例えば貴方が現在のお住まいから「引っ越すから」と解約通知を期日までにきちんと出したとします。
そうすると受け取った管理会社+家主さんは粛々と処理してくれますよね。
何故かというとそういう契約だからです。
「契約の解除をする際は30日前に書面で通知をしてください」
そんな契約書に書いてある文言に従うだけです。
ところが、同じく移転しようと「管理会社にどうやって解約すればいいか?」と尋ねてみたら、こんな異常な対応をされたとします。
解約の連絡を受け取った管理会社がびっくりして「まぁまぁまぁ」と貴方の所にやって来ます。
そして
「一体引っ越すってどういうことですか?」
「折角何年も済んでいるのですから勿体ないですよ」
「また新たなご近所づきあいをするのも疲れるじゃないですか」
そう何度も何度もやってくる管理会社と移転の面談。
管理会社も解約者が出たら評価が下がるのでしょうか?
必死で移転の慰留をはかってきます。
そこで貴方も埒が明かないと
「もう行先も決まっているのです!手付も払ったんです!お願いします!」
とやや強く管理会社に言ったらやっと、
「では家主に伝えます」と、しぶしぶ納得してくれました。
ですが、今度は家主と面談です。
家主は「今すぐこちらにこい!」と貴方を呼びつけて、
こんなことを言ってきます。
「何が気に入らないんだ?」
「どこに引っ越すんだ?」
「そこは治安が悪いぞ。」
「家賃は幾らなんだ?」
「みんなここで頑張っているんだぞ?」
「これじゃ裏切り者じゃないか?」
と家主が強硬的な慰留工作。
まるで引っ越すことが悪であるという言われ方です。
「移転先も決まっているし入居日も決まっている。手付も払っているから!」
と、半泣きで伝えて、やっと折れてくれました。
さて、これって異常事態じゃないですか?
賃貸の契約書通りに進めて行ったらこのような仕打ちを受けるのは恐ろしい。
好きな所に住めるという権利を蹂躙してくるなんて異常事態です。
恐らく、上記のようなお話は聞いたこともないと思います。
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ですが、同じ契約でも「雇用契約」では、
上記の様な事がよくある話なんです。
通常の雇用契約では無期雇用の場合は大体
「30日前に退職の申し出をして下さい」となっているとこが殆どです。
一度ご自身の会社のも読み返してください。
尚、会社の雇用契約よりも効力が上である法律(627条の1項)では
2週間前に通知すれば出社しなくても良いとまであります。
ですので、仮に会社の契約で「1年前に退職の通知をせねば認めません」といった異常な状態でしたら民法を優先して退職は出来るでしょう。
もっとも1年は聞いたことはないですけど。
(年俸制や契約社員の場合は3か月となっている事が有ります)
勿論、民法が2週間前だからといっていきなり退職届を内容証明で突き付けて出社しないというのはいただけません。
これは最後の手段です。
先ずは直属の上司に相談して退職届ではなく、退職願で円満に持って行くほうが良いでしょう。
大抵の方はそう思って退職する2か月前、人によってはもっと前から退職の交渉を始めているのです。
にもかかわらず、一部の企業は上記の様な異常行動(強硬的な慰留工作)をするわけなのですよ。
ほんとにね。職業選択の自由って知らないのですかね。
まったく。異常ですね。