生成AIとは?活用事例や仕組み、メリット・デメリットを解説

生成AIとは、学習したデータをもとに、新たなコンテンツやアイデアを生成する人工知能です。文章や画像、映像などさまざまなコンテンツを生成し、業務効率化やアイデアの創出、顧客満足度の向上などを実現します。
本記事では、生成AIで実現できることや活用場面、活用した企業事例などを紹介します。

生成AIとは?

生成AIとは、さまざまなコンテンツを新たに生み出す人工知能のことです。「ジェネレーティブAI」とも呼ばれます。専門的なスキルがなくても高品質なコンテンツが生み出せるため、注目を集めています。
ここでは、生成AIと従来のAIとの違い、生成AIが注目される理由を解説します。
従来のAIとの違い
生成AIと従来のAIは、学習済みのデータから、指示された内容を分析して回答するという点で同じです。しかし、両者は新しいコンテンツを生成できるかどうかという点が異なります。
従来のAIは、与えられたデータを学習し、そのパターンをもとに適切な情報を予測し、決められた範囲で回答します。
一方、生成AIは、ディープラーニング(深層学習)という機械学習により、自ら答えを探しながら学習し、新たなコンテンツを生成することが可能です。
ディープラーニングとは、人間の脳の働きにヒントを得た人工知能技術の一種です。脳の神経細胞(ニューロン)の働きを模した「ニューラルネットワーク」を使い、学習した大量のデータから高度な特徴の抽出を行い、自然言語処理やパターン認識などを行います。人間がさまざまな経験から学習するのと同じように、AIは与えられた情報をもとに自ら学習するのです。
生成AIは、指示に対してランダムな結果を生成するという特徴もあります。同じ指示を出しても、同じコンテンツが生成されるわけではなく、指示するたびに違う結果を生成します。このランダムな性質により、さまざまなアイデアの創出が可能です。
生成AIが注目される理由
生成AIが注目されるようになったのは、2022年11月にアメリカのOpenAI社による「ChatGPT」が公開されたことがきっかけです。ChatGPTは高度な文章生成能力があり、生成AIに対する世界の関心を集めました。ChatGPTは誰でも利用でき、汎用性が高いことも注目を集めた理由です。
特定のタスクや分野に特化した特化型AIの場合、AIを使うのは特定業務に携わる一部の社員に限られています。しかし、ChatGPTは自然言語で対話ができ、誰でも手軽に利用できます。また、多様な業務に活用できることも特徴です。
2024年5月には新たなモデル「ChatGPT-4o」が発表され、精度が向上しただけでなく、テキストのほかに画像や音声を認識できるようになりました。
生成AIはその後も進化を続けており、アイデア創出や業務効率化、オリジナルコンテンツの生成など、ビジネスのさまざまなシーンでの活用が期待されています。
生成AIで実現できること

生成AIは、ビジネスシーンで次のことを実現できます。
- 業務効率化
- クリエイティブな提案の支援
- コンテンツ作成のコスト削減
- 顧客満足度の向上
具体的にどのようなことができるのか、詳しくみていきましょう。
業務効率化
生成AIの活用により、業務効率化を実現できます。具体的に効率化できるのは、次のような業務です。
- 定型業務
- 問い合わせ対応
- 議事録の自動作成
- 報告書の要約
生成AIは、定型的な作業の多くを自動化できます。契約書や報告書などの定型的な文書の作成を生成AIに任せれば、作業時間の大幅な短縮が可能です。
カスタマーサポートの問い合わせ対応も自動化できます。生成AI搭載のチャットボットを活用すれば、繰り返し発生する問い合わせを自動化でき、オペレーターの負担を軽減できるでしょう。
生成AIは会議の音声データから議事録を自動作成できるため、文字起こしをして議事録を作成する手間が省けます。
また、複数の報告書を要約してまとめるなどの作業にも対応できるため、迅速で効率的な情報共有を図れます。
クリエイティブな提案の支援
生成AIは、クリエイティブな提案を支援します。コンテンツの作成や新製品の開発などにアイデアが浮かばないとき、AIにいくつかの情報を与え、アイデアを得るという使い方が可能です。
多くのアイデアを出してもらい、そこから良いものを人間が選ぶという方法をとれば、より効率的にクリエイティブなコンテンツの作成や新製品の開発ができるでしょう。
コンテンツ作成のコスト削減
