簡単な特許出願方法とは

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法律・税務・士業全般
 特許出願で膨大な書面及びデータを集めないと出願できないのではと考える方がおります。そこで、今回は代理人からみて最低限揃えて欲しい資料&その理由を並列して説明します。

 最低限揃えて欲しい書類は下記3点です。
 ①出願人・発明者(本名、住所、所在地)
 ②発明説明書類
 ③先行文献

 上記①~③を1つずつ説明していきます。

 ①は、最終的には願書に記載する内容です。これは誰が発明者ですか?出願人(将来的に特許権者となる人です。)は誰ですか?というのは基本的にお客様の会社ー従業員、共同研究者(複数の企業等で開発した場合)の間で決めることなので代理人側では特定できない事項なのです。
 ちなみに、複数の企業等で特許権は共有が可能です。この割合は均等でなく、偏らせることも可能です(「持分」といいます。)。持分が多いほど、収入(ライセンス収入等)を多く取れるメリットがありますが、一般的には、持分が高い人ほど維持費(特許料等)といった費用負担も大きいというデメリットもあります。

 ②は、発明を説明するものです。これは技術の内容によって相応しい資料が異なります。例えば、日用品等の発明の場合には、一般的には形状等に工夫がされる場合が多いので、外形を示す図、設計図、見本等です。一方で、ソフトウェアの発明の場合には、フローチャート等です。例えば、画像処理の発明ならば、画像処理を行う前と後を比較する前後の画像等が必要になってきます。このように、何らかの「図」にしてもらうとよろしいです。
 ちなみに、図面は法律等で形式に決まりがあります。例えば、原則として、特許出願はカラー図面が不可です。ただし、説明の上でカラーで出してもらえば、代理人側で加工(例えばグレースケール形式にする等です。)し、出願できるような形式に整えます。
 また、技術分野ごとに必要とされるものはある程度法令等で定まっていますが、それは代理人に発明を説明して判断してもらうのが一般的です。つまり、一度打ち合わせれば、足りない資料は代理人が要求します。それなので、技術分野がわかる程度のもので、一発で全資料を用意しなければならないといったことはありません。
 ただし、一度特許出願をしてしまうと原則として資料追加はできないので、出願までには少なくとも代理人に記載する資料のことは相談すべきでしょう。

 ③は、お客様が知っている出願したい発明に最も近い発明のことです。なお、形式は、どういった形式でもよい場合が多く、具体的には、論文、カタログ、ホームページ、雑誌、特許文献、流通している製品、及び、展示会で見かけた物等です。
 基本的に、特許出願は最も近しい発明を自己申告する義務があります。そして、この最も近しい発明に対して、出願する発明はどう異なるか?というストーリで記載していきます。
 なお、先行文献は特許事務所や調査会社に依頼して探してもらうことも可能です。一般に「先行文献調査」という依頼の仕方が可能です。ただし、大抵の場合には、出願手数料とは別料金です。

 以上のように、資料は究極的には代理人に発明の内容が伝われば形式は問いません。ただし、ある程度法令等で要求される書面があります。そのあたりは、お役所相手のことなので・・・という側面があります。足りなければ代理人が要求しますので形式等は代理人へ聞いてみるのが一番手っ取り早いと思います。
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