先日「住宅会社から提案された資金計画書を、おかしいところが無いか見て欲しい…」と相談を受けました。
「資金計画」に期待することって、どういう項目にどれくらい費用が掛かってるとか、住宅ローンの返済がいくらだとか、それだけじゃないんです。
住宅ローンの基本的なことくらい、金融機関の担当者が説明してくれます。
でも、例えば、いくらその銀行の住宅ローンの特徴とか、金利プランとかだけを説明されても、それで住宅の商品を選んだり、借入額を決めることってできないですよね?
住宅会社、不動産会社の営業マン、金融機関の担当者、保険会社のファイナンシャルプランナーetc…
それぞれ分野が違うバラバラな話なんですけど、本当に必要なのは「将来を考えてトータルで検討する」ことなんです。
本当の「資金計画」とは?…
家を建てる時、資金計画書に決められたフォーマットはなくて、住宅会社、不動産会社、金融機関がそれぞれの会社で用意したものを使って提案しています。
でも、家を建てるための大きなお金に関する計画に対して、ほんとにそれぞれの業者が作った資金計画書が「家を建てる人のことを考えた内容」になってるんでしょうか?…
現実は、住宅会社、不動産会社や金融機関の立場から「こうあって欲しい」と作られた資金計画書で、家を建てる人に提案してるケースが多いでしょう。
家を建てて欲しい…土地を買って欲しい…借入をして欲しい…営業活動でそう考えるのは普通ですので、当たり前と言えば当たり前ですが…
一般的に資金計画書は、家族構成とか、収入とか、勤務先とか、「今」の情報をもとに作ります。
それぞれの家庭の個別な事情を、ある程度考慮した「瞬間的」な計画は立てられます。
でも、買う側が理解しておいた方がいいのは、将来の予定等=ライフステージに関することは、1枚の資金計画書の中には考えて作られてはいないんです。
本当は家を買う人は、自分の家族にとって、今だけじゃなくて将来にわたってよりベターな計画をたてることが重要なんです。
転職するかもしれない、家族が増えるかもしれない、子供が県外の大学へ進学するかもしれない、親と同居することになるかもしれないetc…
でも普通の人は、資金計画書を作れる知識や経験なんてないですから、提案される「瞬間的」な資金計画書とトークを基に建てちゃうんですよね…
理想を言えば、資金計画、不動産に関する知識、ファイナンシャルプランetc…トータルに適切にサポートできそうな営業マンを見つけることです。
資金計画は「返済計画」を考えなければ意味がない
資金計画は、本来、①何をどれぐらいの費用で購入するか ②そのお金をどうやって調達するか(借入・自己資金・贈与等)③どうやって返済していくか…この3つが大きなポイントです。
でも、住宅会社の資金計画書では「返済計画を立ててない」ものがほとんどでしょう。
「いやいや、月々いくらで返済負担率がどれくらいって、ちゃんと書いてあるけど…」
いや、それは単純にいくら借りたら返済額がいくら…ってだけであって「計画」ではないんです。
いまの「瞬間」だけを見るんじゃなくて「将来」を見据えた計画が必要なんです。
将来を確定させるのは当然難しいですから、これからのライフステージでの資金計画のリスク要因、もしくはプラス要因を整理することが大事なんです。
ライフステージを整理した返済計画を立てることで、いくら返済していけるのか、いくら借りた方がいいのかの妥当性が検討できるんです。
返済計画がないということは、借入金額とか物件の購入額が、自分にとって適正なのかどうか分からないまま借り入れしていることになるんです。
住宅ローンの場合は、基本的に「収入」が審査基準の大きな項目になります。
ですから、住宅会社の営業マンは、借りたい金額が借りれる収入なのかどうかだけ確認すればいい…という考え方なんです。
将来のライフプランなんて予想が難しいですし、言ってしまえば建ててもらえばいい=借りてもらえばいいんで、個別の長期的な返済計画のチェックなんてほとんどしないでしょう。
いま、コロナ禍やウクライナ危機などの影響で、経済環境、雇用環境は大きく変化しています。
コロナ禍で、収入が大きく下がったり、リストラにあったり、勤めていた会社が倒産してしまったり…住宅ローンの返済ができなくなった人が増えてるようです。
ウィルスも自然災害も…想定外の出来事は、個人の力ではどうにもなりません。
でも「もしそうなってしまったら?」…資金的なシミュレーションや備えはできるかもしれません。
経済面で考えても、金利上昇?インフレ?…いろんな返済リスクを、その時にどうやって対応するかも合わせて検討しないといけません。
いろんなリスクがあることを前提に、よりベターに住宅ローンを組んで、その他の貯蓄や資産運用の方法も考える…。
これからは、住宅ローン以外の収入と支出のバランスも考えた、将来を踏まえた「トータルでの資金計画」を立てることが、ますます重要になってるんですね。