『小説の技法』Lesson2 苦手なシーンの克服法

記事
コラム
 まえがき、Lesson1と、技法と呼ぶには、少し精神性に傾いた話が続きましたので、今日は、あなた、家で自習してみて下さい、という文章力向上練習について書こうと思います。というより、小説そのものの、あるいは、思考そのものの改変に繋がるかもしれません。

 あなたは、俗にいう筆が逃げるという経験をしたことはありませんか?
 平たく言えば、書きたい場面があるのだけど、思うように書けない。考えていたより、描写が長くなってしまった、回りくどくなってしまった、あるいは、書かない、少ししか書かない選択にした、そんな経験です。自分の中では、正当化されていて気づきづらいかもしれません。でも、苦手なもの、誰にでもある物です。カエル、蛇、蜘蛛とかね…。それなのに、書くのが苦手なシーンがないわけがないです。

 十代だった私には、それは、後々性描写に発展していかざるを得ない恋愛の深まっていく場面でした。硬くなるのです。筆が淀んだり、避けて1シーン追加してしまったり、結局、書くのが億劫になり、お蔵入りにしてしまう原因となっていました。
 当時、私には九つ上の社会人の恋人がいました。悩みが重なったのでしょうね。私の創作したものを読む人でしたから、女の子として、恥ずかしいのも大きかったと思います。
 恋愛小説で、手をつなぐ場面。キスシーン。あぁ、もう、ダメだ、ドッポーンです。

 でも、私は作家を含む表現者という職業に就きたかったので、逃げるわけにはいきません。
 で、考えた末、私、朝から晩まで、何か月も、ポルノシーンだけを書き続けました。
 恥ずかしい話ですね。本当に、飽きるほど書いたのです。ポルノシーン。
 恋人はわかってくれていましたよ。私が何でそんなことばかり、受験勉強の陰でやっているのかを…。部屋に置いておくのも恥ずかしいノートが山のように出来上がりました。

 そして、結局、なるほど、SEXシーン、いろいろタイプはあるが、ほかの場面と変わりないなって思えるようになりました。で、恋愛小説に戻ってみると、キスしようとした瞬間、宅急便が来るとか、電話が鳴るとか、外を歩いていて、急に寒くなったから帰るね、とか、書かなくなり、そのうち、性的な場面自体、いらなくなりました。意識していただけなのです。

 幼稚な悩みかな。でも、SEXに限ったことじゃないです。政治的なシーン、アクションシーン、雑踏シーン、皆さん、何らか苦手なシーンがあるはずです。狂ったように書いてみましょう、そればっかり。恥ずかしさも、テレもなく、パソコン上で、同じ速度で書けるようになるまで習熟しましょう。コンプレックスの打破です。
 あるいは、全く歯が立たないとわかったなら、潔く、時間を資料の読み込みに充てましょう。あなたは、まだ、よくわからないのです、その専門分野のことが。

 自分が意識してしまうシーン、書き淀んで、書き直しばかりするシーン。
きっと、小説を書く方なら、誰にでもあるはずです。
 どんな、バカなことをしてでも、乗り越えてみましょう。
 次回は、そんなバカなチョモランマ作戦についてお書きします(笑)。

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す