「”Oh”フランスin男と女！💜」🎾🚴‍♀️⚔️🏓⛳😎😍

💎男と女は、”往来”であった。

男が女に声をかけるのは、いつだって微妙なものだ。

女は、

きっと「この人、いつもこういうことをやっているんじゃないかしら？」と

思うにきまっている。

男たちは、たいていこれが初めてだという。

いきなり前代未聞の霊感が襲ってきて

今まで、ずっと持ち続けていた臆病さを吹っ飛ばしたかのようだ。

女たちは、条件反射的に「時間がない」と答える。

女も例外ではなく、愚かな反応だ。というのは、

女には、たいしてすることはなかった！

こんなふうに声を掛けられるのを、想像するのは好きだったからだ！

今まで、実際、女は、誰にも話しされたことがなかった。

女は、何度か考えて見たことがある。

「私ってよっぽどふてくされてるか、気のない顔をしているかも....と」

女友達の一人に言われたことがある。

「誰もあんたを呼び止めないのは、いかにも時間に追われている女ですっていうふうに見えるからよ～」

男が見知らぬ女性に近づこうとしたらそれは、なにか甘い言葉をかけるためだ。

こんなセリフをお見舞いするために、女性を呼び止める命知らずの男がいるだろうか？

「どうしてこんな靴が履けるんですか！

貴方の親指は、収容所に入っているようなもんだ。

恥を知りなさい。あなたは、自分の足を痛めつけるスターリンではないですか」だれがこんなことを言えるだろうか？

男は、なぜ、女を呼び止めたのか？

それはたぶんきっと女の身のこなしのせいだった。

なにか新しいもの、ほとんど子供っぽいもの、ラプソディーのようなものを感じたのだった。

女には、何か人の心を動かす性質があって動きが優美だったのだ。

「この人は、週末にジュネーブに一緒に出掛けたくなるタイプの女性だ」

そこで、両手で勇気をつかみ取り男にとってこれは初めてのことだったのだ。

今ここで、この歩道の上で、二人は出会った。

導入話は全く月並みだが、それが引き起こした物事の方は

それほど月並みではないことがあとでわかる。

最初の言葉をもごもご言うと、あとはすぐにすらすらと出てきた。

男の言葉は、ちょっと悲壮だけれどもとても感動的、

つまり、絶望の中に押し出されたものだった。

これがまさに逆説の魔力というものだ。

状況があまりにもよくなかったために、かえって優雅に切り抜けられた。

30秒もすると、男はまんまと女をにっこりさせることができた。

それは、無名の誰かさんが何者かになるためのきっかけだった～。

コーヒーを一杯付き合ってもよいという返事で

女がまったく急いでいないことがわかった。

男はついさっき視界にはいってきたばかりの女と

こうして一緒に時を過ごせるなんて不思議な事だと思った。

男は、もともと往来で女性を眺めるのが好きだった。

良家のお嬢さんたちのあとを追って、アパルトマンの扉まで行ってしまうようなロマンチックな少年だったことすら思い出せる。

メトロでは、これと思う女性を遠くに見つけると、そばに行くために車両を

換えたりもした。

しかし、官能の支配下にあっても、ロマンチックな男には、変わりはなく

女たちの世界は、ただ一人の女に還元できると考えていた。

男は、女に何を飲むかと尋ねた。

何を飲むかで、二人の将来が決まる。

男は考えた。

「デカフェを頼んだら、席を立って出て行ってしまおう！

この種のデートでデカフェを頼んじゃいけない。

フレンドリーな雰囲気がこれほどない飲み物もないからだ。

紅茶もダメだ、出会ったばかりなのに、

もうちょっと退屈で所帯じみた雰囲気が生まれてしまう

日曜の午後、テレビを見ながら過ごすことになるような気がする。

しかも、義理の親のところだったら最悪だ。

そうだ、紅茶は、まさに義理の家の雰囲気だ！

じゃあなんだ？　アルコール？だめ、この時間にそれはいけない。

