胚培養士(エンブリオロジスト)のお仕事

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閲覧いただきありがとうございます!
東京都内の不妊治療クリニックで胚培養士をしています、フクワライ(embryology2901)という者です。
今回は、私の職業である「胚培養士」についてご紹介します。

胚培養士とは?

胚培養士(エンブリオロジスト)とはどんなことをする人なのか、ご存じの方は少ないと思います。(初めて聞いた人がほとんどかもしれません)
胚培養士の学会である「日本卵子学会」では、胚培養士は以下のような人とされています。
生殖補助医療を目的として、医師の指導の下に体外で配偶子及び胚を扱う業務に従事する。
またもう一つの胚培養士の学会「日本臨床エンブリオロジスト学会」では以下のように書かれています。
不妊治療ラボの専門技術者がエンブリオロジストです。
仕事は、精液検査、良好精子収集、医師が採取した卵胞液から卵子収集と培養、媒精(シャーレ内で精子と卵子を混合培養して受精を促す)と顕微授精(顕微鏡下で卵子に精子を注入)...受精確認(卵子内に精子と卵子由来の2つの前核を確認)し、別の培養液を入れたシャーレに移して胚を育てます。他に精子や胚の凍結保存および融解や孵化補助などの処置もします。
・・・知らない言葉がたくさん、っていう感じですね!
ざっくり言うと、
「不妊治療をする病院で、精子の検査をしたり、精子と卵子を受精させたり、受精させた胚を培養して移植したりする人」
です。

流石にこれだけだと分からないことが多いと思うので、もう少し詳しく解説させていただきます。

精子調整

人工授精や体外受精を行う際、できるだけ良い精子を選び集める必要があります。
これを精子調整と呼びます。

精子調整をする前には精子の様子を顕微鏡で観察し、精子の数や動き、形に異常がないか検査します。
その後、遠心分離をしたり、特殊な器具を使用したりして良い精子を集めます。
この集めた精子を子宮内に注入する(人工授精)、または採取した卵子と受精させる(体外受精・顕微授精)、また凍結するなどして使用していきます。

受精・培養

体外受精を行う場合、まず最初に採卵(体内で発育させた卵子を体外へ採取する)を行います。
その卵子に対してIVF(ふりかけ法)やICSI(顕微授精)という受精操作を行うのも胚培養士の仕事です。

受精操作を行った後は胚を培養していきます。
必要な栄養が入った培養液に胚を入れ、体内と同じ環境にした培養器内で培養します。
その後胚の観察をしたり、必要に応じて培養液の交換などを行ったりしながら胚が成長するのを待ちます。

胚凍結・融解

成長した胚はそのまま移植されるか、凍結を行います。
胚の凍結には専用の凍結液を使用して胚に適切な処理をし、液体窒素の中で保存します。
また凍結した胚を移植する際には、また別の融解液を使用して胚を融解します。

胚の凍結だけでなく、受精する前の卵子を凍結・融解する時もあります。

移植

培養して成長した胚、または一度凍結した後に融解した胚を子宮内に戻すことを移植と言います。
胚をカテーテルという管の中に吸い、医師と一緒に子宮内へお戻しするお仕事になります。

患者対応・事務仕事

精子・卵子・胚に関すること以外にも様々な業務があります。
病院によっては患者さんと直接お話して培養・胚の説明を行ったり、患者さんとカウンセリングを行ったりします。
その他にも培養液の在庫管理、液体窒素タンク・培養器の状態確認、後日使用する培養液の準備、などなど、意外と事務仕事も多いです。

最後に

今回は胚培養士のお仕事について解説しました。
とてもざっくりとした説明だったのでわからない点もあったかと思いますが、改めて今後ブログで詳しく解説していこうと思います!
もし胚培養士や不妊治療について知りたい事がありましたらメッセージ等いただければ解説させていただきますのでよろしくお願いします!

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