今日(2024年3月11日)は、東日本大震災が発生してから13年となります。
当時、社会人2年目(26歳)だった私は、佐倉市にある株式会社Hで資材管理の仕事をしていました。
その日は金曜日で、部品などの入庫の締め前でもあったせいか、部署全体が暇を持て余していました。
地震が発生したのは午後の休憩時間が近づいた、午後2時46分のことです。
幸い、株式会社Hには建物の損壊や、死傷者などの被害が全くありませんでしたが、地震の影響で大規模な停電が発生したことを、現在でもはっきりと思えています。
また、地震に伴う液状化現象によって、県道12号(鎌ケ谷本埜線)の一部区間が約4か月間、通行止めになったこともはっきりと覚えています。
信じられないほどの正答率の低さ
NHKでは毎年、東日本大震災に関連するNHKスペシャルなどを放送していますが、現在では小学生以下の子供のほぼ全員が、東日本大震災を直接経験していない世代となっています。
ここで皆さんに問題ですが、歴史(日本史)の教科書に載るような、①から⑥の出来事は何年の何月何日に発生したか、ご存じでしょうか?(答えは下)
①:関東大震災の発生年月日
②:阪神・淡路大震災の発生年月日
③:広島に原爆が投下された年月日
④:長崎に原爆が投下された年月日
⑤:雲仙で43人の死者を出す、大火砕流が発生した年月日
⑥:飛行機の単独事故としては世界最悪の520人が犠牲となった、日航ジャンボ機墜落事故の発生した年月日
正解は、
①:1923年(大正12年)9月1日の午前11時58分
②:1995年(平成7年)1月17日の午前5時46分
③:1945年(昭和20年)8月6日の午前8時15分
④:1945年(昭和20年)8月9日の午前11時2分
⑤:1991年(平成3年)6月3日の午後4時8分
⑥:1985年(昭和60年)8月12日の午後6時56分
です。
ここで1つデータを挙げますが、NHKでは定期的に、「広島・長崎に原爆が投下されたのは、何年の何月何日ですか?」という世論調査を行っています。
それによると、2005年に約37%だった全国平均の正答率が、2015年には約29%に低下していたと言います。
これらは、小中学校の歴史の授業や、高等学校の歴史総合の授業で必ず習うものです。
クイズ番組でも、このような知識勝負の問題はよく出題されます。
にも関わらず、一般正答率が3割にも満たないのは残念なことです。
活かされなかった教訓
話を戻しますが、東北地方の太平洋側は、大津波に繰り返し見舞われてきた歴史があります。
東日本大震災の前にも、1896年(明治29年)と、1933年(昭和8年)の2度にわたって、大津波を受けてきた歴史があります。
ベストセラーとなった『失敗学のすすめ』(畑村洋太郎、講談社文庫)には、このような石碑の写真が掲載されていますが、写真の石碑はいずれも、「1896年と、1933年の大津波はこの高さまで来た」ことを後世に伝えるものです。
図:津波の石碑とその下に建つ住居
(出典:『失敗学のすすめ』の講談社文庫版の95ページより)
しかし、大津波の記憶は年月の経過とともに、忘れ去られてしまいました。
それとともに、石碑より低い土地にも数多くの家が建てられるようになりました。
写真のような形で低地に建てられた家が、昭和の三陸地震津波から78年後(『失敗学のすすめ』の刊行から11年後)の2011年に、大津波で破壊されてしまったことを考えると、記憶の風化は恐ろしいものと言えます。
巨大災害の記憶を風化させないためには、何をすべきか?
ここまで例示してきたような、巨大災害の記憶を風化させないためには、まず皆さん一人ひとりがノンフィクションを読むことです。
余談ですが、私は読書感想文を小中高校の12年間、全てノンフィクションで通したほどです。
小中高校では毎年夏休みに、読書感想文コンクールが行われていますが、その課題図書の中には必ず1冊以上、ノンフィクションが含まれています。
そのような形で歴史を学ぶ=ノンフィクションを読むことが、防災・減災への第一歩となるのではないでしょうか。