突然、飲み始める女というのも怖いし、赤のグラスワインだってダメだ」

男は、相手が何を飲むか選ぶのを待ちながら、

こんなふうに、自己流女性第一印象液体分析を続けた。

「他にどんなものが残っているだろうか？

コカ・コーラその他のソーダ類.....！

だめだ、ありえない　ぜんぜん女性的じゃない！

どうしてもっていうなら、ストローもいっしょに頼まなきゃね！

と、こう考えた末、ジュースがいいと男は思った。

そうだ、ジュースだ、これはいい！

フレンドリーな雰囲気があるし、挑発的でもない。

優しくてバランスの取れた女の子という感じがする。

だが、何のジュース？

あんまりありきたりなのは、避けた方がいいな！

リンゴジュースとオレンジジュースはやめておこう！

もうほんのちょっとオリジナルで、エキセントリックにならないもの

パパイアとかグアヴァはちょっと怖い！

そうじゃなくて一番いいのは、その中間を選ぶことだ。

アプリコットのような、ほら、それだ！

アプリコット・ジュース、完璧だ！

女がアプリコット・ジュースを選んだら結婚するぞ！と男は思った。

まさにその時、深い思いから、我に返ったように

女は、メニューから顔を上げた！

「私、ジュースにするわ....」

「....？」

「アプリコット・ジュース、そうする」

男は女を見つめた。

まるで、夢を現実にして、またとでも言うように！！

女がこの見知らぬ男とお茶するのを承知したのは、

男に惹かれたからだった。

すぐに女は、この見え透いた目的とぎこちないアプローチが混じり合った。

ピエール・リシャールとマーロン・ブランドの間で迷っているような

態度が好きになった。

外見のことを言うなら、男には、斜視（しゃし）、ごくごく軽く

しかし、目に見える程度の斜視があって

それは女が男にあるといいと思っているものだった。

そう、この男にそれがあるのには、びっくりした。

名前も好きだった。エレガントで落ち着いていて....！

男は、もうすっかりリラックスして、話していた。

二人の間には、言葉が途切れることなく、気まずさも緊張もなかった。

10分もすると、道で声をかけ、かけられたという最初のシーンは忘れてしまった。二人は、もっと前に出会っていて、デートで会っているような気がした。

それは、目も眩む（くらむ）ような自然さだった。

以前のすべてのデートが馬鹿らしく思えてきた。

二人がお互いのために存在しているというのは、ほとんど笑えるほどだった。

女はもう見知らぬ男ではなくなったこの男を見ていると

男を他の誰からも区別できなくしていたモヤのようなものは

いつの間にか女の目からは消えていた。

理屈抜きでいい意味で二人は永遠に一緒にいなければならない

一心胴体、心と体の一部という存在になった。

女は、目的もなく歩くような女ではなかった。

文学はそこにいまや、二人の間にあった。そう、まさにそうだ！

男は仕事をしていた。女は大学生。

男は、パズルが何よりも好きだった。

女は、男が熱中しているのを邪魔しないようにおとなしくすることにした。

何百ものピースを使って入念に組み立てられた。

そう今や、こう書いてあるのが読めた。

「僕の妻になってくれますか⁈」

二人は結婚をした。

とある日曜日。

男は、ジョギングをし、女は、読書をする。

女は、男を目にするのはこれが最後だと女にはわかるはずもなかった。

男はジョギングに出かけ、女は寝入った。

目が覚めたとき、寝る前と全く同じシチュエーションだった。

そう、みんな同じだった。

こうして同じ世界に戻っていこうとする間に電話が鳴った。

女は、受話器を取った。

1秒後、人生はもう同じものではなかった。

本能的に本にしおりを挟んで急いで外へ出た。

病院のホールについた。

何を言ったらよいのか、何をしたらよいのかわからなかった。

動けずにいた。

