入門英文法(受験英文法の問題点)

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✅まえがき

 グッモーニン。合格サポーターの佐々英流(ササエル)です。ササエルは、高校初級レベルの英文法を、使える英語を身に着ける上で、非常に重要だと考えています。ですが、通常、このレベルの英文法は、受験英文法の入り口として、英語を道具として使う上では、むしろ邪魔と言われることすらあります。

 では、使える英語を身に着けるための英文法とは、一体、どのようなものでしょうか?これを探るため、今回は、あえて、受験英文法の問題点を考えてみます。
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✅受験英文法の問題点

 まず、受験英文法とは、何でしょうか?ここでは、大学受験を目的とした英語を中心とした英文法教育を指すこととします。つまり、受験英文法とは、大学入試などの試験で、合格点をとることを最も重要な目的とした英文法です。では、ササエルが考える、受験英文法が抱える問題点を列挙してみます。
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①正解がある

 いやいや、正解があるのは、当たり前でしょうと、思われるかもしれません。果たして、そうでしょうか?唯一の正解があるのは、受験英語だけです。もちろん、文法的なミスは少ないほうがベターであることは、言うまでもありません。ですが、私達は、母国語ですら、ある程度のミスを犯しつつ、日常を送っていますよね。外国語である英語で、文法ミスを防げないのは、当たり前のことだと言えるでしょう。

 ですが、受験英語を極めれば、極めるほど、文法的なミスに対する嗅覚が研ぎ澄まされてきます。例えば、『I go to the school.』といった文を見ると、反射的に誤りと感じるようになるわけです。しかし、『I go to school.』が正しいのは、主語が学生の場合のみです。学生の父親が主語なら、『I go to the school.』は正しい文だと言えますね。こうした、広い視野を失って、学校で習った、『I go to school.』しか、許されないと考えていたなら、それは、思考停止なんです。

 つまり、心むなしくして、正しいとされている知識を、ただ覚えるだけになっているわけです。

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②不正解がある

 正解があれば、不正解があるのは、当然でしょうと思われるかもしれません。ですが、この不正解が、多くの学習者を苦しめているのではないでしょうか?ダメ英語の烙印を押されるようなものですから。確かに、『Let's us go.』と言えば、笑われるかもしれません。ですが、意味は通じますよね。例え文法的なミスを含んでいるとしても、コミュニケーションが成り立っていれば、決して不正解ではないはずです。正しい英語が、アイディールであるとしても、こんな英語もOKの範囲に入るはずなんです。

 その上、不正解を恐れるあまり、本当の生きた英語にチャレンジする機会を失ったり、積極的に生かすことができない、メンタリティを形成しているのではないでしょうか?失敗してもいいから、もっと、英語に触れるべきなんです。
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③英分法になっている

 受験英文法は、分類するだけの、英分法になっているのではないでしょうか?英文法は、分類することで、英文のルールを分析していきますが、分類するだけで終わっているように感じるのです。

 例えば、5文型ですが、受験英語では、各文型についての説明が中心となります。確かに、受験という目標から言えば、与えられた英文が、どの文型に該当するのかを、見抜く力こそ、最重要であるかもしれません。その証拠に、5文型は、英文解釈、長文読解でも、軸になる知識です。

 ですが、使える英語を身に着けるという視点で考えると、もっと重要なことがあると思うんです。それは、日本語では助詞を使って語順を自由に変えられるのに対し、英語では助詞を用いず、語順によって表現するということです。こうした、英語のフォーマットに、言いたいことを、入れていくだけで文ができるのが、英語の利点です。非常にシンプルな、並べるだけの、簡単言語だと言えるでしょう。

 端的に言えば、『主語 + 動詞 + その他』が英語の基礎をなすフォーマットです。5つに分ける前に、この大原則を学ぶべきでしょう。こうした事が、抜け落ちているように感じるわけです。受験英文法が分類するだけで、文法の本質を伝えていないのであれば、英文法ではなく英分法に成り下がってしまいますね。
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④文字面だけを追っている

 英文法だから、当たり前なのかもしれませんが、文字面だけを追っているように思います。例えば、強調構文で、『 It was you that started talking about it.』の『that』は、かなり弱く、『ザッ』くらいの感じで発音されます。これを、『ザッ』などと、ありもしない母音を力強く発音していては、強調構文の形は理解できても、心は掴めそうにないですね。

 つまり、発音、イントネーションといった音の部分も、英文法の一部を構成しているはずなんです。同じ『Excuse me.』でも、イントネーション次第で、『すみません。』にも『コラ、待て、タコ!』という意味にもなります。文字面だけを追っていては、英文の意味を正しくとれないのです。

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⑤暗記中心

 いやいや、受験英文法は理解が大事ですよという意見もあるでしょう。確かに、英文法の問題を解くには、単なる暗記では太刀打ちできません。なぜ、これが答えになるのか、理由を説明できなくては、いけません。

 ですが、そこ止まりなんです。もっと、考えてほしいんです。例えば、完了形には、完了、継続、経験の3つの用法があるのですが、なぜ、この3つの用法があるのかを考えてほしいわけです。確かに、教科書には載っていないかもしれません。ですが、英文法に対して疑問を持ち、探っていくことでこそ、英文法の本当の姿を理解できるのではないでしょうか。

 その意味で、受験英文法は、正解を出すためのノウハウや知識を身に着けるレベルの学習にとどまっていると言えます。もっと、踏み込んで探求することでしか、ネイティブのフィーリングは掴めないのです。

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⑥後ろから訳し上げる

 英文和訳の手法として学ぶのが、『後ろから訳しあげる』ですね。例えば、『He married a woman whom he met in the hospital.』であれば、『病院であった女性と彼は結婚した。』となりますね。確かに、日本語として自然な文になります。ですが、英語を道具として使うという目的からは、これは悪手です。 
 英語を道具として使っていく立場からは、英語の語順通りに意味を取っていく必要があります。会話するときに、後ろから訳し上げるなんて発想は、そもそも、湧き上がってこないでしょう。従って、こんな感じで意味をとります。『彼は結婚した女性と、彼は病院内で出会った。』
 できれば、英語学習者が、和訳することなく、英語のまま、意味をとっていきたいところです。それが、究極的に目指すべきところなのです。
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✅まとめ

ここまで、受験英文法の問題点を列挙してきました。もちろん、受験英文法にダメ出しをすることが目的ではありません。受験英文法の問題点を土台として、使える英文法を探っていくことにあります。それが、ササエル式の入門英文法の軸となっています。ササエル式入門英文法の考え方は、別の機会にお伝えします。


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