建築士が教える、ワンランク上の家づくり。

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これまでの建築士としての私の経験上、床(フローリング)のへこみや傷、ドアの表面材やキッチンの扉材の剥がれに悩む方が多くいらっしゃいます。

どうしたらよいか相談される方も多いですが、ほとんどの場合、床の張替えやドアの交換となり、費用もかかります。

そこで、大切なわが家の設計段階に知っておくと得するマル秘ポイントをお伝えします。

物には劣化熟成があります。

劣化とは、性能・品質などが低下して以前より劣ってくること。

熟成とは、成熟して十分なころあいに達すること。

近年の住宅には【新建材】と呼ばれる材料が多く使われています。


【新建材】はプリント合板や人造大理石など、日本が高度成長期に入り、大量生産、安価、品質にばらつきの少ない材料として急速に普及した建材です。

【新建材】は、一旦変化をし始めると、どんどん劣化していき、修復できなくなり、交換せざるを得ません。

一方で無垢材や天然石などの【天然素材】は、長い時をかけて変化し、 熟成していきます。

【天然素材】は住む人のライフスタイルによって、熟成の仕方が異なります。

【新建材】に比べ、メンテナンスが必要ですが、その仕方によって自分好みに熟成させることができます。

床材(フローリング)を【天然素材】である無垢材にした場合、へこんだり傷がついた場合でも、スチームでへこみを戻したり、かんなで削ることで傷もなくすことができます。

樹種も様々で、杉の床は、柔らかくて傷がつきやすい分、肌触りが良く、子どもが転んでも衝撃をやわらげてくれます。

また、経年変化により、落ち着いた深みのある色合いになり、革製品のように、使えば使うほど味が出てくるのも特徴です。

何より【天然素材】は香りが良いです。特にヒノキの香りは高い抗菌性やリラックス効果が期待できます。

巷でも、健康住宅として【天然素材】を多く使用した家を目にしませんか。

【新建材】に比べ、自然・天然の物は、そこに暮らす人にとって体に良いのは間違いありません。近年、ホルムアルデヒドが騒がれ始めたのも【新建材】の多用によるものだともいわれています。

※現在では接着剤など、仕様基準があるため、ホルムアルデヒドへの配慮がなされた家づくりになっています。

【天然素材】でもっとも多く使われているのは木(板)で、フローリングや建具、家具などに使われます。

内装に無垢の木を使用する事を木質化といいますが、実は最も睡眠の質が良くなるのは木質化率50%と言われており、床と天井を木質化することで近い値となります。

家じゅうの天井を木質化しようとすれば費用はかかりますが、寝室だけでも天井にひのきの無垢材を使用することで睡眠の質が向上し、疲れが取れやすくなるという効果が期待されます。

まとめ

【新建材】は、安価で品質も均一です。

アルミサッシなども新建材です。

全てを新建材にするのではなく、機能、コストを重視する部分には【新建材】、味を出す部分には【天然素材】とうまく使い分けることで、住む人の思い出(記憶)と共に、大切なわが家を劣化させるのではなく、熟成させていくことができるのです。



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