【シュール散文詩】「密談の場所」など

記事
小説
「密談の場所」

大企業の社長が

政治家に賄賂を渡す

その決定的な場面を

プリクラの撮影機は捉えていた

「彼女の悩み」

彼氏がエッチのとき

お腹周りと

手首と

おでこばっかり

愛撫してきます

あと触りながら

甲高い奇声を上げるんです

やっぱりあれですよね?

剣道辞めさせた方がいいですよね?

「たこ足配線」

たこ足配線の底力を思い知れ

地声のままで

与党に返り咲いたんだぞ

「気分の乱高下」

恐る恐る前髪を掻き上げたら

案の定禿げていたが

意外にも第三の目があって

真実が見えるようになった

睫毛は禿げている

「責任」

私が吐いたゲロ

その温もりでヒヨコが孵化した

後ろめたい

大切に育てよう

「歯科検診」

1から3、斜線

4、C2

5から……

あ、ちょっとストップ

お手洗いに行ってきますね

どこまでチェックしたか分かるように

歯の間に栞を挟んでおきますね

これで濡れた手を拭けますしね

「ペット」

ペットが上告した

どうやら最高裁まで争うらしい

やっぱり犬にしておくべきだったな

「ボタン」

シャツの一番下のボタンが

留まらずに余った

どこからズレているのか

元を辿ってみると

生まれて来ない方がよかったと気が付いた

「プロポーズ」

一緒に生きていきましょう

不細工になってゆく

互いの顔を笑いながら

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