生成AIの活用は、企業にさまざまなコスト削減をもたらします。まず、業務の自動化や作業時間の短縮により、人件費や運用コストを削減できるでしょう。
また、これまで内製や外注で対応していたコンテンツ作成を生成AIが行うことで、コストの大幅な削減が可能です。
たとえば、これまで外注していたマーケティングの動画やイラストを生成AIで作成すれば、外注費をカットできます。
社内で制作している場合も、生成AIに任せれば時間や手間を大幅に削減し、社員はほかの重要業務に専念できるでしょう。
顧客満足度の向上
生成AIでは、膨大な顧客データやマーケティングデータの分析やレポート作成を自動化できます。顧客の購買履歴や好みなどのデータ分析を効率化することで、より顧客のニーズにあった製品開発ができます。リピート率を高め、顧客ロイヤルティの獲得にもつながるでしょう。
また、業務効率化で紹介したチャットボットは、顧客満足度向上にも役立ちます。24時間365日休まずAIが対応できるため、スピーディで正確な顧客対応を実現します。また、生成AIは顧客情報や過去の対応履歴をもとに、顧客一人ひとりに合わせた的確な対応が可能です。
生成AIの活用場面

ビジネスで生成AIを活用する場面は、テキスト作成や画像生成など、多岐にわたります。
ここでは、生成AIがビジネスの現場でどのように活用できるかをみていきましょう。
テキストの作成・要約・翻訳
生成AIは、与えられた情報をもとに、さまざまな種類のテキストを作成できます。特に、ビジネスメールの作成は得意分野です。基本フォーマットに沿った表現を学習しているため、文例をもとに、目的に応じた適切なメール文を提案します。人は作成した文面をチェックし、送る相手ごとに内容を調整するだけで、迅速に大量のメールを仕上げます。
企画書のスムーズな作成も可能です。目的や出力項目などを指示すれば、迅速にクオリティの高い企画書を作成します。
また、生成AIでは、学術論文や特許申請書など、専門的な文書の作成も可能です。必要な情報を与えれば、AIが専門用語を適切に使って文章を作成します。人が行うのは監修作業だけで、作成時間を大幅に短縮できるでしょう。
情報検索
生成AIでは、効率的な情報検索が可能です。インターネット上の膨大な情報を収集し、分析する作業は多くの時間と手間がかかります。
生成AIであれば、チャット形式の操作で大量のデータを処理し、重要な情報を自動的に抽出し、分析も行います。
たとえば、マーケティングで市場動向の把握や消費者の意見収集のためにWebリサーチを行うとき、生成AIはSNSの投稿などから消費者の意識や購買動機、隠れた本音などを分析し、消費者のニーズやトレンドを予測することが可能です。
画像生成
生成AIでは、画像生成ができます。ユーザーが生成したい画像のイメージをテキストで入力すると、情報に応じてAIが瞬時にオリジナル画像を作成します。
デザインやクリエイティブの分野では、コンテンツ作成のサポートに役立つでしょう。AIが作成した画像からインスピレーションを得て、新たなアイデアやコンセプトを生み出すことも可能です。
広告デザインやWebデザインの作成にも役立ちます。ターゲットや作成したい画像のイメージをテキストで指示すれば、ターゲットに向けた効果的な画像の作成が可能です。また、パンフレット・プレゼン資料に使う画像の作成や、商品開発における商品イメージの作成など、さまざまなシーンで活用できます。
映像生成
生成AIは、映像生成も可能です。テキストで生成したい映像のイメージを入力すると、イメージに沿った短い映像を生成できます。また、静止画の画像データからも映像を生成できます。
これまで、映像制作には現場での撮影や編集など、多くの手間やコストが発生していました。しかし、映像生成AIによってこのようなプロセスが不要になり、迅速にクオリティの高い映像を作成できるようになっています。
ビジネスの現場では、商品やサービスのプロモーション動画を容易に作成できます。マーケティングでも、ターゲットに合わせた動画広告を手軽に制作でき、効果的なプロモーション活動ができるでしょう。
音声・音楽の生成
生成AIでは、音声データを入力して新しい音声データを生成することも可能です。AIは大量の音声データから特徴を学習し、新たな音声・音楽を作ります。
音声生成AIにより、音声入りの新しいコンテンツの作成ができます。企業のプロモーション動画に魅力的なナレーションをつければ、企業イメージのアップにつながるでしょう。
