こんにちは。
もう2月も終わりですね。春めいた日差しに、心も体もあたたかく感じるこの頃です。
まだまだ寒い日も続くようですので、雪の多い地方の方はお気をつけてお過ごし下さいね。
さて、前回に因んで今回も、振動によるヒーリングについてお話ししたいと思います。
数学と幾何学の父と呼ばれ、「哲学」という言葉を初めて使ったギリシャの伝説的な思想家ピタゴラスは、2500年以上前、ある鍛冶屋の前を通りかかったとき、中から鉄を叩くハンマーの音に立ち止まり、そのハンマーが不思議なハーモニーを奏でていることに気づきました。
中に入って調べてみると、音の調和しているハンマーは「比」という単純な数学的関係を持っていることがわかったのです。
そこで彼は、ガラスに入れた液体やパイプ、自作の弦楽器を何本も使って、実験と調査を始めました。
その結果、彼は音楽が「神聖幾何学」の表現であるだけでなく、実は医学であるという結論に達しました。
彼は、自分が作った楽器で「魂の調整」を行い、この調整が魂だけでなく、心を浄化し、身体を癒すと説いています。
3世紀のシリアの哲学者イアンブリコスによると
「ピタゴラスは、身体と魂の両方の病気を抑制し、治療するために音楽の薬を考案した」とあります。
つまり、ピタゴラスは数千年後のテスラと同じように、さまざまな病気やケガを治療するために振動医学を利用していたのです。
ピタゴラスに導かれ、古代ギリシャ人は振動医学に精通するようになりました。例えば弓のような楽器の弦を怪我の上で弾き、振動を起こすことで兵士達を治療しました。
この振動によって、膿がより自由に排出され傷が早く治癒することが示されました。
さらに、「癒しの部屋」を使って眠らせ、寺院の中の反響する空間で、音と振動を浴びながら眠ったのです。
振動医学は、ギリシャ人だけでなく、様々な国の文化で利用されていました。
ピタゴラスは、20年以上にわたってエジプトに滞在し、科学、医学、数学、天文学の秘密を学んだ最初のギリシャ人です。
それゆえにピタゴラスがそこで必然的に触れたかもしれないエジプトの知恵、それは音と振動による癒しの力でした。
エジプトでは、ある特定の共鳴する母音を儀式に使っていました。
この母音は神聖視され、日常言語では禁止、象形文字という書き言葉にも登場していません。
さらに、エジプト人は儀式の際に「シストラム」と呼ばれる、金属製の円盤を取り付けたガラガラとい鳴る楽器を使用しており、これが非常に高いレベルの超音波を発生させることが分かっています。
エジプトの考古学者アブデル・ハキム・アワヤン博士のように、ピラミッドそのものがサウンドヒーリングに使われていたのでは、と考える人もいます。
ピラミッドの内部から発見された大きな花崗岩の石棺は、石棺ではなく、人が横たわり、部屋の中で共鳴する音の振動を吸収するための台座であったというのです。
「ピラミッド内の各部屋は、人体の高調波を再現した特定のリズムを持っています。
そして、サウンド・ヒーリングの技術を使って、患者の身体を適正な振動数に戻すことができたのです」
エジプトのピラミッドがサウンドヒーリングに使用されたかどうかを考える際、1900年代初頭にマルタ島で同様のしかももっと古い神殿が発見され、新石器時代の地下複合体が "並外れた音の装置 "を持っていたことは、言わずにおれません。
ハイポジウム神殿(イブサル・サフリエニ・ハイポジウム )について考古学者フェルナンド・コインブラは、この施設内で、「音が自分の体を横切っていくのを感じた」と述べています。
「彼は、音が高速で自分の体を横切り、リラックスした感覚を残したといいます。それを繰り返すと、またその感覚が戻り、音が自分の体から壁に描かれた古代の赤黄土の絵に反射しているような錯覚に陥った" と述べています。
これは、先のアブデル博士がエジプトのピラミッドで述べているのと同じ効果なのでしょうか。
コインブラの研究チームは、地下のすべての部屋が同じ周波数、つまり111Hzで共振していることに注目しました。
つまり、111Hzが「聖なる周波数」と呼ばれていることだけでなく、ピタゴラスが前述のハンマーの体験後に行った実験で音階を作ったとき、それがAの音から始まり、111Hzで共鳴していたことから、それは重要な意味があるようです。
しかし、振動医学はさらに遡り、人類の文化に影響を与えています。
4万年前のオーストラリアでは、世界最古の管楽器「イダキ」(現在は「ディジュリドゥ」として知られています)が、骨折や筋肉の断裂、病気を癒すために使われていました。
ネイティブアメリカンのパウワウは、ドラムを叩き、詠唱し、歌うことで、何千年も前から心身の病気を治すために使われてきたそうです。
チベットの仏教僧は、長い間、シンギングボウルとゴングの振動を儀式や瞑想に取り入れてきたのは、多くの方の知るところです。
・・・数え上げればきりがありません。
つまり要約すれば古代の文化は、音と振動のヒーリングエネルギーについて知識を持っていた、ということでしょう。
これら音に関する秘密は、単なる空想なのでしょうか?
私自身、ある時期アマチュアオーケストラで演奏をしていた経験がありますので、音による身体的精神的作用は、身をもって経験しています。
素晴らしい演奏が生まれそうだ、というのは肌で感じます。
それは単なる技術に対する期待ではなく、心身で浴びる美しい音の渦中へうねりとともに沈んでいく、それを待つ感覚です。
やがてそれは頂点まで高まり、その高揚・歓喜は、その中にいるものにしか与
えられない神の贈り物です。
その体験をしたくて音楽をやめられない、という方が多いのではないでしょうか。
サウンドヒーリング、それは神話ではなく世界中の科学者たちがいずれ肯定せざるを得ない、科学なのかもしれません。