「小説の技法」Lesson29「メッセージ性」について

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コラム
 「描写」の問題は、一回、お休み。皆さん、小さい作業ばかりで疲れるでしょう。小説が商品であるとか、商業的に成功するためにはって話ばかりでは…。

 表現って、食っていく手段ではありますが、食っていくなら、ほかにも仕事はあるんです。なぜ、表現にこだわるか? 私は内面の渇きのようなものだと思います。現実と折り合いをつけるのが下手で、痛む傷に自分の心の泉から湧き出るものを必死に注ぎ続けている、と。 

 そんな私は、最初、カクヨムの異世界ファンタジー、転生転移物、全く理解不能でした。最近、読ませて頂くようになり、作者の方のお話をお聞きして、やっと、表現として全く変わらない、と思うようになりました。ひと時、現実を忘れられる夢。それすら、今、現実を舞台にしては作品として成立させられず、結果、異世界転生まで行ったのかと考え始めました。恐ろしいほど殺伐とした、空疎な現実なんでしょう。戦争にコロナですものね。

 と、物凄く初学な私ですが、それ以外の物を書かれる方もいらっしゃいますね。やはり、カクヨムなら、文字を通した作品です。前回、メッセージなんてものは、商品を作れるようになるまで、公園で叫んでいろと書きましたが、撤回はしません。急がば、回れ。商品の形になっていないと、多くの人に、あなたの思いは届きません。だから、まず、商品として、より上質なものを作る努力をしましょう。(第二課題も必要な技術の訓練です)

 だらだらだらだら、自分の主張を書いても、プロとして金をとるなら、ほとんどの人が飛ばすか、二度とあなたの本は買いません。苦情メールは知りませんが。第一に公開作品は読み手を楽しませることです。ここ、自分で書いている段階では、自分を楽しませられるか、です。はっきり感動と置き換えてもいいです。良い読み手であることも勉強して下さい。

 メッセージ=伝えたいことは、その感動に同調して、ポンと置くものです。
 大展開したいなら、政治家になって下さい。あるいは、思想書を書いて下さい。専門書でもいいです。自分で行動するしかないです。ただ、わざわざ、楽しもうと、お金を出してまで読んで頂く本に自分の主義主張は、大盤振る舞いしないことです。反りの合わない他人のメッセージって不快なんです。ライターをしたことがある方ならわかると思いますが、雑誌って、まず、自分の意見、主義の臭う文章の徹底削除、書き換えから編集の朱ペン入ります。

 自分のメッセージは、思いながら打つこと、伝わるように信じて打つこと程度で、十分、伝わります。伝わると思いますよ。劇的に。何を例に挙げるかで苦戦しますが、外人と書くか、外国人女性と書くか、白人女と書くか、ブレンダと書くか、金髪の美女と書くか、毛唐と書くか、もう、それだけで、メッセージとして十分過ぎません? 十万語、御自分で選んで打つんですよ。何も書いていないつもりでも、いい意味、悪い意味、両面で読み手に伝わるのは承知しておきましょう。

 ポロンと呟く一言の台詞、美しい描写で使う比喩、そういうものに乗せておけば、読者というものは嫌というほど感知してくれます。メッセージとなることをテーマに会話や論戦のシーンを書く人がいます。重いです。テイクアウトでどうぞ、と、そっと差し出す程度でいいんだと思って下さい。あなたの思いは絶対に伝わります。                以上

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