社内研修用の教材に音声の読み上げ機能をつけ、学習効果を高めるという利用も可能です。音声は多言語にも対応できるため、海外向けに作成する動画にも活用できます。
生成AIで自動音声応答システム「ボイスボット」を作成し、顧客対応の質を向上させることもできます。ボイスボットが最初に電話を受けて対応し、人間の対応が必要な場合だけをオペレーターにつなげば、効率的な電話対応ができるでしょう。
その他
生成AIには、その他にも3Dモデルの生成やプログラミングコードの作成・変換などがビジネスに活用できます。
これまで、3Dモデルの作成は専門知識やスキルが必要でしたが、生成AIの登場により、初心者でもテキストや2D画像から3Dモデルを容易に作成できるようになりました。
また、3Dモデルに高精度のテクスチャリングをしたり、アニメーションにしたりすることも可能です。
また、生成AIでは、プログラミング言語を使わず、自然言語を入力するだけでプログラムコードを自動的に生成できます。プログラマーは生成AIが生成したコードをチェック・修正すればよく、コーディングの手間を省き、開発プロセスを効率化できるでしょう。
ビジネスシーンでの生成AIの活用事例

ビジネスでは、次のようなシーンで生成AIを活用できます。
- ソフトウェア開発
- 企画立案
- 議事録作成
- チャットボット
ここでは、ビジネスにおいて生成AIが活躍できるシーンを解説します。
ソフトウェア開発
生成AIの活用により、ソフトウェア開発の効率化が実現します。AIは自然言語の指示によりコードの提案やコードの生成を行い、開発をサポートします。その結果、開発者はより複雑なタスクに集中できるようになるでしょう。
また、ソフトウェア開発では、製造工程だけでなく、上流の要件定義から設計、開発、プロジェクト管理、運用まで、工程全般への生成AI活用が進められている状況です。
企画立案
生成AIでは、企画立案を自動化したり、フィードバックを受けたりすることが可能です。企画の目的や条件を指定すれば、短時間で豊富なバリエーションの企画案を提示してくれます。生成AIが提示してきた企画案に対して、具体的な内容を深掘りすることも可能です。
顧客データやトレンド情報を分析し、新しい商品やデザインのアイデアの生成やマーケティング戦略の立案もサポートします。企画立案の質とスピードを高めることができるでしょう。
議事録作成
生成AIでは、議事録作成を効率化します。録音した会議の音声を送るだけで、文字起こしと要約を自動で行い、作成プロセスの大幅な短縮が可能です。
長時間の内容を要約し、重要なポイントを抽出してまとめる機能があり、会議の振り返りや報告書作成に役立ちます。
複数の話者がいる場合でも発言者を識別し、誰が発言したかを記録する機能もあり、あとから発言内容を確認することが可能です。
生成AIの活用で議事録作成の時間を短縮できるだけでなく、記録の担当者も議論に集中できます。議事録作成後は簡単に共有できる機能もあり、議事録の内容が素早く共有されることで、意思決定の迅速化にもつながります。
チャットボット
生成AIのチャットボットは、自然言語処理を使用し、ユーザーと人間のような自然な対話ができます。想定外の質問にも、柔軟で迅速な対応が可能です。
カスタマーサポートの問い合わせ対応に活用することで、オペレーターの負担を軽減するとともに顧客満足度の向上を図れるでしょう。
生成AIのチャットボットは、社内向けとしても活用できます。社内の各所に点在していた文書やデータをチャットボットに統合すれば、社内知見を共有し、いつでも業務マニュアルやノウハウなどの知見にアクセスできます。業務に対する質問や情報検索が迅速にでき、業務の標準化や効率化、生産性の向上を図れるでしょう。
生成AIを効果的に活用する方法

生成AIを効果的に活用するためには、自社の目的に合ったツールを選ぶこと、リスクマネジメントを適切に行うことが大切です。社員のスキルアップも求められるでしょう。
ここでは、生成AIの効果を発揮するために押さえたいポイントを解説します。
目的に合ったツールを選ぶ
生成AIにはさまざまなツールがあり、それぞれに得意・不得意があります。自社に合うツールを選ぶためには、まず自社の現状を洗い出しましょう。自社にどのような課題があり、生成AIを導入することで何を解決したいか、生成AI導入の目的を明確にすることが大切です。
導入目的には、一例として次のような内容があげられます。
- 時間とコストを削減するため、業務を効率化する
- 顧客体験を向上させ、顧客満足度を高める
