Trứng cút lộnを知ったあの日

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フォーとチャーハンだけで1ヶ月を過ごし、身体が心配になってきた頃、私は道の向こう側に行く決心をした。
私の家がある側よりも、道を一つ渡った先の方が飲食店が多かった。しかし、そこにたどり着くには大きな道路(Đường Nguyễn Trãi)を横切らなければならず、わざわざ押し寄せるバイクと車の波をかき分けてご飯を食べに行く気力もなかったのだ。
その日は、「ベトナムと言えば生春巻き」というよくわからないイメージで、生春巻き「Gỏi cuốn」を食べに行こうと道を渡ったのだった。「生春巻き」と書いてある看板を見つけたので、椅子に座り生春巻きを注文したはずだったが、出てきたのはカゴに盛られた大量のウズラの卵だった。
ヘタレな私はここでも「これじゃない!!」とは言えなかった。そして、目の前のウズラにも多少興味があったので、食べてみることにした。卵は温かかったので、生ではない。ゆで卵なら問題ない。
殻を割り、中身を皿に出す。

この時ほど後悔したことはない。
こんな場面で出会いたくはなかった。ウズラでもこんなことをするのか、ベトナム人。孵化直前のアヒルの卵を食べる文化があるのは知っていた、それを「Hột vịt lộn(ホビロン)」と言う。北部では、「Trứng vịt lộn」と言う。
そのウズラバージョンがあるのをここで初めて知ったのだった。ちなみに、うずらの場合は「Trứng cút lộn」だ。
ちなみに、
Trứng (Hột):卵(粒:転じて卵?)
Vịt (cút):アヒル(うずら)
lộn:混ざった、変化した、ひっくり返った、裏返した
だそうな。孵化しかけで、色々混ざった(変化した)卵ということなのでしょうか。詳細は不明。
人生初の生まれかけの鳥。見た目はグロテスク以外の何者でもない。皿のウズラと睨めっこをしながら、どうすべきかを考えていた。
そんな私を見かねた店の兄ちゃんが席に来てくれ、あれこれと準備をし始めた。皿に調味料を入れ、「この草と一緒に食べるんだ」とジェスチャー。ここまでくると食べないわけにもいかないので、仕方なく一口。味は濃厚なゆで卵だろうか。「Ngon(美味しい)」と伝えると、にいちゃんは何を思ったか、おもむろにカゴの卵の殻を外しはじめた。さすがプロ、みるみるうちに皿の上に盛られていくウズラになりかけの卵たち。美味しい発言に気をよくした兄ちゃんが、気を効かせて殻を剥いてくれたのだ。あっという間に10羽?10玉?ほどの鳥たちが皿の上に横たわっていた。
「もういい」とジェスチャーで静止し、割られた分は食べることにした。隣の席では女子高生だろうか、同じものをバクバク食べている。ここで食べなければ男が廃ると思い、全てを平らげた。味は悪くない。食べれば食べるほど、心が削られ、お腹はさほど膨れなかった。
生春巻きを食べにきたのに、、、この日の挑戦は失敗に終わった。
勘定をして、来た道を引き返し、いつものフォー屋に向かった。「おじさん、チャーハンください」。
この時のおじさんの笑顔に心底安心感を覚えたのは言うまでもない。
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