衝撃の、という言葉では足りない ハンチバック

記事
小説
芥川賞受賞作である「ハンチバック」は
市川沙央さんの1作目の長編小説です。
市川さんは自身が難病により人工呼吸器と電動車椅子を常用されています。

本を読むことはそれ自体がバリアフリーではない
ということに気付かされる衝撃の作品でした。

<あらすじ>
背骨がゆがむ重い障害を患っている釈華は、両親が遺した遺産とグループホームでこたつ記事を書きながら通信制の大学に通う大学生。
誰も見ていないような弱小SNSに赤裸々な書き込みをしていたが、アカウントが介護職員の男性に見つかってしまい・・・

芥川賞受賞作品ながら、本当に出版しても大丈夫なのかという語彙力を失うほどの書き出しで
冒頭から「私は何を読まされているんだ?」と思わず読んでいる本を確認しなおしました。

96ページの短い小説ですが、あまりにも重い96ページでした。
読んだ後は言い訳もできなくなりました。
動けない障がい者だから世間のことなど何も知らないであろう、という自分の中の偏見が炙り出された小説でした。

紙の本が健常者にとって当たり前すぎる存在で
本を持つ、めくる、読むという行為自体がノンバリアフリーであるという健常者への一撃。

『ハンチバック』で復讐をするつもりでした。
市川さんが芥川賞の授章式で言い放ったそうです。

偏見なんてないよ
私の周りにも障がいを持った人はいるからわかっている
と思っている人に読んでほしい一冊です。



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