清少納言を求めた、フィンランド人が京都から

記事
コラム
読んだ本に思うところがあっても、他人に話す機会がなかったのを
この場を借りて、書くことにしました。

書名: 清少納言を求めて、フィンランドから京都へ
著者: ミア・カンキマキ
出版社: 草思社
発売: 2021年8月

清少納言が好きすぎて、かつ仕事が嫌すぎて
ヘルシンキから京都に来てしまった、カンキマキさんの
レポートのような旅行記のような

もはや、自分が書店の何コーナーでこの本を見つけたのか
思い出せません(´・ω・)ヾ


日本留学の経験もないし、現代日本人の友人もいない(平安人が心の友達)
カンキマキさんの目に映る京都、ひいては日本の奇妙さと美しさに
自分が日本を再発見するような楽しさがありました。
それと、清少納言の境遇や、紫式部との関係を改めて学べます。
義務教育の授業時間って、なんだったんだろう。

先に断っておくと、
冒頭は、中年著者の少女めいたレター風の文章にめんくらいました。
面白くなったのは、京都入国後です。


平安日本人が好きなだけであって
日本を知るために来日したわけではない、カンキマキさんだから
現代日本の観察は、ただのついでです。
典型的な日本人男性は、日本人の奥さんをもらいたがる。
とてつもなく美しくて、小さくて、少女のようにかわいらしい奥さん。
伝統的な家庭料理を美しい弁当箱に詰めてくれる奥さん。
家庭のことはすべてできて、それなのに頼りなさそうに見えて、夫に先に建物に入らせる奥さん

――でも実は手のひらの上で躍らせ、思いどおりにする奥さんを。

(427ページ)
ついでに過ぎない発見だから、他意も思い入れもありません。
なんなら、母国のフィンランド人に向けに書いているだけです。


女性誌や啓発本、雑誌のちょっとしたコラムなんかで
「こういう素敵な人になりましょう」のテッパンは、まさに
「頼りなさそうに見えて、夫に先に建物に入らせる
けど、手のひらの上で躍らせ、思いどおりにする」タイプです。

そうふるまえない女性が、劣等感を抱いて
手のひらで躍らせるノウハウの獲得に悩み、努力しているのは
極東、にほんじま固有の現象なんだろうか。



知っている人も、少なくないと思いますが
「清少納言」は苗字一字+男性親族の官職名で、本名は不明です。
そのことを、日本に来て初めて知ったカンキマキさんは
衝撃を受けていました。

融資課長、半沢●樹の娘が、父親と同じ会社に就職したとして
職場で「半課長」と呼ばれて、娘の作る書類もすべて「半課長」名義になる
と想像したら、衝撃です。というか、うまく想像できません。

『かげろう日記』の著者、藤原道綱母(ふじわらみちつなのはは)の例なら
半沢の母親が、ラジオでパーソナリティを務めていたとして
番組サイトのパーソナリティ紹介が「半沢直●の母」になります。

衝撃的に失礼な、自国の歴史に
さほど違和感を持たずに生きている女性が約6,500万人暮らす
にほんじまの
小さな自分でした。(´・ω・)


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