今までも、人は共通点がある人ほどこういうを持ちやすいという研究を紹介してきました。
また、共通点なら何だっていいから、それをどんどん見つけるほどお互いは仲良くなるという研究なんてたくさんあります。
そこで、こんな疑問がわきませんか。
「本当に何でもいいのなら、中身が全くないことでもいいのか」と。
今回はそれを明らかにしてくれた研究を紹介します。
とにかく自分と近ければ好意を持ってしまう!?
認知心理学者のヘンリー・タジフェルたちは、その場で作られたごく小さなアイデンティティでも好意に影響するかを調べた。
14~15歳の少年64人を8人ずつに分けて、目視判断を調べる実験だと伝え、40個の転からなるクラスターを一瞬だけスクリーンに映し出し、何この点が見えたかを訊ねた。
研究者たちはその回を見て、実際の点の数よりも「多すぎる」または「少なすぎる」と少年たちに伝えたが、それは表向きの評価で、実際にはランダムで「多い」「少ない」と言っていただけだった。
その後、少年たちは一人ひとりにパーティションで仕切られたスペースに連れていかれ、この実験に参加した別の少年たち2人に、金銭的な報酬の分配を決めるための点数をつけるように言われた。
与えられた情報は、その2人が「多すぎる」と評価されたか、「少なすぎる」と評価されたかということだけだった。
また、点数は複数の配点パターンから選ぶようになっていた。
ただし、2人とも同点という配分方法はなかった。
その結果、少年たちは点数をつける相手が2人とも自分と同じ評価をされていた場合、できるだけ点差が少ない配点法を選び、2人のうちどちらかが自分と同じ場合は、必ずその少年に高い点数を与える配点方法を選んだ。
ちょっと一言
ということで、やっぱり人って自分と似ている人に好意を感じてひいきしてしまうのです。
ここからわかることは、好意を持ってもらいたかったら何でもいいので共通点を無理やりでもいいから見つけた方が得だということです。
ちなみに、共通点を探した後にお互い同じ影響を受けているというところまでやると結構仲良くなれます。
例えば、「暑いのが嫌い」だということだということがお互いの共通点だとしたら、「なんか暑くていつも通りいかないこととかありませんか」というふうにフワッとした聞き方で、「最近、暑くて全然運動ができなくてね」と言われたら、「実は、僕も外に出て動こうと思ってもなかなかできないんですよね」みたいな感じで言うと、ぐっと距離が縮まります。
参考文献
Value and the perceptual judgment of magnitude.