本年の特定月(任意の1カ月のみ)の売上が半分以下になればもらえる、という極めてシンプルな制度である。経済産業省としては緊急性を優先したため、受給のための添付書類も極めて簡単にした。その中心となるのが「2019年分所得税等の確定申告書控え」である。
 所得税等の確定申告書の提出は、納税者が自分で作成して押印して提出するもので、一年中税務署に提出できる。ただし、申告期限は毎年、翌年の3月15日とされ、その後の提出は期限後申告として区分されている。確定申告書の提出により、税金を納付することになる人は、期限を超過すると「加算税」という罰金がかかることになっている。本年は新型コロナのため、例外として申告期限が1カ月延長され4月16日(木)となった。なお、その後も条件付きで(コロナ理由であれば)期限内申告扱いされている。
 ところで、普通のサラリーマンや学生等所得の無い者は確定申告の義務がない。簡単に言うと、所得税等の確定申告書を提出する人は、それによって税金を納める人や払いすぎた税金が戻ってくる人である。税金が零円でも、確定申告書の提出は自由であるが、提出するメリットがない。ところが、本年は「持続化給付金」申請のため、所得税零円の期限後申告書(4月17日以降)の提出が急増した模様である。
 もちろん、昨年実際に事業を行っていたが結局利益が出ず、計算したところ税金が零円だったので確定申告をしなかった。そうであれば、問題ない。ところが、架空の事業を作り上げ、給付金を不正取得している者が多数存在する様である。その多くは、業者の口車に乗って不正に給付金を取得した人たちである。
 はっきり言おう。2019年分の所得税の確定申告書を、所得税零円で、本年4月17日以降に事業所得者として確定申告書を提出した人は、真っ先に疑われる。明らかに、給付金受給のための申告書の提出だからである。休業法人の期限後申告も同様である。
 現在、当局は不正指南業者(おそらく各種通報)のラインからの捜査がメインであるが、来年には、個人で不正に提出した人も対象になると考えられる。税務署から「税金ゼロ円の期限後申告者(個人・法人)のリスト」を入手するのは容易である。国税庁のコンピュータにはすべての申告事績が入力されている。不正に給付金を入手した人は、捜査が及ぶ前に、直ちに自主返納を申し出たほうがいい。本来詐欺罪の既遂であるが、発覚前で、組織的でなければ、おそらく「起訴猶予」で済む。そうすれば、前科はつかない。税理士がついていても関係ない。まもなく、不正加担税理士が逮捕される模様である。
 なお、そんな状況から、不正申告でない期限後申告の方は、真実事業を行っていた証拠を保全しておく必要がある。来年調査を受ける可能性がある。これは、重要である。
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