教師時代の体験談 ~太郎君~

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コラム
少しずつ、小学校で私が受け持ったことのある児童のお話もしていきますね。
なかなか、教師でもしてないと、他のご家庭やお子さんのことって、見えないですものね。
この投稿を読んでくださった方には、ウチだけじゃないんだな。とか、こういう視点があるのだな。なんてことを感じていただければ幸いです。

今日お話しする児童は、太郎くん(偽名)のお話です。太郎くんは小学校3年生です。
太郎くんが、なんとある日、授業中に、パンツの中からあるものを取り出し、大人のすることをしていたのです。
机間指導をしていた私は、一瞬通り過ぎてしまいましたよね。
いやいや、私は教師だから通り過ぎるわけにはいかないんだ。と言い聞かせ、
「何をしてるの?」
と話しかけます。
すぐに隠したので、「それは人前ではしないで。」
と厳重に注意してその日は終わりました。

しかし、次の日から、毎日指導しないといけない羽目になってしまったのです。
ある時は、
「汚ない手で触るとバイ菌が入っちゃうよ。バイ菌入ったら腫れて痛いよ。」
と脅し、ある時は、
「それさ、あと4〜5年して同じことを人前でしてたら、警察に捕まっちゃうよ。」
と脅し。

治らないので、他の先生にも相談をしました。
保険の先生は、清潔のことについて詳しくお話してくださいました。
校長先生(男)は、触ったらすぐ手を洗いに行きなさい。(そうするうちに手を洗いに行くのが面倒になりしなくなる。)という指導をしてくださいました。

それでもダメなので、お母さんを学校に呼び、
「ご存知ですか?」
ときいてみると、知っているというのです。
お母さんから話しても言うことは聞いてくれないと。
「男性であるお父さんから、お話していただくことはできないのでしょうか?」
と尋ねると、それができなくて。最近お父さんは、仕事のことばっかりで、お子さんのことに無関心だと泣き崩れたのです。
これがいい機会だから、お父さんともよく話し合ってみてください。ということで、その日はお母さんをお返ししました。

その翌日ぐらいから、太郎くんの変な癖は急になくなりました。
代わりに、朝1番に、
「これウチのお父さんのまね」
と嬉しそうに言って、自分の髪の毛を七三分けにして見せてくれました。
早速お母さんが、お父さんに話し合いのチャレンジをしてくださったのです。
お父さんも、息子にどう接したらいいか分からなかったのですね。
太郎くんは、問題行動を起こして、どうにかして父親に自分のことを見てほしかったのでしょう。
勇気を出してお父さんに相談したお母さんもよくがんばりました。

このように、私たち教師は、親御さんの背中をそっと押してあげたりすることもあります。
問題行動の裏には、彼らが自分ではうまく説明できないアピールが隠れていることもあり、子供の気持ちや背景に目を向けた根本の解決が、指導以上に必要なこと。
親御さんの愛情って、子供は本当に敏感に感じ取っているものです。
彼は、お父さんとお母さんの少しギスギスした仲も、取り持ってくれました。

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