- アイデア創出を迅速に行う
- 効率的にコンテンツを生成する
- 大量のデータを分析し、迅速な意思決定を図る
目的を明確にしたら、生成AIを活用する業務を選びます。どのような業務に生成AIを使うかにより、選ぶツールは変わります。
生成AIに任せる業務を決めたら、具体的に使用するツールを選びます。自社のニーズに応じた機能が搭載されているかを確認しましょう。導入のコストと得られる効果を比較検討し、費用対効果があるかの確認も大切です。
また、ツールの操作性や既存システムとの連携、サポート体制などもチェックしておきましょう。
リスクマネジメントを適切に行う
生成AIにはさまざまなリスクがあり、リスクマネジメントが欠かせません。生成AIの活用で想定されるリスクは、次のとおりです。
- 著作権侵害
- 機密情報・個人情報漏えい
- 差別的な表現やヘイトスピーチ
- 誤情報・フェイクコンテンツ
生成AIが作り上げた文章や画像が、既存の著作物との類似性が高いと認められる場合は、著作権侵害となります。そのため、著作権者の許諾を得るか、まったく異なる著作物となるように変更を加えなければなりません。
生成AIには、機密情報や個人情報漏えいのリスクもあります。生成AIは入力データを学習して新たな回答を生成するため、入力情報がほかのユーザーへの回答に活用されることがあります。そのため、データに個人情報や企業の機密情報が含まれている場合、漏えいのリスクが高まるでしょう。
また、生成AIが生成したコンテンツは、差別的な表現やヘイトスピーチ、誤情報などを生成する可能性もあります。
これらのリスクに対応するためには、徹底したリスク管理の強化が必要です。リスクマネジメントとして、次のような対策を行いましょう。
- データの取り扱いに関するガイドラインやルールの設定
- 人によるチェックの実施
- セキュリティの高いツールの利用
生成AIの活用で法的問題や権利侵害が起こらないよう、ガイドラインやルールの設定が必要です。ガイドライン・ルールを遵守するための社員の教育も欠かせません。
生成したコンテンツに著作権の侵害や誤情報がないか、人によるチェックも必ず行いましょう。
また、情報漏えいを防ぐためには、セキュリティが高いツールの利用が不可欠です。暗号化技術の採用や、厳重なアクセス管理など、十分なセキュリティ対策がとられていることを確認してください。
社内の生成AI活用を推進する
生成AIの効果を発揮するためには、社員のスキルアップも大切です。生成AIとの対話によってコンテンツが生成されるため、利用者のスキルやリテラシー(AI技術の基礎知識・適切に活用する能力)によって成果が左右されます。
AIのリテラシーを身につけるためには、研修プログラムなどを通じて、生成AIの基本的知識や適切な使い方、リスクを理解し、実践的なトレーニングを行うとよいでしょう。
AI初心者を対象にした、生成AIリスクを予防する資格試験「生成AIパスポート」を取得するのもひとつの方法です。
生成AIを活用した企業の事例

近年は、多くの企業が生成AIを導入しています。企業の事例を見ることで、自社の生成AI活用のヒントになるかもしれません。
ここでは、5社の活用事例を紹介します。
KDDI|AIチャットサービスを活用
大手電気通信事業者のKDDIは、2023年5月から、社員1万人を対象に生成系AIを活用したAIチャットサービス「KDDI AI-Chat」の利用を開始しました。
サービス開始には、生成系AIを取り巻く環境の変化に伴い、生成系AIの「機会とリスク」を認識し、ビジネス革新につなげるという背景があります。
生成系AIの利活用促進に向けては全社の部門横断の新たな体制とり、秘匿情報が外部に流出することなく安心・安全にAIを利用できるよう、KDDI独自の環境を構築しました。
また、KDDIでは全社員を対象として、プロンプトエンジニアリング(生成AIに適切な指示や命令を与えるための技術)を学ぶための研修も実施しています。
サービスの導入により、これまでは1日がかりだったプログラミングが、2~3時間で済むようになりました。また、集計が難しい自由記述方式のアンケートの調査結果を効率よくまとめられるなど、多くの成果を上げています。
さらに、AIの利活用を推進するため生成AIを使った業務効率化を競い合う「社内コンテスト」も実施しています。コンテストでは意外な使い方をしている活用例が披露され、より創意工夫を凝らした生成AIの活用法の創出が期待されているということです。
