みなさんは「遠近両用」と「中近両用」をどのようなタイミングで提案していますか?
よくあるのは、遠近両用で見えにくいパソコン作業を改善するために、中近両用を提案したりするのではないでしょうか?
ここまでは眼科さんとかでもよくある提案だと思いますが、眼鏡屋独自の提案はここからだと思います。
そもそも遠近両用はこちらの図のように「遠方重視で手元はおまけ」みたいに昔から言われているレンズなので、
本来は運転などの遠方を見ることを基本とした設計なんですよね。
レンズ技術の進歩と共に、視野が広くなってきていることもあり
中間度数でパソコンを見たり、手元も以前より広くなってはきているようです。
しかし、それでも遠近は遠近。
スーツにストレッチが入って少し着やすくなった程度なのです。
中近や近々とは設計による特性が違うので、やはりすべての視野の広さを
他の設計を上回るほどではないんですよね。
そこで眼鏡屋は、遠近両用とは別に、家用の中近両用を提案していくわけです。
(商売としてという観点もありますが、単純に目に優しいからです)
もちろん在宅でもデスクワークに特化するなら、
近々もいいですし、広いモニター画面に合わせるなら遠近の設計で近々っぽくする
ワンランク上の処方度数設定にするもよしかと思います。
中近両用は遠近両用でも満足できなくなってきた、50代以上のデスクワーカーを対象に
提案することが多かったと思いますが、
よくよく考えてみればスマホ社会である今って家の中で見ている場所ってほとんどが「近くの距離」なんですよね。
おそらく20年位くらい前には、ほとんどパソコンやケータイ電話も普及していなかったので
遠近両用で十分満足できる生活環境だったんですけど、
今は10代でもスマホを使う時代なので、眼鏡屋の提案も変化していかなければいけないと思うんですよね。
提案時に刺さりやすい人はこんな方です。
・遠近両用を以前も使用していて、手元が見えにくいと相談に来た方
・遠近両用を使い慣れているが、デスクワークが多い方
・遠視系の方
初めての遠近両用のタイミングでいきなり中近の複数提案はむずかしいと思いますが、
デスクワークが多い方なら初めてでもけっこう2本使いを考えてくれます。
特に遠視系の方は、近視の方と比べて近くを見ることに数倍も疲れを感じます。
40代くらいでデスクワークが多い遠視系の方がきたら
ぜひ遠近と中近の2本使いをおすすめしてみましょう。
特に刺さりやすいワードを紹介しておきますね。
「遠近両用」は外出用のカッチリスタイル、「中近両用」は室内用のリラックススタイルなんです。
例えるなら遠近両用は万能スーツ、中近両用はスウェットみたいな感じですね。
家に帰ったら服装を着替えるじゃないですか?眼鏡も同じなんですよ。
これでOKです。
一般の方たちは遠近両用や中近両用の違いなんてほとんど知りませんし、ギリギリ遠近両用の使い方を知っている人が大半です。
眼精疲労の原因は、主に「明視域」によるピント距離が合っていないか、
もしくはレンズ設計による視野の見えにくい部分を調節力でムリやり補おうとするからです。
眼鏡屋で眼鏡を作ろうと思う理由は、基本的には「主訴」となるお客さんの「現状の不満」がある時。
僕たち眼鏡屋は、ここからさらにお客さんが気づいていない隠れた「副訴」を見つけることが大切だと思います。
もちろん眼鏡をたくさん買って欲しいと言う商売的な気持ちもありますが、
単純に「本当に良いもの」っておススメしたくありませんか?
朝から寝る前までスーツで過ごしている人に、「スウェット」っていう便利な服あるで。
って教えてあげたくないですか?
お客さんにいきなりおすすめするのは怖いな、、、という方は、
ご家族の方に一度体験してもらって、成功体験を積んでみてください。
ご家族さんが「これいいね!!」って言ってくれたら
お客さんにも自信を持っておすすめしたくなるでしょ?
自信を持っておすすめするものって、変な「売り気」が出ないので
自然と提案できると思いますよ。