受付でどこで夫に会えるのか？

見つけた夫は、横たわっていた。身動き一つせず！

眠っているみたいだと女は思った。

「可能性は？」と女は医師に尋ねた。

「わずかです」

「わずかって何ですか？」

わずかっていうのはまったくないってことですか？」

「だったら全くないって言ってください」

「そんなことは言えません、奥さん、わずかな可能性はどうなるかわからないので」

「いいえ、あなたは、わかっているんです。

わかるのがあなたの仕事でしょう！」

女は言葉を力の限り叫んだ、何回も。それから口をつぐんだ。

そして、医師をまじまじと見つめた。

医師もまた、ぼうぜんとして動けなくなっていた。

女は、放心して、ふらふら夫の方に進み出て、そして、崩れ落ちた。

こんなことはありえない。

そう絶えず繰り返し、幻を追うように祈った。

夫は、昏睡状態と説明された。

女は目にしたのだ、ピクリともしない夫を！

精神安定剤をもられた。女は、気を失う寸前だった。

目覚める可能性を信じる人間はいなかったのだ。

女は家に戻り、薬を飲んでベットにもぐりこんだ。眠りに着いた。

何日かして夫は死んだ。

夫は、土に埋められて、それで終わりだった。

夫は、ジョギング中に車にひかれたのだ。

女は会社勤めをしていた。

夫が死んで3か月だった。

それはあまりにも短い。

まだ少しもよくなっているとは感じていなかった。

友人たちは、仕事をまた始めるように勧めた。

流されてはだめだといった。何かをしているようにと....!

そんなことをして何も変わらないと、女にはわかっていた。

人生は流されることで成り立っている。

女は、軽さをもう一度手にしたいと思った。

それがどれほど耐え難いものであろうと～！

女は前触れなしに出社することにした。

女のエネルギーにみな驚いた。

女はもう弱さの影も見せなかったので、同僚たちは身に起こったことも

忘れ始めた。

夫は、他人にとって過去のものになり、女にとっても過去のものになりうるのかもしれなかった。

そして、同僚との繋がり！

女は言う「わかっているのは、一緒にいて楽しいってこと

貴方は素朴だし思いやりがあるし、私に気をつかってくれるし

そして、いまの私には、それが必要だってことがわかったの！そういうこと！」

男がいう「それだけ？」

女が言う「それだけでもたいしたものじゃない！」

女は、家で男からの電話を待った。

そんなことをするのはずいぶん久しぶりだった。

女は眠れず少し酒を飲んだ。それから音楽をかけた。

夫と聞くのが好きだった曲だ。

最後まで聞くことができたのには、びっくりした。

恋愛は進行中となった。

男と過ごす時間は一瞬一瞬が非凡なのだった。

あんな経験をした後で、どうしてもう一度、恋の魔法にかかることがあるなどと想像できただろう。

この男は、何か他人にないものを持っているのだ。

女は頭をコクンとさせて「ええ」（ウィ）といった。

女は変わった。二人のうわさが会社中に広がった。

夫のアドバイスを思い出した。

それは、夫がいなくなって一番つらいことだったかもしれない。

突然プツンと夫と

会話する時間が消えたこと、二人でお互い言う事を話し合い

感想をいいあったりする時間が死んだこと！

女はふたたび、一人断崖の淵にたち弱さが拡がっていくのを感じた。

会社から逃亡をした。

逃亡はひっそりとおこなわなければならない。

女はタクシーを拾い駅に行った。

列車が出発したとき、女は泣き始めた。

祖母の家に向かった。

女は、男にメッセージを送った！

男は女のいる駅に降りた。

二人は、祖母の家に向かった。

祖母「着替えはお持ち？」

女「いいえ、急に出てきたもので！」

祖母「頭の一振りで！」

女「ええ、頭の一振りで.....！」

そして、二人は一夜を共にした。

夜が明け始めていた。

二人で散歩へ......！！！💜