幼馴染の男女が喫茶店で喋っている。
女:……そういえば、話って何?まあ大体予想ついてるけど。
男:実は最近、気になってる人いるんだよね。
女:やっぱり。この前の人とは別?
男:そうそう。また新しい人。
女:あんたって本当恋愛体質だよね。
男:お前だって人のこと言えないだろ。
女:まあ、それはそうだけど。っていうか、また相談乗って欲しいんでしょ?
男:そうなんだよ。女性目線の意見が欲しくてさ。恋愛相談できる女の人ってお前くらいしかいないんだよ、だからお願い!
女:分かった分かった。幼なじみが一肌脱ぐよ。で、どんな人?
男:この人なんだけど……。
男:(女に携帯を見せる。)
女:え、この人?
男:そう。可愛くない?
女:可愛いけど……やめといたら?
男:え、何で?
女:だって………
女:明らかに小学生じゃん。
男:そう。近所の公園で知り合ってさ。どうかな?
女:ないない。
男:駄目?なんで?
女:普通に考えたら分かるでしょ。
男:なにが駄目なんだよ?
女:だって……その子、絶対遊んでるよ?
男:え?マジで?
女:うん。だって小学生だよ?そりゃ遊びまくるでしょ。
男:え~遊んでんのか~。それはないな。
女:中学生だったらいいけどね。その年頃から遊ぶ頻度も落ち着いて来るし。
男:そっか……。
女:女なんて星の数くらいいるんだから、他の人にしなよ。
男:うん、そうするよ。
女:なんか諦め早くない?
男:実は、他にも2人くらい気になってる人がいてさ。
女:あんたって本当恋愛体質だよね~。
男:だからお互い様だろ?
女:まあね。で、どんな人たちなの?
男:え~と……この人!
男:(女に携帯を見せる。)
女:ひこにゃんじゃん。
男:そう、この中の人が好きでさ。
女:着ぐるみアクターってこと?
男:そう。イベントの裏方のバイトした時に知り合ってさ。
女:なるほどね。
男:どうかな?
女:う~ん……やめといたら?
男:この人も?なんで駄目なんだよ?
女:だって……猫被ってるじゃん。
男:あ、そうか。
女:そうだよ。猫被ってる人は良くないって。
男:確かに良くないな……じゃあこの人は?
男:(女に携帯を見せる。)
女:何これ?
男:自動車が他の車と衝突する瞬間を捉えた写真。
女:え~無事だったの?
男:幸い無傷で済んだって。俺、この驚いてる顔が好きなんだよね~。どうかな?
女:やめときなよ。
男:この人も駄目?
女:ないない。だって……ジコチュウだよ?
男:あ、確かにジコチュウか。じゃあないな。
女:ジコチュウの女の人好きになったら、絶対上手く行かないから。ほら、次の人見せて。
男:あ、いや、確かにいるんだけど、やめておくわ……。
女:なんで?水くさいな~。
男:そっちこそ、気になってる人いないのかよ?
女:まあ、気になってるのは、いるっちゃいるけど。
男:やっぱりお互い様だな。写真見せて。
女:分かったよ……じゃあこれは?
女:(男に携帯を見せる)
男:お前、こんなチャラいやつ好きだったんだ。
女:ああ、違う。毛先。
男:毛先?
女:この男の人じゃなくて、この男の人の毛先が好きなんだよね。
男:お前、毛先と付き合いたいって思ってるの?
女:そう。毛じゃなくて、毛の先と付き合いたいんだ。
男:じゃあやめとけよ。
女:なんで?
男:だって……絶対遊んでるでしょ。
女:そうかな?
男:だってチャラ男の毛先だよ?本人以上に遊びまくってるでしょ。っていうか遊ばされまくってるって。
女:そっか、どっちにしても嫌だな……じゃあこれは?
女:(男に携帯を見せる。)
女:可愛いでしょ?
男:やめとけよ。
女:なんで?
男:こいつ、絶対猫被ってるから。
女:被ってるかな?これは表の姿が中身のままだと思うけど。
男:そういうやつ程、猫被ってるんだよ。
女:この猫、猫被ってるのか……じゃあこれは?
女:(男に携帯を見せる。)
男:やめとけよ。
女:なんで?経済力あるよ?
男:そうだけど駄目だよ。
女:あ、自己中っぽいから?
男:いや普通に。普通にやめとけ。
女:そっか、普通に駄目か……。
男:当たり前だろ。常識的に考えて金正恩と付き合いたいなんておかしいよ。毛先とか猫ならまだしも。
女:そっか……。
男:今ので全部?
女:いや、実は、まだ気になっている人がいて……。
男:もういいよ、どうせ見る目ないんだから。
女:いいから、一回見て。
男:分かったよ……。
女:これなんだけど。
女:(携帯を男に見せる。)
男:……俺じゃん。
女:うん。実はずっと気になってたんだよ。いつも傍で支えてくれたし。
男:そっか……あのさ、俺も、気になってる人がいるんだよね。その人は昔から俺の傍にいてくれてさ、悩み事とか聞いてくれて、心の支えになってくれるって言うか……。
女:うん……。
男:それが、この人なんだよね。
男:(携帯を女に見せる。)
女:……あんたじゃん。
男:そう、俺自身。結局、俺自身が一番俺を理解して、支えてくれるから。
女:……やめときなよ。
男:なんで?
女:そいつ、最低だから。
男:そっか……俺たちって本当、見る目ないよな。
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