「小説の技法」Lesson28「描写」を極めよ!(中級編)

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 描写について、書けないったら書けないっていう人いらっしゃいますよね。逆に、どこまででも書けて、どこまで書いたらいいのかわからないって方もいます。

 書けない人には、自意識過剰。自分を振り返ってそう思います。パソコンに向かって解決する問題ではありません。意識改革の問題です。人に小説を公開するということが、自分の中でどういう意味を持っているのか考え直してみるべきだと思います。なぜ、不特定多数人に公開したいのか、自分に問うことです。

 逆に書けて書けての人には、小説は商品なんだということを強く強く主張したいです。

 私を含めて、どちらのタイプの方も、小説を客観視していません。突き放していない。放したくない人がいるなら、私は一緒に作家で飯を食えるようにはできません。文章が自分の感情のはけ口として許容されるのは中学生までだと思います。少なくとも、プロになりたいと思ったら、感情のはけ口はNGです。商品だとわかったら、商品として扱いましょう。

 編集や審査員が最も嫌うものの一つが、自己没入型の作品です。主人公と作者の分離を完全にした上で、主人公が見聞きしたり、感じたり、考えたりすることによって、ストーリーを進めていくのが商品としての小説です。反対の意見の方は、御自分の意見で進んで下さい。

 そんなことがわかっても、フロントからエレベーターに歩くまでの描写はできませんか? 翌朝、ホテルを出た時、感覚器の何が一番反応しますか? 空気ですか? 空ですか? 自動車の騒音? それとも、風ですか? 

 後のメッセージ性の話とも絡みますが、私は商品だから読者や出版社に媚びろとは言いません。ただ、商業として成功させたい人は、第三者が読んで退くものはやめましょう。

 描写には極意がありますが、この場で打てることは、筋に関係あることだけを書け、くらいでしょうか。すごく重い忠告だと思って欲しいです。真剣にプロになりたい方は、琴音がン十年修行して、やっとたどり着いた境地の一端をこのマジックワードから解いてみて下さい。そして、自分なりの美学を持つこと。書くか、書かないか、についての線引き基準です。マイナス感情は書かない。人をポジティブに捉えていく描写を心がけたい。Etc. なんでもいいです。自分の基準を作って下さい。理想を持つことです。文章上の理想形は人それぞれ違います。具体的であれば、あるほど、到達は早いです。

 そして、何度も書きますが、まず、同性の主人公が人として矛盾のない行動を取っているか、を意識して下さい。その感情発露は自然なのか? 小説のわかる方に読んでもらうのが一番なのですが、二、三日、課題と間隔を空けてから客観的に読み直してみるのも方法です。勘のいい方なら、それで直せるはずです。そして、それができるようになってから、相手方に推敲を入れてみて下さい。外形描写と若干の台詞だけで、相手の感情、気持ちを読者に届けなければなりません。奥義①の実践です。

 極めて抽象的にしか書けませんが、おひとり、おひとりの悩みと向き合わない限り、答えは書けません。ただ、万人に当てはまるのは、無駄なことは書くな、です。誰も、あなたにすら無駄なものに、客として対価は払いません。

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