憧れの航路

記事
デザイン・イラスト
船に乗りたい。船に乗って世界を旅してみたい。
そんな夢がある。
言い出しっぺは落花生農家の加代ちゃんだ。
「私は24歳でお嫁に来て 以来40年間 日曜日も祝日もなく働き続けた。
昼間は農作業。夜は家事 家族の世話。
正月だってクリスマスだって普段より忙しいくらいだ。だから
船で世界旅行に行って ゆっくりしてみたい。」
けれど加代ちゃんの夫はそれを聞いて怒った。
「俺が許しても世間がそんなこと許すもんか。非常識すぎる。」
そのあと 彼は加代ちゃんを連れて北海道旅行に行った。
世界旅行が北海道旅行に変わったわけだ。
加代ちゃんはそれでも結構楽しそうだった。
蟹とクッキーをお土産にくれた。
 ところで その話は私の心に小さな種を蒔いた。
航海‥ 荒れ狂う嵐や大波 恐ろしい海賊達 移り変わる空と海の色
カモメ 鯨 いるか ロマンと冒険 ワクワクする。
「シンドバットの冒険」と「マゼランの航海記」を読んでみた。
しかし実際私が行くというのは現実的ではない。
私の夫も嫌がるだろうし 何ヶ月も家を開けるのは
今の状況では無理だ。
私の人生は家族に尽くして終わる。それでいいではないか と思う。
思うけど 思うんだけれど
諦めずに狙い続ければ いつか機会を捉えられるのではないか と
実はひっそりと思っている。





サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す