羽田衝突事故でのペットの犠牲をめぐって(2)

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法律・税務・士業全般
こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。

1月5日のブログにおいて、羽田空港衝突事故で、【バルク室】に搭載されていたペット2匹が犠牲になったことに関して言及しました。

まもなくスターフライヤーは、ペットを客室に載せることができる【FLY WITH PET】というサービスを、2024年1月15日から全路線・全便で開始します。

ところで、緊急脱出時には手荷物持ち出しが禁止されています。

客室に搭乗したペットに関して、スターフライヤーは、【ぺットを機内に持ち込む際の遵守事項】として「緊急脱出時にはペットは機内に置いて行かなくてはなりません」という旨の事項を定めており、飼主に対して搭乗前の同意を求めています。

航空会社は、「運航規程」を定めて審査を受け、国土交通大臣の認可を受けなければ、旅客事業を行なうことはできません。

緊急脱出時の手荷物持ち出し禁止については、【航空法】や【航空法施行規則】・【航空法施行令】では規定されておらず、国土交通省が公表している【運航規程審査要領】に定められています。
【運航規程審査要領】は、航空会社が定める「運航規程」の審査基準となるものです。

国土交通省が【運航規程審査要領】において「緊急脱出時の手荷物持ち出し禁止」を定めているために、スターフライヤーはペットは手荷物に該当すると判断し、「緊急脱出時にはペットは機内に置いて行かなくてはなりません」という旨の遵守事項を設け、国土交通大臣の認可を受けたものと考えられます。

確かに、ペットをケージに入れたまま持ち出すのであれば、手荷物持ち出し禁止に該当することになるでしょう。
しかし、ケージから出したペットを抱いて脱出する場合、そのペットは「手荷物」に該当するのでしょうか。

ちなみに、人間の赤ん坊が搭乗している場合、緊急脱出時には、親は赤ん坊を抱いて脱出することができ、赤ん坊を抱いた状態で緊急脱出シューターを滑り降りることができます。

ケージから出したペットを抱いて脱出するのであれば、赤ん坊を抱いて脱出する場合と扱いを異にする理由はないと考えられます。

今回の羽田衝突事故を受けて、日本の航空会社においても、ペットも客席に同乗できるように改めてほしいとの声が湧き上がっています。
その先陣を切ってペット同乗サービスを始めるのが、スターフライヤーということになるでしょう。

しかし、緊急脱出時にはペットを見捨てて脱出せざるを得ないのであれば、ペット同乗サービスの利用者が低迷したままになる公算が大きいのではないでしょうか。

国土交通省の【運航規程審査要領】において定められているのは、あくまでも「緊急脱出時の手荷物持ち出し禁止」であって、「緊急脱出時のペット帯同禁止」ではありません。

この点、国土交通省との協議・交渉が必要になるかとは思いますが、【ぺットを機内に持ち込む際の遵守事項】を、「緊急脱出時にはペットをケージから出して、ペットを抱いて脱出することができます」と改正されることを、スターフライヤーに期待します。


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