<徴収員向け>私がクソつまらん公務員を退職したワケ スペシャル【打倒!悪質滞納者】

記事
学び

税金滞納のケースはまちまち

 私は公務員を退職した。
私が暮らす田舎では、銀行員か公務員になるくらいしか地元の働き口がない。
それでも公務員を退職したのは、その特有の業務に嫌気が差したため。
そのイヤ~な業務として、「滞納税の徴収」が筆頭に挙げられる。

 基本的に、税金は期限内に納税する人が大半である。
しかし、期限内に収めようとしない不届きな住民も一定数存在する。
税務署や自治体の税部門では、そんな住民に未納を知らせたり、差押を強行したりして税金を徴収する業務がある。
当然、憎まれたり恨まれる立場になるため、心地よく仕事はできない。
納税するのを忘れていただけの住民ならば、まだましな範囲だ。
 しかし、確信犯的に納税しない手ごわい住民もいる。
このレベルになると、もう病気クラスの煩わしさだ。
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 今回の記事では、そんな公務員の税金徴収のツラさを語るだけではない。
まずは無料パートにて、税金納付を軽んじる滞納者を刺激的に描写した。
 そして有料パートでは、全国で頭を抱える徴収担当の方に、明日からの業務で役立つ知識やコツをお伝えする。  
これは私が実体験から形成したポイントを列挙してあるので、必ず役に立つだろう。

 文中の「おまけコラム」では、現代の地方自治体の「徴税業務の闇」を2つのコラムで取り上げる。

長年 クレーム係として対人スキルを学ばされた私

 私は、公務員時代にクレーム対応係を何度も経験した。
その際、クレーム対応本を読み漁り、現場で実践することで対応スキルを相当に高めた。
 公立病院では、モンスター患者だけでなく高度な医療事故の対応も経験。
 鍛え上げられたスキルは、税金の徴収業務の2年間でも十分に通用し、所属でも目覚ましい徴収成果を上げた
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神懸かっていた徴税員の時代

 私が徴税員の頃は、子どもの育児で変則的な時間勤務をしつつも、公務員という職業に愛想を尽かした。
そのため翌年の退職・独立の意向を固め、独立の準備のために最後の1年間で50日以上の有給休暇を取得していた。
余裕で「週休3日制」か「週休3.5日制」くらいの出勤だった。

 そんな絶対的に時間が少ない中で、徴収業務が効率的に行なえるように業務スタイルがシェイプアップしていった。
 過去に花形部署に在籍していたことから、範囲を超えてやっかいな案件も匿名で押し付けられた。
しかしこの徴税員時代は、そんなやっかいな案件もだいたい完納になった。

 自らでも不思議な神懸かった数年間だったが、少なくともこれから話すポイントを試行錯誤して試したことが関係しているからだと強く信じている。

 徴税員のあなたにも、きっと役に立つだろう。

公務員を退職した私のこと(プロフィール)

 田舎の県で地方公務員として、約15年間勤務する。
前職の経歴と風貌から、税金の徴収係などハードな部署に回され続ける。
第二子誕生の際、当時の男性では珍しい1年間の育休を取得。
 徴税員自体には、長年こびりついている悪質滞納の徴収を、なぜか理不尽にも任せられた。
徴収業務の数年間で目覚ましい成果を上げ、専門コースを打診されるが固辞。
育児をこなしながら今後の人生を真剣に考えた結果、公務員を退職して独立。

 引き継いだ農地で小規模農業を行いつつ、ブロガーとして歩み始める。

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困った滞納者


 私が仕事で接した滞納者は、「自動車税」の絡みが多かった。
中には本当に生活が苦しい中でも、毎月少しずつでも納付しようとする方もいて感心したものだ。
しかし、納税などなんとも思わず毎年滞納を繰り返す悪質滞納者や、自動車税のことを全く理解できない滞納者もいた。
 まずは、そんな困った滞納者の実態を説明する。

自動車税
 自動車税といってもなじみが深いのは、自動車税「種別割」。
他には、自動車税「環境割」というのもある。
普通自動車の自動車税は、基本的に都道府県の管轄で大きな収入ともなる。
おそらく財務省や国税庁の計らいで、地方の財政が安定するよ細分化して徴収させているのだろう。
排気量によって税金額が決まり、製造から一定期間を超えると重加算される。 4月1日時点の自動車所有者に課され、5月末までに支払うものだ。

 自動車税は、車を廃車・抹消しない限り、毎年課税される。
滞納者には、延滞金も含め滞納額がどんどん膨らんでいく厄介な代物だ。
この自動車税は、紛れもなく「車を所有するコスト」と言えるだろう。
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高排気量の激安車を平気で買う