参考:KDDI「社員1万人が「KDDI AI-Chat」の利用を開始」
参考:KDDI「KDDIが実践する「生成AI活用」の現在地と未来 ビジネス展開を見据え、社内プロジェクトを推進」
メルカリ|「メルカリAIアシスト」を提供
日本最大のフリマサービス「メルカリ」を運営する株式会社メルカリでは、生成AIを活用したAIアシスタント機能「メルカリAIアシスト」を提供しています。メルカリサービスを利用する際、出品・購入・その他の困りごとの解決など、あらゆる場面でAIがユーザーの最適な行動を促す機能です。
出品時には、出品済みの商品情報をAIが分析し、商品がより売れやすくなるよう出品者に改善提案を行う機能を利用できます。一定期間売れ残っている商品について、過去の情報をもとに提案する機能です。商品サイズや価格など追記すべき内容を提案したり、商品名の変更を提案したりします。
商品検索時は、欲しい物のイメージをもとにチャット検索ができます。チャットで「AIアシスト」からの質問に回答し、必要な条件が揃ったら、「AIアシスト」が検索結果を出力するという仕組みです。
生成AIは、今後も購入や出品をサポートする機能など、新たな機能を順次拡充する予定です。
参考:メルカリ「メルカリ、生成AI・LLMを活用してお客さまの最適な行動を促す「メルカリAIアシスト」の提供を開始
ロレアル|一人ひとりに合わせた診断とアドバイス
大手化粧品メーカーのロレアルは、生成AIを活用した美容アドバイスアプリケーション「BeautyGenius」を開発しました。数十年にわたる美容の専門知識と最新のAIテクノロジーを組み合わせ、美容に関するあらゆることをシンプル・安全・簡単な方法で学べるように支援します。
対話型インターフェースを搭載し、一人ひとりのユーザーに合わせた診断とアドバイスを提供しており、美容に関するあらゆる情報をシンプルかつ簡単に取得できます。
たとえば、ユーザーが「長時間のフライトで肌が乾燥している」と相談すると、生成AIがアドバイスを行い、写真を撮影して肌診断を行うことを提案します。撮影後は、写真に基づいてアドバイスを行うという仕組みです。メイクの相談もでき、希望するイメージを伝えれば、AIが完成イメージや、おすすめの化粧品を提案します。
バーチャル試着機能もあり、メイクアップ アーティストが 50か国以上、10,000種類以上の製品でテストした提案が提供され、リアルタイムで新しいメイクを試すことができます。
参考:ロレアル「最先端バイオプリント皮膚技術と生成AIコンテンツ・ラボでビューティテックを加速」
三菱UFJフィナンシャル・グループ|生成AIを活用して金融業務の効率化
株式会社三菱UFJ フィナンシャル・グループ(MUFG)は2024年10月、OpenAI 社と生成AIによる金融業務の効率化の取り組みを開始しました。MUFGはOpenAIの最新技術を活用し、金融業務や日本企業に特有のさまざまな課題の解決を模索します。
取り組みの第一段階でMUFGは OpenAI のプロダクトである ChatGPT Enterprise の利用を開始する予定です。利用を通じて得られた知見はOpenAI と共有し、技術の改善と新たなユースケースの発見に役立てるとしています。
MUFGは2024年、中期経営計画の中でデータ基盤とAI活用を打ち出し、改革を行っています。デジタル関連の組織を「デジタル戦略統括部」として統合し、全社的なデジタル推進体制を確立しました。OpenAI社のChatGPTを2023年から全社員が利用可能な環境を整備しており、利用率も着実に上昇しているということです。
OpenAI社とのパートナーシップは、単なる技術提携を超え、日本の金融サービスの未来を描く取り組みとしても重要な意義があると期待されています。
参考:株式会社三菱 UFJ フィナンシャル・グループ「OpenAI 社との生成 AI を用いた金融業務の高度化・効率化の取り組み開始について」
大林組|迅速な設計提案を実現
総合建設会社である大林組は、アメリカのSRI International(SRI)と共同で、AI技術 「AiCorb(アイコルブ)」を開発しました。
AiCorbは、スケッチや3Dモデルをもとに、多様なファサードデザイン(建物の外観)を提案できるツールです。「デザイナーAI」と「モデラーAI」という2つの機能を備えています。
従来の設計では、設計者がアイデアを出してからスケッチ・CADによるデザイン案の作成まで、すべて手作業で行っており、多くの時間と手間がかかっていました。提案が顧客の要望に合わない場合は、再度同じプロセスで検討し直さなければなりません。
