この仕事「向いてないとわかった」が消化された摂食障害の社会復帰。

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深刻な人材不足は2024年の宅配業界に限らず、様々な業界でも起きていることは、ファミレスの配膳ロボットの普及やコンビニの自動精算機などを見れば一目瞭然です。

新しいものが世の中に現れてきたと思ったら急速に浸透して、今となってはロボットを見ても新しいとも珍しいとも思わない「かわい〜」くらいで私たちは簡便さを受け入れるのはとても得意です。

さて、私が働く特別養護老人ホームでも慢性的な人材不足ですが、ここにきて、慢性的に輪をかけたような人手不足が生じてきています。

また、入居者様に食事を作って出してくれる委託給食会社さんも同様に、慢性的な人材不足に輪をかけるように人材不足が生じてきています。

介護ロボット導入まではまだ時間がかかるようですね。
調理師の代わりは既製品を温めて提供するだけになるでしょうね(実際、食材から作る作業を省いた「クックチル」を導入している施設も増えています。)

この人手不足の打開策の1つとして、
摂食障害や心の病気で働けない人、障害を持つ人を就労までサポートする事業が注目を集めてきているようですが、

私も20代の若い頃、働けない時がありました。


東京リベンジャーズばりの本物のヤンキーがウロウロしていた底辺の高校を卒業するときには、母親と同じ看護師になろうと思っていましたが、当然のことながら私のアタマでは無理でした。

働きながら准看護師の資格を取ることも考えましたが、准看護師上がりでその後苦労して正看護師となった母親の強い勧めもあり、正看護師の学校を目指すために予備校に通うことにしました。

1年後、県立の専門学校に入学することができましたが、あと1年で卒業という3年生になった時に中退しました。

理解してもらえる人がいるかわかりませんが、「向いてないとわかった」「人のお世話が嫌だとわかった」この一言が中退した理由でした。

就職する時にもどんな時だって印象が悪い理由で、面接なんかでは作り話をすることになるんてすけど、
「向いてないとわかった」そのことを続けることが不毛でしかないと理解できる人には通じるのでしょうけど、
一般的にいったら「根性なし」だなぁと思いますものね。

「続けることに意味がある」とか「続けていれば見えてくるものがある」なんて押し付けてくるような人には理解できないと思います。

「向いてないとわかった」ことを「続けられない人」と、
「向いてないとわかった」ことでも「続けられる人」と、
「向いてないとわかった」とか「向いている」とか「感じない人」とがいて、

「向いてないとわかった」ことを「続けられない人」には、
それを「続けること」は死にながら生きることと同じです。
不毛なので。ひたすらエネルギーを消耗するだけで得るものがゼロなので。

それでも当時、その不毛だということを確信持って発言することはできず、
不毛だと分かって中退しても、看護学校を辞めたことは、当時私の中で大きな大きな後悔でした。

県立とはいえ、親にも負担をかけてしまったこと、期待を裏切ってしまったこと、
けれども、それ以上に自分を苦しめたのは、宙ぶらりんの無所属の自分でした。

先がない。勢いで学校を辞めても夢も希望も何も持っていない。
そんな宙ぶらりんの無所属の自分を痛めつけるように、過食症は酷くなりました。毎日毎日食べては吐いていました。

食費だけを潰し実入りがない自分はこの家にいてはいけないと、ぷらぷらと不動産会社を連日回っていた時期もありました。

働けませんでした。

アルバイトでも、働くことが怖かったのです。

まるで自分に自信がありませんでした。

看護学校を辞めて空っぽで何も無い自分、何も続けられない自分、過食嘔吐ばかりしている自分、
全てが自分という人間を責めているように感じていました。

自分にまるで自信がないと、社会は脅威でした。痩せている身体を持っていても、当時は脅威でした。

過食嘔吐が止まらなくて、何とか過食嘔吐を辞めたいとクリニックに通ったり自助グループに通ったりしながら、かれこれ1年弱の間、親に食べさせてもらっていたと思います。21歳くらいの時でした。

けれども、
やっぱり時間って流れているんですよね。
タイミングがくれば動くんです。

このままじゃダメだと思えた時がきました。何かできることからしないとダメだと思いました

1日だけの単発バイトをしました。
行動できる時は、本気なんですよね。

スーパーのお酒売り場でビールの試飲販売をするバイトです。
今でも覚えています。声を張ってめっちゃ頑張ったので笑

間隔開けて3回くらい単発バイトしたと思います。
これが、この3回くらいが自信につながったんですね。

この後、某有名洋菓子店のケーキ売り場で週4日のアルバイトを、2年近く続けることができました。少額ですが家にも食費を収めることができましたし、
このバイトで貯めたお金で、後に県立の栄養短大に通うことができ、栄養士免許を取得することができました。

当時抱いていた看護学校中退という負い目も、
「向いてないとわかった」という自分の気持ちも、完全にとは言えないけど、ここである程度消化されたような気持ちになりました。

(1年弱も仕事せず家で食べて吐いている娘を、よくぞ親は放っておいてくれたなと感謝しています)

働けない時があっても、宙ぶらりんで身動きできない時があっても、焦ることないと摂食障害の人には伝えたいです。

自分のペースでちょっとずつ社会と向き合えばいいわけです。

今は、SNSでも社会とのつながりのように捉えられていると感じますが、
これって何度か考えていますが、難しい問題ですよね。
バーチャルはつながる広がると考えることもできるけど、リアルからの逃げ場とも考えられるためです。
逃げ場として同じような悩みを抱いている人と出会うと安心するとともに、相手が倍加した悩みを抱えていた場合、それに引っ張られる危険があります。

SNSで共感してもらえる相手を見つけることも、場合によっては必要なことかもしれないけど、
社会復帰を本気で早期に考えている人は、社会復帰事業を利用してみるのも、社会とつながる訓練の場として良いのかもしれません。

今回も読んで頂きありがとうございました。

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