みなさんはケース面接というものを知っているだろうか?
就活時に名前だけは聞いたことがあるという人も多いかもしれないし、コンサル出身者もしくはコンサル志願者で知らない人はほとんどいないであろう。
はじめてケース面接を聞くという方にも、ケース面接がどんなものなのかわかるように本記事を記す。
①そもそもケース面接とは?
おおらくケーススタディに由来しており(確かな情報はないです...)
ケース面接もしくは単にケースとも呼ばれたりします。
漠然と聞いたことがある人にとっては
あの「日本に郵便ポストはいくつあるか?」みたいな問題...?
と連想する人もいるだろう。
実際それは"半分"くらいは合っている。
ズバリ、ケース面接とは
「特定のお題に対して所要時間内に打ち手を提案する問題」といえる。
これでもまだわかりづらい...
具体的な例で説明しよう。
例えば
「スタバ巣鴨店の1日の売上を推計し、この店舗の売上改善策を提案せよ」
といった問題が出る。
これを与えられた時間(企業によって考える時間は3~15分と様々)で考え、
推計結果や改善策を提案し、それについて議論をするのである。
②どんなタイミングでやるの?どんな企業で出るの?
上記のような問題が面接時に出されることがある。
ただし、全ての企業で出されるわけではない。
では、どんな企業で出題されるのか?
それは、
・コンサルティングファーム(特に戦略系は必須といえる)
・一部外資系企業
このような、内定獲得難度が非常に高く、入社してからも非常に高い能力が求められる企業で出題される傾向にある。
つまり、ES, 職務経歴書, 履歴書では見えない能力を実際にその場で評価しようというものだ。
コンサルティングファームでは対策はほぼ必須と言われており、出題されないことのほうが少ないと言えるだろう。
したがって、新卒でコンサルを目指す学生や、転職でコンサルを目指す社会人の方が多くの時間を使って対策をするのである。
※2023年9月現在(それよりも前からだが)、ケース面接と入社後のパフォーマンスとの相関関係には疑問の声が上がっており、Google社独自の調査では入社後のパフォーマンスを図る意味でのケース面接は「無益である」と見解を出している。(2020年2月のHarvard Business Reviewの記事"コンサルティング会社が採用手法を見直すべき理由"参照)
時々、フェルミ推定と混同する人もいる。
ほぼ同義ともとれるかもしれないが、ケース面接のほうが意味が広い。
フェルミ推定とは、「一見調査が難しいような数の問題を、手元にある情報をもとにできる限り正確な概算を導くこと」である。
※この概算が得意だった物理学者のエンリコ・フェルミの名に由来する
ケースでは、市場規模や店舗の売上等の推計が求められるが、この際にフェルミ推定を使う。
つまり、フェルミ推定とはケース問題を解くために多くの場面で使用するツールの一つというわけである。
③どんな能力を評価されているの?
多くの対策本や動画などでは、ケース面接で評価される能力は
「地頭力」
だと言われている。
しかし、「地頭力」とは何なのか?もう少し解説していくと
細谷功氏は著書『地頭力を鍛える』で以下のような構造で説明している。
地頭力=考える力
考える力:
・結論から考える力(仮説思考力)
・全体から考える力(フレームワーク思考力)
・単純に考える力(抽象化思考力)
※土台として、知的好奇心や論理的思考力・直観力も影響する
私なりにケース面接で評価されている点を挙げるなら以下の4点だと考える。
①論理的思考力
②計算力
③ビジネスセンス(ある種の直観力)
④コミュニケーション能力
「売上改善策を提案せよ!」と言われると、ついつい正解を探してしまうが
ケース面接の面白いところは「正解」を別に求めていないことである。
それよりもむしろ、より良い答えにたどり着くために「議論できるか力(コミュニケーション能力)」のほうが重要だと私は思う。
そもそも「日本にポストはいくつあるか?」という問題にしてもそうだが、
あえて誰も正解がわからないものをお題にされているので、
正解にたどり着こうと思ってもたどり着けるわけがない。
それでも、「こうしたほうがもっといい答え(計算方法など)では?」という神髄にどれだけ近づけるかがポイントになってくる。
③どんな問題が出るの?
ケース面接ではビジネスや経済に関わるであろうことはほぼお題にできると言っても過言ではないが、例としては以下のような問題がある。
ミクロ系のお題
・スタバ~店の1日の売上と同店の売上改善策
・コンビニ~店の1日の売上と同店の売上改善策
・~駅付近の美容院の1日の売上と同店の売上改善策
など
マクロ系のお題
・ピアノの市場規模推計とピアノメーカーA社の売上改善策
・コンビニコーヒーの市場規模推計と売上改善策
・日本への外国人観光客を3年で1.5倍にするには
など
その他
・現職をコンサルするとしたら、どういったコンサルをするか
・大相撲をオリンピック種目にするにはどういった策を講じればよいか
など
見ていただいてわかる通り、比較的身近なビジネスに関するお題が多い。
また、単に「日本のポストの数は?」といった「それを知って何になるねん」というような問題が出ることは少ない。
これは、実際にクライアントへの提案場面などを模擬的に体験させるのが目的なのだろう。
(あとは、ポストの数といったビジネスにあまり関係ないお題を扱うと、それこそ応募者の入社後のパフォーマンス期待値を図ることが難しい)
面接そのものは、(特にキャリア採用の場合)以下のような構成が多い。
・今までの経験、志望理由などを聞くパート(ビヘイビアル)⇒30分
・ケース面接⇒30分
トータル=約60分
※場合によってはケース面接×2で60分という場合もある
さらにケースの時間配分の構成としては、以下のような構成。
お題の提示と前提確認⇒5分
お題の計算(フェルミ推定)+施策の考案⇒3~10分
計算結果+施策の発表⇒5分
発表内容をもとにいた議論⇒10~15分
これでトータル30~45分くらい費やす。
その場で簡単なフィードバックをくれる場合もあるが、突っ込まれるだけ突っ込まれてフィードバックは特にないという場合もある。
いずれにしても、計算をして施策も練ってというのは初心者ではまず間違いなく時間が足りない。
だからこそ、事前に傾向と対策を掴んでおくことで余裕を持って面接に臨めるのである。
(非常に日本の受験勉強文化らしい考え方だが...)
④まとめ
「ケース面接ができたからって本当に仕事に関係あるのか?」と思う方もいるのはたしかだが、取り組んでみるとこれは結構面白い。
そもそも、ケース面接対策が苦か苦じゃないかによってコンサル適性が判断できるともにわかに言われているようである。
Google社としては、ケース面接の出来栄えと入社後のパフォーマンスに関係はないと発表しているが、数字に対するアンテナだったり、ビジネスの本質を見極めたりなど、仕事で役立つ要素はふんだんに詰まっている。
できることなら、コンサルを目指さない方にもケース面接対策を通してビジネスに対して新しい視点を身に着けたり、論理的思考力を養うトレーニングに使ってほしいと考えている。
次回以降は、ケース問題の具体的な解き方を実際に問題を解放例を用いながら説明していきたいと思う。
以上