この問題を解決できるのがAiCorbであり、スケッチや3Dモデルに対して複数のファサードデザイン案を瞬時に提案できます。その結果、顧客からの要望を聞き取ってイメージをすりあわせるまでに要した時間と手間が大幅に削減され、迅速な合意形成につながるようになりました。
参考:大林組「建築設計の初期段階の作業を効率化する「AiCorb®」を開発」
生成AIを活用するメリット

ビジネスで生成AIを活用することで、次のようなメリットがあります。
- 新しいアイデアの創出につながる
- 人手不足を解消できる
- 人為的ミスを削減できる
それぞれの内容を詳しく解説します。
新しいアイデアの創出につながる
生成AIの活用により、商品・サービスの新しいアイデアを創出できます。人がアイデアを生み出すときは、既存の知識や経験に基づくことが多く、ありふれたアイデアしか思いつかないこともあるでしょう。
膨大なデータを学習した生成AIは、このような知識や経験に縛られません。生成AIとの対話を通じて、これまでにないオリジナルのアイデア創出が可能です。
たとえば、「漠然とした考えしかない」「うまく言語化できない」というときも、生成AIに質問して対話を繰り返すことで、意見やアドバイスを受けながらアイデアを形にすることができます。
人手不足を解消できる
近年は労働人口の減少で人手不足に悩む企業も少なくありません。生成AIは、これまで人が行っていた定型的な業務を自動化できるため、人手不足の解消にも役立ちます。
また、生成AIでは文章や画像、動画の生成がスピーディにできるため、これまで多くの時間をかけていた作業を短縮し、効率を高めます。労働時間の短縮と、人件費の削減につながるでしょう。
また、生成AIを活用したチャットボットを利用すれば、人手に頼らず24時間体制で顧客対応ができます。
作業の自動化で空いた時間はより重要な業務にあてることができ、生産性の向上も図れるでしょう。
画像や動画の作成などスキルが必要なクリエイティブな作業も、生成AIを使えば誰でも一定の品質を持つコンテンツを作れます。プロへの外注や専門知識を持つ人材の確保といった必要もなくなるでしょう。
人為的ミスを削減できる
生成AIは与えられた指示に従って正確にコンテンツを生成するため、人為的ミスの心配がありません。人が行う作業では、入力漏れやタイプミス、誤字・脱字といったミスを完全になくすのは難しいでしょう。
生成AIは人為的ミスを防止できるだけでなく、人が行った作業をチェックしてミスを見つけることもできます。このような生成AIの機能は、製造業などにおける異常検知にも役立ちます。正常なデータを読み込ませ、違いを判断して異常を検知するという機能です。
人が目視で行うチェックは、経験値やそのときのコンディションなどで精度に差が生まれます。生成AIを活用すれば、安定的に一定の品質を保ちながら異常検知ができるでしょう。
生成AIを活用するデメリット

生成AIを利用する際は、次のようなデメリットがあることに注意が必要です。
- フェイクコンテンツが生まれるリスクがある
- 著作権を侵害する可能性がある
- 情報漏えいの危険がある
これらのリスクを把握せずに生成AIを利用すると、企業の信用問題に発展する可能性があるため、注意が必要です。
詳しい内容をみていきましょう。
フェイクコンテンツが生まれるリスクがある
生成AIが生成する情報は、常に正確とは限りません。学習した内容に間違った情報が含まれていれば、誤情報・フェイクコンテンツをアウトプットする可能性があります。
このように生成AIが間違った情報や事実ではない情報を作り上げる現象は、「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれます。
ハルシネーションが生まれる原因は、学習データに問題があるか、プロンプト(指示や質問)に問題があるケースが考えられます。
学習データの問題は、量や質が不足していたり、偏りや間違いが含まれたりする場合です。また、プロンプトが曖昧な場合も、ハルシネーションが起こる原因になります。
生成AIを活用する際は、フェイクコンテンツや誤情報を生み出すリスクがあることを認識し、出力した情報のファクトチェックを徹底しなければなりません。特に外部に公開する資料の場合にはチェックが不可欠です。