 中古・廃車寸前のレクサスを購入し、自動車重量税も加算されて毎年10万円近くの自動車税がかかる滞納者がいた。
面談で実状を伺うと、車は中古の事故車を買ったが、勤務している会社はリストラされたとのこと。

 中古車業者さんも、毎年かかる税金額を教えてあげた方が親切なのではないだろうか?
社会人ならば、毎年かかる自動車税など計算して当たり前だろうけども。
そもそも軽自動車ならば、毎年10,800円の自動車税で済むのに。

事前相談による分割納付
 法律上では、税金の納付に「分割払い」という便利な制度はない。
クレジットや通販番組などで、「手数料なし、分割払いがお得」などと謳うので、一般消費者にはその方法がしっかり浸透している。
しかし実際の税務の現場でも、分割納付を認めることがある。
これは分割でもしないと納税できない方たちのために、現場の「運用」で分割に応じているのだ。

 ゴールデンウィーク明けに納税通知書が発出されると、分割納付の相談が一斉に始まる。
4、5万円の自動車税を2~3か月間に分割して、支払うのだ。
分割しても延滞金は加算されるが、本体の本税が毎月減っていくので延滞金の加算はやや抑えられるのもメリットだ。
 本来ならば、期限内の一括納付が基本であり、社会全体に最もメリットがあることは忘れてはならない。

分割納付の手間
 分割納付の相談は、電話・面談のどちらか。
相談者の生活がいかに苦しいかを聞き出すため、家賃、食費、学費、家族構成など生活事情を確認していく。
その後、正規の納税通知書を分割用の納付書に発行し直したり、とにかく手間がかかる!
そこに外国人で言語が通じない!などという問題もあると、なおさら大変。

 自動車税については毎年同時期に、決まった額が課税されるので、納付用にお金を残しておけばよいのに!と何度も思ってしまう。
悪びれず常連滞納者が、毎年の分割相談に来るのもイラっとしてしまう。

 最もイヤなのは、多くの住民は「分割納付を権利だと思っている」こと。
自治体側としては、スムーズな納税のため特例として認めているだけだ。
と言っても、相談に来る住民はまだ良識派だ。

 社会には、この相談にも来ずにほったらかす悪質な方がいる。
それがいよいよ滞納者となるのだ。
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個人事業税

 個人事業税は、「個人で事業」を営んでいる方に納税義務が発生するものだ。
たいていは8月と11月の2期に分けて課税・納付するものだ。
自治体の実務としては、基本的に国税の税務署が課税する所得税に付随して、コバンザメのように都道府県が課税するものだ。
 私としては公務員を退職する間際だったからか、「所得税」も払って「個人事業税」も払うのは、腑に落ちなかった。

運転資金に回す滞納者
 個人事業税は主に1月1日~12月31日の期間の収支を決算し、その利益額から申告するもの。
しかしその課税が8月・11月になるので、その納税分を残しておかない不届き者も多い。
納税しなけらばならない分も運転資金に入れ込んでしまっているのだ。
 このような方は、個人事業主としての自覚が足りないと言える。

従業員と思っていたら

 個人事業税については、聞いていて哀れな話もある。
ずっと従業員として勤務しているつもりだったが、ゲス社長のたくらみで単なる「業務委託」扱いだったらしく、個人事業税が課税されたというものだ。
 その方は長年無申告でいたが、国税の税務署が5年さかのぼりで数百万円の課税をしたのだ。
そこに地方自治体も、もれなく個人事業税や市民税の追随課税するのだ。
自らの業務形態を確認することは、とても大事なのだ。
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不動産取得税

 この不動産取得税は、土地や建物を取得した際に発生する1回きりの課税。

 よく混同されるのは、「固定資産税」。
これは土地を所有していたら、市町村から毎年課税されるものだ。

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マイホームを購入しても、税金は後回し
 マイホーム購入のために必死にお金を集めたり、ローンを組んだりするが、ここに数十万円の不動産取得税がかかってくるという余計なものだ。
住民としてはそもそも購入時に消費税を払っているのだから、2重課税ではないかと思ってしまう。

 ここで腹立たしいのは、住宅ローンの支払いは必死に頑張るのに、不動産取得税は後回しの滞納者。
確かに住宅ローンを組む際には、自宅の登記が担保にされるので支払いのプレッシャーはある。
そして返済が滞ると、済んでいるマイホームがローン提携先の銀行に差押され競売にかけられるのだ。
 しかし自治体などの行政は、裁判の決定を経ずに法律上差押ができるのだ。
具体的には、銀行口座の現金を即座に差押し納税に充てるというものだ。
「自治体だから待っていてくれる」と甘く見ていると、手痛いダメージを負うことになる。


天下の愚策 コロナ特例猶予制度

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