ビフィズス菌の役割

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はじめまして。文章校閲や論文解説などのサービスを出品している
ヒロと申します。

某企業で研究開発に携わっています。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

突然ですが、皆さんは健康に気をつかっていますか?
最近では腸活なども話題になっているため、腸活のために乳酸菌などを
積極的に摂取している人もいるのではないでしょうか?

今回、ビフィズス菌にまつわる論文を読む機会があったので、
紹介させて頂きます。

日本人は健康志向が強いためか、ヨーグルトのような乳製品だけでなく、
お菓子などの趣向品にも乳酸菌を入れた商品が多く見られます。
ヒトの腸内には100兆を超える腸内細菌が生息しており、細菌たちは様々な
役割をしています。
よく耳にするビフィズス菌は、CMでも宣伝されているように整腸作用、
免疫防御などを示すことが知られており、健康な身体作りのために重要な
役割を発揮します。

今回紹介する論文は、乳児におけるビフィズス菌の役割を報告したもので、
2021年に掲載されたものになります。

論文概要

「ビフィズス菌」はBifidobacteriumに属する細菌のことを指し、
Bifidobacteriumには様々な菌種が存在します。
論文では乳児の腸管に生息するビフィズス菌(乳児型Bifidobacterium)の
機能を調査しています。

腸内細菌はアミノ酸を代謝することで免疫制御機能を有する物質に変換します。研究では乳児の糞便には乳児型Bifidobacteriumが高い割合で存在しており、乳児型Bifidobacterium存在量とアミノ酸の一種であるトリプトファンの代謝物であるインドール―3―乳酸(indole3-lactic acid; ILA)の濃度が強く相関していることが示されています。
このことから乳児の腸内にはBifidobacteriumが多く存在しており、腸内の
BifidobacteriumがILAを多く産生していることがわかりました。
また、ILAはT細胞などの免疫細胞に高発現している芳香族炭化水素受容体
(Aryl hydrocarbon receptor; AhR)を介して免疫調節に関わっています。
細胞を用いた試験から、AhRを介したILAの免疫調節作用が示唆されたことが報告されています。これらのことから、乳児型BifidobacteriumがILAを産生することで免疫機能に影響を与え、健康な身体作りに大きく寄与するものと考えられます。


さらっと紹介させて頂きましたが、論文には様々な検証結果が載っています。オープンアクセスですので、気になった方はチェックしてみることをお勧めします。
余談ですが、私も何となく身体に良さそうということで、ビフィズス菌入りのサプリメントを飲んでいます。不思議とビフィズス菌の役割を知ったおかげか、全く同じサプリなのに前より健康になれた気がします!!

参考文献

Bifidobacterium species associated with breastfeeding produce aromatic lactic acids in the infant gut

Martin F. Laursen , Mikiyasu Sakanaka, Nicole von Burg, Urs Mörbe, Daniel Andersen, Janne Marie Moll , Ceyda T. Pekmez, Aymeric Rivollier, Kim F. Michaelsen, Christian Mølgaard, Mads Vendelbo Lind, Lars O. Dragsted, Takane Katayama, Henrik L. Frandsen, Anne Marie Vinggaard, Martin I. Bahl , Susanne Brix, William Agace, Tine R. Licht, Henrik M. Roager

Nat. Microbiol. 2021, 6, 1367-1382. 
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