コロナ後、住まいの形が変わる

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 過去の経験則から、大きな社会の変化や経済ショックの後、住まいの形やライフスタイルが変化しています。1945年、第二次世界大戦終結。1973年、第四次中東戦争(石油ショック)。1989年、日本でバブル崩壊。2001年、米国発ITショック。2008年、米国発住宅ローン不良債権問題でリーマンショック。2020年2月、世界コロナショック。このように概ね10~20年サイクルで株式、景気調整が起こっています。そのたびに、住まい方、住まいの形も変化しています。
 終戦前の住まいは兎も角として、戦後の住まいは塗り壁から、板張りへ断熱材もなくお粗末なものでした。やがて、東京オリンピック、大阪万国博覧会を控え、公団住宅やニュータウンの建設が始まり、建築基準法運用も強化され、住まいは、少しずつ近代化が図られて、住まいの間取りも○LDKと定義づけられ、LDK中心の洋風生活スタイルへと変化していきました。

 73年、石油ショックの後は、断熱、省エネの観点からビルは大きな開口部から小さな窓に。住宅は、断熱材として、壁の中にグラスウールを入れ始めました。このころから、住宅を大量供給するためにプレハブ住宅が主流となり、やがて、高度経済成長期となり、大量消費が謳歌され、今度は消費が美徳。89年のバブルに向けて、ビルは総ガラス張り、住宅の窓も大きくなり、大型、高級住宅化していきました。

 バブル崩壊後、景気は低迷、中流と言われた人たちが大きなダメージを受けていて、新築住宅が大幅に落ち込んでいきました。そのころ、九五年一月、阪神淡路大震災があり、被災された方々には、言い方が悪いかもしれませんが、住宅業界にとっては、濡れ手に粟でした。ところが、受注はしたものの、人件費、建設コストが大幅に上昇して、上昇分を被災された施主に負担してもらうわけにもいかず、多くの住宅会社は持ち出しの赤字となり、体力のない中堅の住宅会社の多くが撤退、倒産、大手住宅メーカも再編、統合が始まりました。住宅着工数も87年の187万戸から半減し90万戸以下へ。

コロナ後の床面積は5~10m2大きくなる
 コロナ感染パンデミック後、住宅の間取り、住まい方に大きな変化が出始めています。在宅勤務や、さらに週休三日制が定着してくれば住宅内で過ごす時間が長くなり、感染対策に手洗いスペース、在宅勤務でワークスペース、食品の備蓄増大でパントリー、家庭内作業負担の軽減から乾燥機のついた三~四帖程度のユーティリティ、ゆとりの空間として、吹き抜けや、屋根、2階の床があるインナーリビングやタイルテラス、ウッドデッキのあるアウトリビングなどを求め始めているので住宅の床面積は5~10㎡大きくなると思われます。米国の新築住宅では、既に日本サイズで四~六帖のIT環境のついたワークルームがついていましたが、さらに、奥様にも専用のワークルームが付いている建売住宅が普通になりつつあるようです。

 日本では、部屋の片隅に申し訳なさそうにPCデスクがある程度でしたが、コロナ後に変化が出始めています。関東のパワービルダーさんの話では、少子化の影響もあり、三人家族の方が三LDK、四人家族の方が四LDK、一部屋多い間取りの住宅を購入して、そのうちの一部屋をワークルームやファミリークローゼットとして使用している人が増えてきているようです。いずれ、日本でも、IT環境を備えたワークルーム付き住宅が当たり前のようになりそうです。
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