#037 統計の活用(3) 3つ以上の集団の平均の差:多重比較法

記事
コラム
以前t検定の説明の最後に、3群以上はt検定ではなく、多重比較法を使うと記載していましたが、前回その説明をすっ飛ばしてしまいました。すみませんでした。
ではここで多重比較法について説明します。
多重比較法は、3群以上の母平均の比較において、どの群間で有意差があるかを検討する解析方法です。この方法以外に分散分析法というのがありますが、こちらは3群以上の群間に、有意差があるかのみを判定する方法で、どの群とどの群に差があるかまではわかりません。したがいまして、どの群間に有意差があるかを知りたい場合は、最初から多重比較を適用すると良いと思います。
具体的な方法にはいくつかありますが、ここでは「ボンフェローニ法」を紹介します。理由としては、一番厳しい検定方法であるためです。つまり、群間差に一番有意差がでにくい方法なので、この方法で有意差が出れば、結果の解釈においてあまり問題にならないと思われます。またこの方法は、様々なデータに対して用いることができる、万能な多重比較です。扱うデータが正規分布に従わない場合や、対応のない場合/ある場合の両方で用いることができます。ただし、得られるのは両側検定のみです。
具体的な方法としては、2群ずつt検定を行った結果に、検定回数を乗じて、有意水準(例えば0.05)と比較し、それを下回れば有意差があるとします。
例として、群①~⑤について平均値があり、①と②~⑤の群で差があるかを検定する場合を考えます。
①と②をt検定にかけ、得られたp値が0.015であったとします。今回の場合は、①-②、①-③、①-④、①-⑤の4回検定を行うので、結果として0.015×4=0.06 が得られ、0.05を超えているので、帰無仮説を棄却できません。
同様に①-③をt検定にかけて、p値として0.009が得られたとすると、0.009×4=0.036<0.05となり、帰無仮説を棄却できます。
お分かりの通り、検定回数が多くなると、それだけ大きな数をp値に乗じることとなるので、有意差が出にくくなります。
別の方法としてホルム法というのがありますが、計算方法がボンフェローニ法より少し面倒です。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す