月光歌
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月光覆う竹藪に
津軽一本背負うもの一人
がさりがさりと掻き分けて満ちた月が現れる
ぴたりと止んだ竹藪の
次に見えるは大草原
広々たる円中心に座れば独楽成り月笑う
ぴゅう と吹いた涼風に
鈴の音さえずりピタと止む
弦を叩き、奏で打つ
弦より染み出し旋律は
薄墨となり型を成す
目の前揺れる月見草
ひらりひらりとアゲハ蝶
双月囃す黒き翅
月に煌めき瑠璃魅せる
悠々激しきその舞は
三味の音を引き立てる
蝶魅入る者達も
口緩むが蛍の光で口結ぶ
雲一片汚さぬ夜空
それもやがて月霞む
日が出、沈み、また月が出る
夜空を踊るその翅や
今宵は黒か紋白か