本当はもっと細かく沢山書こうと思ってるんですが、
アレってあるじゃないですか? ノリ?とかグルーヴって?
でも、ブログもテンポが大事だと思うので私の音楽あるあるを今日も
小話程度に書かせていただければと思います。
さて、甘酸っぱい恋愛も体験した音屋少年でしたが、希望した高校にも受かり
スクールライフを謳歌しようとしていた1年生の2学期始め。
まだあまり話した事がない遠方から通学していたヤツからこんな話が・・・。
「なぁ、お前ってドラム叩けるんだって?」
「ん?あぁ、ある程度はね。」
「そうか〜。・・・んじゃ俺とバンド組まないか?」
この会話がきっかけで音屋少年の人生がある意味で狂い始めます(笑)
(後の数十年後に飲み会で再開した時に号泣謝罪された)
それまで地味で、陰気でゲームばっかりしていたオタク少年が
派手でパーリーピープルの塊みたいな世界に飛び込んでいくのでした。
前回もお話しした通り、時代はバンドブーム絶頂期の最中!
私が組んだバンドは「GLAY」のコピーバンドでした。
実家の新築着工時期と重なり、家の前にある車庫で荷物に紛れながら
ひたすら練習を重ねていきました。まさに「ガレージバンド」
初めてのバンド。
初めてのスタジオ練習。
初めて会う音楽仲間・・・。
そして月日が流れ、いよいよ人生初のライヴハウスでの演奏が来ました!
地元でも有名な老舗のライブハウス。
通路は薄暗く、元々はダンスホールであった場所を簡易に改造した作り。
至る所に落書きやポスターが乱雑に貼られているそこは、
「まるで、ファイナルファイトの1STステージだなこりゃ・・・。」
ライブハウスのマスターはメチャクチャ強面のおじさん。
地元の歌謡曲歌手でレーベルにも所属している傍ら副業的に経営との事。
真っ黒なジャガーを乗り回し、手にはいつも黒皮のセカンドバック。
着ている服はどこで買ってんだよっていう、ヤ○ザ屋さんのような出立。
あまり話さないマスターに挨拶をし、リハーサルに取り掛かります。
「おぅ、わからない事あったら聞けよ。」
「はいっっっっ!夜露死苦お願いします!」
メンバーもライヴは初めてばかりでみんな右も左もわかりません。
※ここからは当時の再現で会話式に書きます。
マスター:「んじゃ、マイクの調整すっからドラム、お前から音出せや。」
私:「へっ?俺ですか?」
マスター:「んだ。ベードラ。ベードラから叩いて。」
私:「ん?べ?ベードラ?・・何?」
マスター:「ベードラだよ!足の!足のベードラ!」
私の心の声:「ん?は?ベード・・あっバスドラムの事ね!」
私の行動:ドンドンどんどん丼丼Donn don Doneど・・・。
マスター:「おい!はえぇよ!もっとゆっくりだね!ゆっくりドンって!」
私:「あ!はい!さーせん!!」
私の行動:・・・・ドンっ!!・・・・・・・・丼っ!!・・・・・・
マスター:「おせーっって!!」
…こんな感じで始まりました。
そして極め付けの事件が起こりました。
マスター:「よし。んじゃ次はタム回して〜。」
※タム…ドラムの正面に見えるトコトコとなるドラムの種類の一つの事
私:「へっ?タム回す?????えっ、どゆ事!?」
バンドメンバー:「いいから!タム回せばいいんだよ!!殺されるぞ!」
私の心の声:「うぉぉぉぉぉ!これでどうじゃーっ!!」
私はそっと立ち上がりバスドラムに連結されているタムの接合部分を
ゆっくりと外し、そこから伸びているパイプを中心に
まるで「でんでん太鼓」のように二つのタムを文字通り回し始めました。
(知ってる人ならわかるけど、ライブのドラムはYAMAHA製だった)
静まり返り真剣な表情で見守るステージのメンバー…。
それを見て唖然としている共演者の他のバンドマン達…。
当のマスターは…
見てないマスターのモニタールームからの声:「あれ?音こねぇぞ?」
…2周。3周、4周とひたすらに飴職人のように回し続ける私。
振り向きステージを目視するマスター。
マスター:「いや!いやいやいやいや!!違うちが〜う!(笑)
タム!叩くの!(笑)回してどうすんのよ!(大爆笑)」
周りからマスターの大爆笑と共に共演者達からも大爆笑の嵐!
そうです。私は本当にタムを「物理的」に回していたんです(笑)
その日のライヴはほとんと覚えていませんがこれだけはしっかりと
私が死ぬまで記憶に残る事でしょう。
ちなみに、この話には「後日談」があるのです。
数年後に同じ高校に後輩ドラム君ができた時の話でした。
後輩君:「この前初めてのライヴやったんすけど、リハーサルの時
マスターが変な事言うんですよ。」
私:「え?何を言ったの?」
後輩君:「音出しの時にタム回しするじゃないですか?そん時に…」
マスター:「はい、んじゃタム回して〜。
って本当に回すんじゃねぇーぞ!(笑)」
※ジェスチャーでクルクル回す様子を伝えてくる
後輩君:「そんなヤツいる訳ないじゃないですよね〜?どんな奴なんすか!」
私:「・・・・・・・・・・ごめん、それ・・・・俺。」
後輩君:「はっ!!!!!!」
それからマスターは新人さんが出演する度に持ち芸の様にこの一件を
伝え続けたそうです。
今ではそのライヴハウスも閉店し、跡地は有料パーキングとなりました。
ありがとうマスター。ありがとうライヴハウス。
本当に色々音楽の基礎勉強や人間関係の修行をさせていただきました。
今日は、ある意味で私は地元の「伝説のドラマー」になったと言う
小話をさせていただきました。
「終劇」
音屋のkatsu