恐怖との闘い

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「おお、お前も今日から当流派3段だ、道場を開け。」
「先生、道場ったって、家は狭くて・・・」
「体育館を借りなさい、生徒がけがした時の、保険をかけとくように。」
「先生、ブルースリーみたいなのがヌンチャクもって道場やぶりに来たらどうしましょう。」
「石でも投げつけろ。」
「極真会来たらどうしましょう。」
「すまんが、わしらは真剣使ってやっているからこれ使わしてもらうぜと言えば逃げてくよ。」
「わかりました。」
その後、公民館を借りたりしてやっていたが、自宅の納屋を丸明けして道場にした。極真会かじった人やいろいろ変わった人はきたけれど、恐怖を感じるほど強いのは、全国大会出場を争ったというおばあちゃんだった。背中に回って、両足を腹の前で絡めて裸締めされると細い腕が俺の肉に食い込んで外せなくなる。追記しとくけどジャバ様みたいな贅肉はないぞ、彼女の体がゴキブリ並みにぴったり吸い付くんだ。そして骨が食い込んでくる。藁の中の針、美味の中の毒、という表現の技だった。それは、飛んで転んで、自分も多少骨折しながらでないと絶対外せない恐ろしいばあちゃんだったが、当時は八百比丘尼のように60でもプリプリだった。これで20-30代だったらああこれで良いですと逝ってしまうやつもいそうだ。
 その後数年練習して、ばあちゃんと、極真と玉虎流骨指術、義鑑流の一連の技を練習した後、極真キン肉マンを抑え込めていたばあちゃんは、「いくら筋肉鍛えてもこれじゃあ逆らえないわね。」といっていた。「本に書いてある通り、力で相手は倒せないということだけど、俺は極意は伝承していないから、奥伝が知りたかったら上の先生に行ってくれ。」と答えていた。俗にいうくノ一殺法のイントロだが、エロくおっぱい出さなくても女性でも大男を制することができる技の一つだろう。
 その後、私は常人無理だろの変態並みの審査会で5段になり、私は地域の暇人とみられたらしく、消防団分団長や防犯支部長をすることになり、道場活動は一時休止した。その後も再開に至らない。しかし、道場を開くという活動自体はとても心意気の試されることだった。安易すぎるのも馬鹿だが、慎重すぎると機会を失う。得るものも得られない。
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