『小説の技法』Lesson5 文豪に学べ!

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コラム
 今回は、「学びとしての読書」から「書く」ことを実践して欲しいという、お話を書かせて頂きます。真面目にやれば、効果は保証します。私もやりました。考えてみて下さい。
 これを書けば、小説が上達する? そんな文章あるんですか?

 答え:あるんです。
 小説以外に、練習すれば、小説が劇的にうまくなる文章ってあります。
 記事等の客観文もそうなんです。論文とかね。でも、勧めません。共通項が少ないです。
 やはり、あげるなら、具体的には「シナリオ」「脚本」「戯曲」。
 まず、あなたは、読まれますか? 読まないなら、大反省です。

 自分は、作家志望だから、小説を読みます、かもしれません。そういう意味では、私は最終的に舞台志望でしたし、シナリオも書いていたことがありますので、Luckyだったと思います。シナリオ、役に立ちますか? そう訊かれたら、大きく、うん、と頷きます。

 皆さん、ご承知のように、映画の脚本であるシナリオには、台詞とト書きがあるだけです。技術的な指示やイメージが書き込まれている場合もありますが、それは、業務通達のようなものです。そして、舞台の脚本である「戯曲」。こちらも台詞とト書きで成り立っています。

 シーンナンバーがあり、時刻、場所、登場人物、台詞、そして、ト書きにある動き。書かれているものはそれだけです。「鬱蒼とした森の中から闇にこだまするように、空気を切り裂く鵺《ぬえ》の鳴き声」は聞こえてきません。「鵺の鳴き声」。指示はそれだけです。

 自分の得意とする雰囲気作りの描写力も、きめ細やかな心理描写も書けないんです。
 ただ、動く。そして、台詞。それだけです。風景はありますが…。

 どうですか? 面白くできますか? 世にはシナリオの作成術などの本があります。正直、作家を志す者には、腹の立つ書です。こんな物の言うことを聞いていたら、アートは成り立たんよ!みたいな怒りが出ます。私は出ました。本をぶん投げました。
 でも、一つのひな型として、ムカつきながら、習得しておくべき技術だと思います。

 私は、シナリオの指南書が嫌だったので、直接、好きな映画のシナリオだけを読んでいました。一番、好きだったのは、クエンティン・タランティーノの脚本です。面白い。何が面白いって、「セリフ」です。うまい! 筋の転がし方もうまい! 脚本で笑い転げて、泣いて、唸ります。若い方には、ピンとこない監督かもしれません。Wikipediaへ、GO!です。

 シナリオを描いてみることで、まず、圧倒的に、無駄描写、無駄な心理描写を書いていたことに気が付くと思います。シナリオは、ちょっとした「動き」で心理すべてを表現します。

 そして、このト書きと台詞を生舞台で演じるために書いているものが「戯曲」です。文筆の最高峰が「戯曲」なんだそうですよ。プロになって教えられました。一番、難しい、と。

 お勧め? 
 三島由紀夫。

 戯曲の最高峰は、三島由紀夫さんの「近代能楽集」です。ト書きが美しい。台詞も美しい。
 本当に、自分の台詞の冗漫さも、描写のくどさにも、苛立つようになりますよ。
 一緒に、勉強しませんか? とにかく台詞の息遣いというものがわかります。


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