もしも、あなたが自動車等を売買・譲渡してその手続きを依頼したいとき、何と言って頼みますか?
おそらく「名義の変更をお願いしたいんですけど。」というでしょう。
しかし、実はこう言われてしまうと、私は若干困ってしまいます。
というのも、ただ「名義の変更をしたい」と言われただけでは、それがいわゆる「移転」を指すのか「変更」を指すのかが分からないからです。(役所は大体「移転」を前提に話を進めます。)
「移転」とは、所有権等が移転することを意味します。
例えば、AさんがBさんに自動車を贈与した場合、所有権はAさんからBさんに移ります。
この場合には、原則、AさんとBさんそれぞれに申請に必要な書類を用意してもらう必要があります。
一方「変更」とは、「移転」と異なり、所有権者は変わりません。
例えば、Aさんが婚姻によって氏名が変わった場合等が挙げられます。
この場合の登録等は、Aさんのみが申請人となります。
したがって、「変更」は「移転」と比べて容易に申請することができます。
持ち主がAさんからBさん(別人)へと変わること。
持ち主がAさんからCさん(氏名の変わった同一人物)へと変わること。
これってどちらとも「名義の変更」と言えませんか?
「同じようなことだろう。」と思われても仕方ないことだと思いますが、これらは明確に異なる手続きであるため、登記や自動車の手続き等をする場合には、添付資料や手数料の内容も全く異なります。
そのため、依頼の詳細を伺うまでは実費を含めた正確な見積りが出すことができないのです。
個人的な意見ではありますが、依頼の際に「移転」か「変更」かが分かるように依頼に至るまでの経緯を説明してもらえると、「あ、この人分かっている人だな。」と思って安心できます。その後の話もスムーズに進むでしょう。
これに限らず、そもそも依頼を出す段階で依頼の内容が既に誤っているケースはさほど珍しいことではないため、くどいようですが、依頼者様から依頼に至るまでの経緯を確認することはとても大事なことなのです。(自分にも言い聞かせています)
最後までお読みいただきありがとうございます。