生成AIを利用した社員のチェックに加えてダブルチェックを行うことで、リスクを抑えられるでしょう。
著作権を侵害する可能性がある
生成AIの開発・学習を行う段階では、著作物を学習用データとして利用することは原則として著作権者の許諾なく可能です。
そのため、著作物を含むデータで学習した生成AIで生成した文章や画像などのコンテンツには、第三者が著作権を持つ文章やデザインが含まれている可能性があります。
著作権に触れる可能性のあるコンテンツをそのまま外部に公開すると、著作権法に違反するリスクがあるため注意が必要です。
生成AIが生成した文章や画像が、既存の著作物との類似性などが高いと認められた場合は、著作権侵害となります。そのため、著作権者の許諾を得るか、まったく異なる著作物となるよう、手を加えるなどの対応が必要になるでしょう。
情報漏えいの危険がある
生成AIの利用では、情報漏えいのリスクがあります。情報漏えいが起こるのは、学習した情報が、第三者への回答に活用されるというケースです。
生成AIは、ユーザーが入力した内容を学習し、回答を生み出します。そのため、個人情報や機密情報を入力した場合、その情報を学習したAIは、ほかのユーザーからの指示・質問に対して個人情報や機密情報を含んだ回答をするリスクがあります。
このようなリスクを防ぐには、生成AIに入力するデータを厳選し、個人情報や機密情報を含むデータは、できる限り入力しないことが大切です。また、生成AIから出力したコンテンツは、著作権のチェックと同様に、人がチェックする体制が必要になるでしょう。
情報漏えいは、AIのシステムそのもののバグ(プログラムの不具合)により起こる可能性もあります。
実際に、生成AIの代表的なサービスである「ChatGPT」で、バグによる情報流出が発生しています。利用者が過去に入力した質問と回答の履歴が、ほかの利用者の画面上に表示されてしまうというものでした。
業務効率化にはオンラインアシスタントの活用もおすすめ

生成AIにはフェイクコンテンツ生成や著作権侵害などのリスクがあり、人によるチェックが必ず必要です。そのために、かえって業務に負担が増える場合もあるでしょう。
リスクを抑えて業務効率化を図るためには、生成AIだけに頼るのではなく、オンラインアシスタントを併用することがおすすめです。
オンラインアシスタントは、オンラインを通してさまざまな業務をサポートするサービスです。
ここでは、オンラインアシスタントの「ココナラアシスト」を紹介します。
フルリモートで幅広い業務に対応
ココナラアシストは、フルリモートで優秀なアシスタントが業務を代行するサービスです。90万以上の登録者の中から、スキルや知識・経験、稼働可能時間など、複数の希望条件を満たす人材を選定できます。
事務・秘書など手間のかかる日常業務から、人事・経理・クリエイティブなど人を雇うほどでもない専門業務まで、幅広く紹介します。
ココナラアシストのアシスタントは、面談や提出書類から認定した即戦力の人材です。登録者はすべて本人確認とNDA締結を行っているため、安心して依頼できます。
月40時間・月額8万円から依頼できる
ココナラアシストは、月40時間・月額8万円から依頼が可能です。フルタイムは必要ないが、繁忙期だけ依頼したいといった要望にも対応します。
料金は契約時間に応じた月額料金のみで、採用費や紹介料は不要です。業務経験のある即戦力の人材を紹介するため、教育にかけるコストも発生しません。必要最小限の人件費で必要なリソースを確保し、業務効率化を実現できます。
また、契約した時間を使い切れなかった場合は、翌月への繰越が可能です。急に忙しくなったときの超過の調整も、柔軟な対応が可能です。
契約は時間単価、稼働時間・期間を決定し、サービスの申込書を記入するだけで稼働を開始できます。
ビジネスに生成AIを上手に取り入れよう

生成AIは定型業務の自動化や情報検索、クリエイティブ生成など、ビジネスシーンで幅広く活用できます。業務を効率化し、人手不足解消や生産性向上につながるでしょう。
一方で、生成AIには誤情報の生成や著作権侵害、情報漏えいのリスクがあることに注意が必要です。
また、生成AI活用の効果を発揮するためには、社員のスキルアップやリテラシーの醸成も欠かせません。導入してすぐに使いこなすことは、難しい場合もあるでしょう。
人手不足解消や業務効率化には、オンラインアシスタントの活用もおすすめです。「ココナラアシスト」であれば、必要な時間だけ、手間のかかる業務を即戦力の人材に依頼することができます。ぜひご検討ください。