設計士の本音 「廊下」なし要望 3つのデメリット

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皆様より度々いただくご要望に「廊下をなくしてほしい」というものがあります。
廊下をなくす・減らすことで、坪数の上昇を抑えたり同じ床面積で広い部屋を作ったり出来るので、有意義だとして依頼されます。

家づくりにおいて「ムダ・悪者」とされがちな廊下。
そんな廊下を見直すために「廊下がない・少ない」ことでのデメリットを3つご紹介します。

①生活音が伝わりやすい
廊下という緩衝スペースがなく各部屋がそれぞれ接していることが多いため、生活音が伝わりやすいです。
特に、間に廊下を挟まないリビング階段は「想像以上にリビングの音が個室まで入ってくる」と皆さまおっしゃられます。

洗面所がLDK接している場合、洗髪後にドライヤーで髪を乾かしているとTVの音が聞こえない!と些細なことでケンカになることもあるようです。

②各個人のプライバシーを保ちにくい
廊下を削減すると、「LDKのすぐ隣が個室」となったり「個人個人の部屋の入口が一箇所に集結」したりします。
ゆえにすぐ近くに誰かの存在感を感じるので「何か心がゆっくりしない」と思うことがあります。

③LDKが落ち着かない
廊下をなくす際に最も提案しやすい間取りがあります。
それは数多くのスペースとLDKを直接つなげるようにする間取りです。
LDKを中心に全部屋の出入口を廊下なしで接する家。(この場合は平屋ですね)
そんな間取りをご提案すると「部屋が広くていい!」と気に入ってもらいやすいです。

しかしこの案は、廊下という生活動線をLDKに組み込んでいるわけなので、よく人の往来があります。
・テレビを見ている横、前を何度もだれかが横切る
・常に誰かが動いている状況

廊下は、とても有意義な、お互いの緩衝スペースなのですが、その性格上どうしても優先順位を低くされやすいです。
しかし、長く共に暮らしていくにはやはり「程よい距離感」は大切です。
そのためには必ずしも廊下は「ムダ・悪者」ではないとご理解ください。

すこし話はズレますが、実は廊下がある家の方が気持ちのリセットを行えるため、家が広く感じるという報告もあります。
廊下は余裕や贅沢品と表現されることもあり、ホテルなどや旅館などがあえて廊下を長く取っているところにも実はそんな理由があります。
生活スペース以外に、余裕や緩衝材となる廊下について、ちょっと見直せましたでしょうか?

皆さまのお役に立てば幸いです。


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