石黒浩(ロボット学者)×後藤典生
某化粧品メーカー 小冊子より
禅の考えの特徴が、ミニマリズムにあるとするならば
僕(後藤)はマキシマリズムという立場をとりたい
例えばラーメンで‘‘全部のせ‘‘ってありますが
普通は多分、全部はのせなくて
玉子やチャーシューの好きなトッピングを選ぶわけですが
それを‘‘全部のせ‘‘にした極限でしか分からないこともある
サイエンスは基本的には要素を削っていくことが多いですが
僕は全部やらないと見えてこない何か、があると考えます
禅のように削ぎ落す快感もあれば
逆に過剰性の快感もある
たまに一つのことで追いつめられて悩む時がありますけれど
それは暇だからかもしれない
マキシマリズムの精神でなんでもかんでもやっていると
悩んでいる暇はない
悩んでいてもろくなことは浮かばないし
走りながら考えるくらいが本当はちょうどいい、と思うんです
まるで子どもが、生まれて初めて海を見た時のような感覚で
びっくり出来ることにたくさん触れる方がいい
勉強していろいろな常識と偏見を持ってしまうと、新しいものに接触しても
それまで学んだフィルターを通してみようとして
つまらないことしか考えない危険がある
だから、子どものこころが何か新しい事をするときは大事なんだと思います