コンプレッサーというものはその性質上、色々なパラメーターをいじる必要のあるものなので、 非常にわかりづらいですね^^;
今回は「コンプレッサー」が何なのか?ということについて、誤解を恐れずw 超噛み砕いてお話ししてみます。
【コンプレッサーをわかりやすく言うと?】
これは単純化してみると「音量を自動調整してくれるもの」と考えると、コンプレッサーの機能が分かりやすくなるかと思います。
【どうして自動調整が必要なのか?】
では、どうして音量を自動的に調節する必要があるのでしょうか?
例えば、ひそひそ声で歌った歌声と、すごく大きい声で歌った歌声が同じトラックに入っていたとして、 ひそひそ声の部分が「普通くらいの音量」で聞こえるようにボリュームを上げて聴いていると、大きい歌声の部分に差し掛かると音量が大きすぎてうるさいのでボリュームを下げたくなりますよね?
1 つのトラックだけであれば手で調整すれば良いのかも知れないですが(それでも一々やるのは面倒 くさいと思いますが^^;)楽曲制作は基本的にはマルチトラック(複数のトラック)で行います。
そうなると一々手で調整するのも大変です。
コンプレッサーは、そのようなボリュームの調整を、事前に設定した通りに自動的に調整してくれるものなのです。
【コンプレッサーの基本的な効果】
つまり、「大きい音を小さく(圧縮)し、小さい音は大きくする」というのがコンプレッサーで得られる基本的な効果になります。
それにより音量が均一に揃うようになり、Mixがやりやすくなるんです!
※実際に熟練のエンジニアさんなどは、コンプを使わず、代わりにフェーダー(ボリュームを手で調整する装置)を使って、コンプレッサーと同じようなこと(大きい音は下げたり、小さい音をあげたり)をすして音量感を聴きやすく調整こともあります。(これを手コンプなんて言ったりします)
で、ここで勘違いしやすいのが、コンプレッサーは「小さい音」だけを大きくすることはできないと言うことです。
※例外的にそれが出来るプラグインがありますが、ここでは省略します。
出来るのは基本的には「大きい音を圧縮(小さく)する」ということだけなのです。
では、どうして先ほど基本的な効果をご説明した時に「小さい音は大きくする」ことが出来ると 言ったのかというと、コンプレッサーが下記の順番で処理をするからなのです。
【コンプレッサーの処理の流れ】
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1:一定以上の「大きい音」が入力される
2:その「大きい音」を、設定した値まで「圧縮(小さく)」する
→この段階でそのトラックの大きい音と小さい音の差は少なくなっています。
3:その状態で全体の音量を上げる
→この段階で「小さい音」の音量も上がります。
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そしてここからが分かりづらい部分なのですが、上記の動きを自動的に調整するために事前に色々と設定をしてあげないとなりません。 上記の処理の順番を見ながら、各段階で必要となるパラメーターを解説していきます。
【パラメータの解説】
※パラメータの名前は機種によって違ったり、他の項目があったり、無かったりしますが、基本的には下記が一般的です。
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1:一定以上の「大きい音」が入力される
→ここに関わってくるパラメーターは「Gain(ゲイン)」と「Threshold(スレッショルド)」です。
・「Gain(ゲイン)」
コンプレッサーに入力される時の音量です。コンプレッサーの種類(ア ナログ モデリング系等)によっては、ゲインを上げることで音に良い感じの歪み感(ドライブ 感)を加える事が出来る場合があります。
・「Threshold(スレッショルド)」
どの位の音量を「大きい音」として認識するかということで す。例えばここを-20db に設定した場合、入力された音量が-20db を上回ったらその音を「大きい音」と判断して、2の圧縮(小さく)するという処理をするようになります。 逆に言うとそれ以下の音量に対してはコンプレッサーは何もしません。
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2:その「大きい音」を設定した値まで圧縮(小さく)する
→ここに関わってくるのは「Ratio(レシオ)」と「Attack(アタック)」「Release(リリース)」です。
・「Ratio(レシオ)」
圧縮率のことです。入力音量に対して、圧縮する音量をどれ位にするかと いう事で、パラメータは 4:1 / 8:1 / ∞:1 等の比率で表されます。
※ちなみに∞:1 に設定すると Threshold で設定した音量以上には音が大きくなる事は無くなり、 リミッターと同じ働きになります。
・「Attack(アタック)」
入力音量が Threshold を超えた後に、どれ位の時間で圧縮をし始めるかという時間を調整します。単位はms(ミリセコンド:1000 分の 1 秒)です。
アタックを調整するとアタック感(音がバチっと鳴ってくる感じ)を調整できたり、音の前後感(音像を「前に出す」とか、「後ろに下げる」等という表現をしますが聞いたことあるでしょうか?)を調整出来たりします。
・「Release(リリース)」
圧縮後に元の音量まで戻す時間です。こちらも単位はms(ミリセコ ンド:1000 分の 1 秒)です。リリースの調整でいわゆる「コンプ感」という音の質感が変わっ てくるので凄く重要です。
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3:その状態で全体の音量を上げる
→ここに関わってくるのは「Output」です。
・「Output」
その名の通り最終的な音量です。ここを上げすぎると無駄に音が歪んでしまうので、注意です。ここでの歪みは、ゲインでの歪みとは違って、ただのノイズに聴こえてしまう事が多いです。
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【超基本的なコンプレッサーの正解の使い方】
以上を踏まえて超単純化したコンプレッサーの「正解(?)」の使い方をお伝えしてみたいと思います。
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1:まずはコンプレッサーをバイパス(オフ)にした状態での、トラックのピークメーターがどれ位のレベルになっているかを確認します。(コンプレッサーに付いているメーターではないので注意です)
2:メーターレベルを確認してから、コンプレッサーをかけます。スレッショルドを下げて、レシオを上げていくとコンプレッサーがかかります。(その他のパラメータは所謂「質感」の調整なのでここでは割愛します)
3:この状態で1で確認したメーターを見ると、コンプレッサーをかける前よりもレベルが下がっていると思います。
4: その下がった分をアウトプットで音量を上げていきます。(1の時のメーターの最大レベルと同じ位まで上げます)コンプレッサーをバイパスすると1の状態のメーター状態を確認する事が可能です。
5:コンプレッサーの使用前後が、同じメーターレベルになったら、改めて聴感上(耳で聴いた時)の音量を確認します。 メーターの触れ方は同じなのに聴感上の音量は上がって聴こえると思います。 これが、コンプレッサーの効果で、この状態を「音圧が上がった」と言います。
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【あとがき】
いかがでしたか?複雑でわからないことはこの様に細かく分けて考えていくととても分かりやすくなると思います。
この記事で少しでもコンプレッサーへの理解が深まっていただけたらとても嬉しいです!
もしご要望があればコンプレッサーの練習方法なども記事にしていければと思います!
あなたのMixライフがより充実したものになりますように!
一緒にクオリティ爆上げしていきましょう!!
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