『小説の技法』Lesson6 文体に悩む頃

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 あなたは、自分の「文体」について悩んだことがありますか?

 「文体」について、私が初めて考えたのは、小6の時。新聞の日曜版のちょっとした娯楽のコラムに、文体模倣というものが載っていました。
 そう、例えば、漱石の「猫」の文体で、トイレシーンを書くとか。すごく猥雑なものでした。谷崎とか、永井荷風とか、川端氏、勿論、芥川龍之介風などもありました。
 大人たちは、笑うのです。私には、何が何やら???でした。どこが面白いのかわかりません。で、聴くと、人は、文章を読んだだけで誰が書いたかわかるのだというのです。びっくりしました。文章の「個性」だと説明されました。

 その日から、私は小説を読む時にも、その文章の「個性」を気にするようになりました。
 で、何が個性かと言えば、まず、「字面」。ひらがなと漢字の割合、文章の長い、短い、ぱっと見です。勿論、文法的な特徴もあります。「だ、ある」「です、ます」が一番、わかりやすい例ですよね。そして、接続詞のある、なし。句読点の打ち方などなど。この文法上の好みっていうものも、自分で認識するか否かで温度差はありますが大きいものです。

 でも、作家になろうという人々が気にかけるのは、多く、言葉の選択の感覚だと思います。「綺麗な首飾りが映える」のか「美しいネックレスが似合う」のかという話です。これは、もう、各人の素養の問題です。どれだけ学び、捨て、自分のものとしたか。好みでしょう。

 そして、なんだか理由はわからないけれど、自分の文章が嫌で、嫌でたまらない病の人。それが、「文体」の最も大きな個性である「リズム」と「音」の問題だと思います。大嫌いな歌。声が嫌も勿論ありますが、リズムと旋律が気に障るでしょう
 今、オーディブル・ブックが流行っているそうですが、それなら、猶更、意識すべきです。

 この問題に関しては、あなたの書いたものを読んで、いいセンスだと言ってあげることはできても、こう書けば、「リズム」と「音」が完璧に整います。と、いきなり、改善することはできません。毎日、この小説論を、少しずつ読んで行って下さい。

 まず、1Stepからです。自分の文章を耳で聞きながら、書くことを心がけてみて下さい。私は、いつも、右耳で自分の文章の音とリズムを聴いています。読みながら打つ(書く)のではなく、文章を脳内で聴きながら打って(書いて)下さい。
 聴いていると、あれ、文章のリズムが良くないなぁ。つまり、読みづらくて引っかかったり、読めるけれど、音として美しくなかったり、気になってくるはずです。

 詩を書く方なら、納得しやすい感覚だと思います。参考になるかもしれないので、影響を受けた詩集を一冊、本棚に入れておきます。私の趣味です(笑)。
 次回は、この続きで、母音(あ、い、う、え、お)と感動の関係を書きます。私が忘れないように📝として書きました。予告です。

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