ことねこ徒然日記3

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演歌

♪♪♪髪の乱れに♪♪♪♪手をやれば~♪♪

毎朝学校まで送ってくれる私の中では知らないおじさん。
車の中はとても清潔で、たばこの臭いも、汚れも感じない車内。

 いつから車で送ってもらっているのか?
 これまた記憶喪失。
 母親に送ってもらった記憶は微塵もないけど、このおじさんの登場記憶もない。勝手な憶測だが、きっとこのおじさんは運転手さんではないか? と思う。車の中の空気感がタクシーとは違う凛とした感覚。
車はセダンだった。後ろにレースのカーテンが付いていた。

私が乗る場所は後部座席。ドアを自分で開けた記憶もない。
 朝の挨拶時、降り際のお礼の時も、おじさんの声も聞いたことが無い。それどころか、おじさんの顔もしっかりした記憶がない。
 覚えてるのは、いつも同じ歌が毎朝、車で流れている事だけだ。

 これは私が大人になってから、自分が車通勤して分かった事だが、同じタイミングで車を運転していると、朝聞く歌と帰りに聞く歌が決まっていることに気が付いた!!
 当時の会社は、家から少し遠くて、どこにも寄らずに帰ることがルーティンだった。
 たまに寄り道すると、歌の流れるタイミングがずれて、あ!この曲聞いてない!と思ったことがあったのだ!

 おじさんの事を思い出した時に、いつも同じ歌が流れていた事に気が付いた。きっとおじさんも毎日同じルートを通っているから、いつも同じ曲になってしまうのだろう。
 益々謎が深まるばかり。車に乗り込む時の記憶が全く無いのだ。

 母親の考えは

「今年で卒業だから卒業するまでそのまま今の学校に通って、中学になったら転校すれば良いから!!」

と、相変わらず母親節炸裂!!

あはははー。ノー天気と言うか、羨ましい性格である。

しかし、いつも送って貰っていたはずなのに、微塵も思い出せないのは何故なのだろ?

 やっぱり、どこぞの専属の運転手さんだったのではないか?
母親の交友関係で、何人か運転手を雇える人物が浮かぶからである。
 正直、母親は謎だらけだ!!

 母親の知り合いのおじさんで一番苦手だったのは、政治家の大先生様だ。
昔の政治家さんは、踏ん反りかえっているイメージある。腹黒い所も垣間見えるので、とても苦手だった。

 私は、色々警戒する事で、自分を守って来た所がある。それ故、大人の人を信用するより、疑ってみてしまう所があり、思い込んでいただけかもしれないが、とにかく警戒していた方が賢明だった。のだ!!

 話を戻し、運転手さんと会話した記憶も、運転中に私と目を合わせることもなっかた。運転手さんの顔をしっかり見た記憶もない。
 きっと、車に乗るときは、母親が車のドアを開け挨拶をし、私は、車に乗り込んでから挨拶をしていたのだろう。
 母親は基本的に外面は完璧である。とても感じの良い母親なのだ。明るく、気配り上手。そしてとても、かわいらしく、艶っぽい所もある。世の中の男性だけではなく、女性からも、「ほっとけない」 所があるのだ。見た目も性格も周りを心配させてしまう、魅力があるのだ。どこまでが計算で動いているかは、正直わからない。そんな母親が自慢でもあり、嫌いでもあった。

「おじさん」はとてもお世話になった方だったけど、全然覚えてなくてごめんなさい。
 覚えているのは、母の十八番の演歌だけ。
きっと運転手さんも母親のファンの一人だたのかもしれない。

 本当にお世話になりました。
 おじさんのお陰で、無事に小学校を卒業できました。
 ありがとうごさいました。


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