脳の世紀シンポジウム講演収録集3(本)

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コラム
 本のタイトルは、「脳を知る・創る・守る3」(「脳の世紀」推進会議編  村上陽一郎、竹市雅俊、河原英紀、樋口輝彦 他)です。編集:「脳の世紀」推進会議、発行者:松田國博、発行所:株式会社クバプロ、定価1800円+税。
 それでは、脳の世紀シンポジウム講演収録集3について簡単に紹介いたします。
 講演収録集3は、「脳の世紀」推進会議の主催により開催された第5回および第6回「脳の世紀」シンポジウムでの講演を収録したものです。第5回シンポジウムは1997年9月22日に、第6回シンポジウムは1998年10月9日に東京の有楽町・朝日ホールにて開催されました。
 故伊藤正男先生のはじめの言葉を紹介します。
 「脳の世紀」推進会議は、「脳を知る」、「脳を創る」、「脳を守る」という三つのスローガンをつくりました。本書の内容もそれに沿って構成しております。「脳を守る」とは、原理的に脳を理解するだけでなく、その知識を治療の困難な多くの脳神経系の予防と治療に生かそうということです。脳の老化の問題にしても同様ですが、一方、病気や老化の原因を研究することから「脳を知る」こともまた助けられます。「脳を創る」とは、実際の脳を参照しながら似た働きをするコンピュータを創ったり人間に似たロボットを創ることを目指すことですが、そのような大きな夢の実現と同時に、創る立場からの考察が脳を理解することを助けるとの大きな期待もあります。
 これらの三つのスローガンは、アリストテレスの「知の三面」という考えとよく一致しています。知には、理解するという面と、知識を基にものごとにかかわり、実践するという面と、新しいものを創り出していくという面があるという。その哲学的な考えと「脳の世紀」のスローガンは一致しているのです。本書が脳科学の重要性を社会に広く理解していただくためのよい道しるべになるように願っています。「脳の世紀」推進会議議長 伊藤正男

脳を知る・脳を創る・脳を守る3の目次
はじめに
Ⅰ章 特別講演
 二一世紀の脳科学に期待する             村上陽一郎
Ⅱ章 脳を知る
1 神経回路形成とカドヘリン             竹市 雅俊
2 運動制御と学習   彦坂 興秀
3 ニューロン信号の伝達とGタンパク質共役型受容体  清水 孝雄
4  形状視のメカニズム                田中 啓治
Ⅲ 脳を創る
1 聴覚の情報分析と計算論              河原 英紀
2 シリコンチップに脳機能を蓄積する
  四端子デバイスが切り拓く連想知能エレクトロニクスの世界 大見 忠弘
3 人工知能はどこまで脳に迫れるか          中島 秀之
4 試行錯誤から学ぶロボットと脳           銅谷 賢治
Ⅳ 脳を守る
1 うつ病の臨床と病態                樋口 輝彦
2 発達障害児のキュアとケア             竹下 研三
3 治る神経疾患・多発神経炎(ニューロパチー)を中心に   祖父江 元
4 摂食障害・病態と治療               久保木富房
以上です。
 これらの講演者の中で、田中啓冶先生の講義を受けたことがあります。放送大学のテレビ講座の「脳科学の進歩’06」分子から心までという講座です。主任講師は田中啓冶先生の他に、岡本仁先生です。岡ノ谷一夫先生、貫名信行先生も分担しています。現在は、閉講講座ですが、放送大学の学生であれば、過去の講義を視聴することも可能です。最新の講義はBSテレビやBSラジオで受講可能です。
 上記の講演者はそれぞれの分野ですばらしい成果を上げた方なので、現時点で読んでも何か得るものはあると考えます。




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