これは20年ほど昔。
私は茨城県土浦市に住んでいました。
若かった彼(今の旦那さん)と毎夜毎夜ドライブに行っていました。
引っ越したばかりで土地勘は全くなかった私。
彼によると当時、土浦から栃木に入って土浦に戻ってくるというルートをドライブによく利用していたそう。
このルートではよく妙なものを目撃したのですが、これはその中の一つです。
その日真っ暗な中を私たちは愛車トレノ(AE92)に乗ってドライブしていました。
彼が運転で私は助手席。
色々話していると、ヘッドライトに黒い人影が2人うつりました。
魔術師のようなローブを着ていて、中央線からこちらの車線にはみ出しています。
「このままだとぶつかるっ」
私が体を固くしてその人影から目を離せないでいると、その人影の一人がこちらを向きました。
フードの中には何もない。あるとすれば『虚無そのもの』のような闇。
それが運転席側の窓からこちらをのぞいていました。
「見た?」
彼がそういうので、
「見たよ・・・中央線のところに二人経ってた黒いフードの子供みたいな・・・」
「俺が見たのは助手席側にいた二人だよ。・・・中央線の方にもいたのか・・・」
「車にぶつかったはずなのに、横からこっちをのぞき込んでて・・・顔も何もなかったよ」
「俺も目が合った。何もなかったよ。闇だけ」
「あ、あれ見て」
そこにはお通夜を表す立派な提灯がともされた豪邸がありました。
「4人の死神だったのかな・・・?」
彼らは鎌を持っているわけでもなく、骸骨でもありませんでした。
フードの中は意思のない虚無。
死神はいろいろな姿を持っているそうですが、子供の姿をした死神もいるのかもしれません。
子供・・・背の高さが小学校ぐらいだったので、子供だと思いましたがもしかしたら子供だと私が思ったのも間違いだったのかも。
死そのもの。
私はもしかしたらそんな存在に出会ったのかもしれません。
ひとつ言いたいのは、
「道路交通法は守って、ちゃんと側道にいてください」
です。
本当に怖かったですよ・・・。
私の中ではナンバーワンに。