ニッチなトレンド!Frutiger Aeroの未来的世界観とは

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コラム
時は2004年、それまでポップカルチャーを席巻していたY2Kと呼ばれるトレンドが勢いを失い始めたころ、その特徴を一部引き継ぐ形で新しい美学・デザインスタイルが誕生しました。

その期待の超新星の名はFrutiger Aero(フルティガー・エアロ)

ダイナミックで斬新なインスピレーションあふれるY2Kへのノスタルジーは、多少方向性は違えど同じような特徴を持った後継者、Fruitiger Aeroへと向けられ始めているのかもしれません。
TIKTOKではハッシュタグ #frutigeraero の再生回数が2800万件を超える人気を獲得し、じわじわと人気が広がり始めているようです。

Frutiger Aeroって何?

Frutiger Aeroが誕生したのは2004年から2013年ごろのこと。
当時この美学がどのような名前で呼ばれていたのか、それとも名前などなかったのかはわかりませんが、近年になって美学研究者のSofi Lee(ソフィー・リー)さんという方がFrutiger Aeroという愛称を命名しました。
Frutigerは当時多用されていたフォント名、AeroはWindows Vistaのデザイン言語であるWindows Aeroからそれぞれ組み合わせて作られました。

Frutiger Aeroはさわやかで牧歌的な空気が感じられる世界観の根底にテクノロジーと自然の融合というコンセプトが感じられ、ある種ユートピア的な未来感が形作られています。
その要素をひとつひとつ見てみると、Frutiger Aeroの登場以前に大きなトレンドとなっていたY2Kとの間には共通するものはあれど、その趣はやや異なっていました。

Frutiger AeroとY2Kの違い

Frutiger AeroとY2Kの間には、3Dのリアリズムや光沢感などに表れるスキューモーフィズム(現実にある物質を模倣したデザイン)、先進的なテクノロジーや未来的な世界観が共通しています。

しかし決定的に違っているのは、それぞれが指し示している未来のビジョンにあります。
Frutiger Aeroにはこれからより発達するであろうテクノロジーの先にある、自然と共生した理想的な「地球の」未来が描かれている一方で、Y2Kには地球の歴史の延長線上にはない、どこか他の惑星のサイバーな世界観が表現されているように思える点です。
Y2Kは個性的かつ先進的ではあるものの退廃的な雰囲気が感じられる美学であるのに対し、Frutiger Aeroはどことなく楽観的で親しみやすい、希望あふれる雰囲気が感じられます。

Frutiger Aeroが現れ始めた2004年あたりは、iPodのブレイクやYoutubeのリリース、Windows Vistaの発売など、テクノロジーやIT業界に劇的な変化がみられた年代。
当時の人たちの胸には、これから訪れるであろう快適で便利な未来への期待があったのかもしれません。

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Y2Kのリアルで近未来的なビジュアル
( Y2K Aesthetic Institute Tumblr より)

なぜ注目されているのか

今Z世代がFrutiger Aeroに惹かれているのはファッショントレンドのように周期的にやってくる単なる一過性のブームなのか、それとも子供の頃を懐かしく思うノスタルジーからなのでしょうか。

現代では様々なジャンルで洗練されたミニマルなスタイルが主流ですが、それゆえに活気や個性が失われがちであり、それは時代の空気感の反映でもあります。
2000年代のデザイン、特に理想的な未来への希望を表現しているFrutiger Aeroのカラフルでダイナミックな雰囲気は、今日のミニマリズムとは対照的であるがゆえに、多くの人にとって刺激的で独創的な印象をあたえます。

Z世代にとって、2000年代のノスタルジーはたんなる過去への憧れ以上のもの。その時代の楽観的な空気感や大胆な個性、そして素朴な時代の安らぎに憧れているのではないでしょうか。
Frutiger Aeroもまたその時代の価値観を表現し、現代のミニマリズムに対する新たな視点を提供しています。
彼らにとって、Frutiger Aeroは失われた過去への懐かしい思いと新たな希望をもたらす、斬新な価値観として見られているのかもしれません。



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