「小説の技法」Lesson31「無駄な描写」はするな!ってば…。

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 前回は、書き過ぎと書き足らずについて、きつい修行を勧めました。永遠にやれとは言いません。ただ、それくらいの覚悟がなければ、描写量の見当など付かないでしょう。

 ここ、勿論、あなたの作風との兼ね合いもあります。緻密に心理や意識の変化を追っていく小説もあれば、日本の文豪が、ふら~と知識開陳してくれるのも面白い。でも、皆さん、それは、既に、神にも、周囲にも、読者にも、認められている方たちのすることです。

 少なくとも、最初は、自分の知識の範囲内で(資料を使うなら、勉強して、自分の知識としてからです)、筋に関係のあることだけを書く訓練を積んで下さい。ここ、「筋に関係がある」が人によってはわかりづらかったりしますね。

 例えば、短編恋愛小説で、夏の夜道に、アイスクリームを買って食べるシーンがあったとします。アイスクリームを食べて、彼女に謝る気になるんです。さぁ、何を書きますか。

「コンビニで、アイスクリームを買った。舌に残る冷たい甘さが、彼女を思い出させる。愛情も、いつかは溶けて消える。僕はポケットからスマホを取り出した」

 例文ですからね。ベストではないですよ。最低量の目安です。ここでは、コンビニの店員とのやり取りも、その態度も、アイスの銘柄も値段もアイスクリームの舌触りも、のど越しも切ってあります。今日の琴音武道派流では、この程度でいいです。(機嫌が悪い)

 えーーーーーー!!!でしょ? 書きたいなら書きなさい、と打ちますが、筋と何の関係があるの? 勿論、大展開できますよ。でも、短編でしょう? 自分が書いていて楽しいから、乗るから、アイスクリームにまつわる家族や同級生との楽しい思い出、160円か、値上がりしたなぁとかまで書く人いますね、で、ここ、値上がりしたわけがウクライナとロシアの戦争のせいだということまで書きたがる人いますね。筋に関係ないから!それは、描写じゃなくて、はっきり、「脱線」と言います。雰囲気、壊れるどころじゃない!

 アイスが何円で、昔はシールが付いて流行ったとか、ガチャガチャで玩具が出せたとか、味が変わったとか、筋とページと雰囲気が許せば書いてもいいですし、盛り上がるんなら書くべきなんですよ。でも、僕と彼女の恋愛小説なんでしょう? 僕が謝罪するかどうか決めるのが、このアイスクリームの一口なんでしょう? その天啓から来るようなスピード感を犠牲にして、ビックリマンチョコシールを集めていたことまで書いちゃう人、反省すべきだと私は思います。私は、ですよ。私! 個人の美学! 私ほど削る必要はないですが!

 書かない方が伝わるってことも、記憶の片隅に入れておきましょう。ここで、昨日、私の恋愛掌編を読んだ読者の方から、私の作品にリンクを貼って、例文として読んでもらえばって、コメントがありました。どんなものを書く人が書いている教えなのか、講師を調べなくていいのか? あなたは…。

 気が向いたら、明日、短編を上げます。参考にしてみて下さい。

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