『傷病手当金』に【待期期間】の制度が設けられているのはなぜかを解説!

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法律・税務・士業全般
健康保険の傷病手当金の支給について、【待期期間】の制度が設けられているのはなぜでしょうか?

【待期期間】はなぜあるのか?


傷病手当金は、療養のため労務不能となった日から起算して第4日目より支給され(健康保険法第99条)、労務不能となった日から起算して3日間は傷病手当金の支給はありません。

この3日間の期間を【待期】といいます。

【待期】を設けた理由は、“虚病”の防止のためであるといわれております。

“虚病”とは、ずばり嘘の病気ということですね。

すなわち、【待期】の3日間は、傷病手当金の支給はなく、また、通常事業主からの報酬も受けられないとすれば、何も収入がなくなることになります。

この収入を失うことを犠牲にしてもなお“虚病”をいう者はなくなるであろうと予想されるからです。

【待期期間】は連続する3日間?


【待期期間】は3日間連続している必要があります。

療養のため労務に服することができない日が3日間連続してはじめて完成します。

したがいまして、1日、休み。2日、休み。3日、休み。4日、休み。の場合は3日をもって【待期】が完成することになります。

1日、休み。”2日、出勤”。3日、休み。4日、休み。のような場合は、【待期】は完成していないことになります。

早退した日は【待期期間】にできるか?

【待期】の起算日について、1日目が出勤日だった場合の考え方を解説いたします。

「就労時間中」に労務不能となったとき、その日は【待期】に入るでしょうか?

就労時間中に業務外の事由で発生した傷病について労務不能となったときは、その日を待期の初日として考える場合にのみ、労務不能の日とされ、【待期期間】中に算入されてその起算日となります。

たとえば、就労時間中に業務外の事由として発生した傷病について労務不能となって退社した日に引き続いて翌日、翌々日が労務不能で休業すれば、【待期】は完成します。

月曜日に、普通に会社に出勤して、午前中はいつもどおりに仕事をこなし、「でも、頭が痛いな、熱っぽいなあ、」と思い早退したとします。

早退して、クリニックに受診したところ、『インフルエンザですね』と診断され、そのまま1週間、金曜日までの療養となった場合を考えてみます。

月曜は出勤していますので、火曜日を待期の1日目として考えると、火、水、木の3日間で待期完成、4日目の金曜日は傷病手当金の支給日となる、

と考えるかたも多いのですが、この場合、

早退した日を【待期】の1日目としてカウントOKですので、月、火、水の3日間で【待期】完成、4日目以降の木、金の2日間が傷病手当金の支給期間となります。

1日間の差ですが、大きい差となります。

傷病手当金を申請するときはご注意ください。

また、『就労時間終了後』に労務不能となったときはどのように判断すればいいでしょうか?

出勤した日の丸1日間は、いつもどおりに働けた場合を考えてみます。

月曜日に会社に出勤し、丸一日お仕事をされて、業務終了後に、「体調が悪いな」と感じ、クリニックに受診、『インフルエンザですね』と診断され、次の日の火曜日から金曜日まで会社を休んだとします。

この場合は、労務不能となった火曜日から待期の1日目としてカウントしなければいけません。

火、水、木の3日間で待期完成、4日目の金曜日が傷病手当金の支給期間となります。

傷病手当金を審査する際には、申請書にご記入された「申請期間」をもとに審査されます。

火曜日からの申請期間であれば、火曜日から【待期】をとり、支給決定されます。

その場合、月曜日が早退だったのかどうかは確認されません。

早退した日から申請期間とするのか、次の日から申請期間とするのか、支給金額に影響がありますので、損しないように申請するのが大事ですね。




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