「反逆の申し子、その名は『ロック』」が「ブルおじ」から出てくるのもまた
必然だと思います。
さながら、古臭い伝統に縛られ続けたイギリスに見切りをつけた暴走少年の
アメリカの様な構図です。
今では「ブルース」と「ロック」はほぼ分類がされていますが、
元は「一つ屋根の下」の家族でした。
ロック:「オヤジのやり方じゃ世の中はかわらねぇんだ!」
ブルース:「お前はまだ若い。世の中の事など何一つ知ってもいないくせに」
ロック:「そんなしみったれた歌で世の中知った気でいるオヤジの方が
どうかしてるんだ!俺はそんなヤワなやり方じゃおさまんねぇぞ!
全部ぶっ壊してやるんだ!」
ブルース:「こら!待ちなさい!どこへ行くんだ!ロック!」
ロック:「あばよオヤジ。これからは俺は俺の好きなように生きていくぜ!」
ブルース:「あぁ、ご先祖様。どうか、この放蕩息子をお許し下さいませ。」
みたいな…。
音楽のジャンルを擬人化してみるのも面白いものですね。
でも多分、このやり取りが一番わかりやすいと思います。
荒削りだが、心に突き刺さる「ロック」の「反逆の狼煙」が上がりました。
「ロック」の「初期衝動」の源は「怒り」です。
世の中に対する「怒り」
不条理に対する「怒り」
不平等に対する「怒り」
「ロック」はこの世のありとあらゆるものに対する「怒り」を体現した音楽。
ご先祖様から受け継いだ「リズム」感覚を、
父から受け継いだ「ギター」のフレージングに変え
自らの初期衝動を「バンド」と言う最小単位人数の演奏形態にのせて
「世界」に発信したのでした。
あとはみなさんの知っての通りの事です。
「ロック」は音楽ジャンルの「仲間入り」をはたしたのです。
キリスト教的に言えば「ジャンヌ・ダルク」的なポジションかもしれませんね。
「本当は聖者の行進に加わってほしくないけど、世の中が入れろって言うから
仕方なく…。」みたいな感じです。
だから、前編の冒頭で話した「能」や「歌舞伎」もその時代の「ロック」なんです。
今では「伝統芸能」なんて格式ばってしまっていますが、元々は「ロック」の
生い立ちとほとんど変わりがありません。
昨今の「ロック」もまた、ある意味で音楽ジャンルの中に入ってしまってからは色んな人や評論家が出てきては
「これはロックじゃない!」とか偉そうに言ってますが、元々蛮族の産物なんだから格式もクソもないんです。
「画一化」や「格式化」した時点で「オフィシャル」に変わってしまうんで、
後は「守り」に入るのがどの業界も同じです。
一番最初に始めた者は富や名誉には恵まれないが「伝説」にはなる。
金と名誉が欲しかったら「二番手以降」になれ。
これは私が勝手に作り上げた「ことわざ」です。
現代の音楽や、その他業界も同じ事が言えるんじゃないでしょうか。
今ある常識や、信じられる事をぶち壊して行くから面白いんじゃないのかなって思っています。
基本や基礎はあるに越したことは否定はしませんし、むしろそれを理解しなければ私が言う「ぶち壊す」定義も理解できないと思います。
色々な人の考え方や、価値観が広く否定されずに話し合われる世界を望んでおります。
音屋のkatsu