年をとる不安はあるけど・・・「身体が衰える」というのは絶好の「欲払い」

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コラム
「自分の身体をあと何年動かしていかなければいけないのか」

そんなことを考えたことのある方は
少ないだろうと思います。

私は特別養護老人ホームの管理栄養士なので、
嚥下機能が低下したご入居者様、
食事介助を必要とするご入居者様と日々接しており、
仕事として、一個人としての両面から、
「思うようにコントロールできなくなってくる身体」について考えることがあります。


私は40代なので、
ここが平均的な人生の半分辺りだと考えると、
何だかんだとあったとしても、
あと40年ほどは生きる計算になります。

私は100歳まで生きてみたいとか、
長生きしたいとか
全くもって思っていないので、
そこまで生きたくないし、
私の身体では長く生きられないだろうと思っています。

けれども、
何か大きな出来事に見舞われて、
「あ~これはもう完全に死んだわ」
と思って目が覚めて
目の前にご先祖様が出迎えてくれると思ったのに、
目の前に見えたのは病室の天井だった
という感じで、

「生かされてしまう」のが今現代なので、
長生きしてしまう覚悟は必要だと思っています。


おぎゃーと生まれて
保護者のもとで誰かに守られながら、
気が付けば小学生になっていて、
将来や未来を描くのは自立への準備で、
その準備を経て一人前の社会人となって、
愛する人と結婚して子どもが生まれ
誰かを守るような立場になって、
子育ても仕事も頑張る日々が過ぎ、
いつの間にか目の前にいる子どもは自分の背丈を超え、
無事に成人を迎えた


ここが

人生の半分で
ゴールまでの中間地点で
ここまで来た40年ほどの歳月をもう一度なんて、

ちょっと時間把握ができない、
まさに未知の時間経過だなと感じます。


時間が経過すれば当然年をとります。

年をとる
老いる
高齢になる

この何が一般的に嫌がられ、不安になるって、
「全てが衰えるから」ですよね。


シワが増えるし
全身が重力の思いのままに下がり
意識しないと猫背になるし
脂っこいものを食べると胃もたれするようになって
話が良く聞き取れなくて聞き返すことが増えて
全力で走ろうにも足がついていかなくなって
確実に疲れやすくなってくる

人生の中間地点にきても、中間地点を越えても、
例えば20代の身体を持ち合わせていけるのなら、
年をとることは嫌ではないだろうし、不安でもないでしょう。

「年をとるっていやだわ〜」って
「衰えることがいやだわ〜」ってことなんですもんね。


自分が高齢者となった姿なんてリアルには想像できません。
でもそれは、

20代の頃に40代の自分が想像できなかった事と同じことで、

未来は未知の時間なので、
予想はできても、
なかなかリアルには想像できないのが
当たり前といえば、当たり前になるのでしょう。


生あるものはいずれ衰えるので
それに抵抗することなどできず、
受け入れるよりないのですが、

衰えることの受け入れ方として、
「自分の人生を締め括るためのステージ」
だと考えるといいのかなと感じてきています。


身体が元気だと動けてしまうので「欲」が出てきます。


自分が本来望まないことも強気で挑み、
無茶や無理ができてしまいます。

「欲」とは上手に付き合っていかないと、
自分の本来の目的
「こうしたいという思い」「こう在りたいという願い」を歪ませることになり得ます。


社会で生きることは欲がつきまといます。

「財産が多ければ勝者」
「肩書があれば勝者」
「有名企業に勤めれば勝者」
「痩せて美しければ勝者」

誰だって1度は自分をよく見せたくて
背伸びして、他人と合わせようと頑張って、
自分の価値観とは異なる、
作り上げられた価値観に惑わされたことはあるでしょう。


けど、それでは自分が満足しませんよね。
一瞬満たされても、
どこか違う、どこか満足できない自分が必ず顔を出す時がきます。


本当の勝者は
「自分の価値観のままに生きることができた人」
だと思っています。

自分の持つ価値観、
その裏付けとなる哲学にたどり着くためには、
「欲」って邪魔になるんですよね。

「欲」の主張を抑えるためには、
フットワークが軽くない方が都合良く、
多少の諦め、悟り、振り返り、
そんなことの作業に向かうことが、
自分の哲学にたどり着くことに、見合うのかなと感じます。

そう考えると、
「身体が衰える」というのは絶好の「欲払い」で、

自分の人生どうだった?と
自分の人生を締め括るため、
自分の持つ哲学と向き合う時期に相応しいと思えます。


年をとるのは不安です。
「思うようにコントロールできなくなってくる身体」であっても、
それは自分の身体であるから放棄することはできないし、
今までできていたことが、できなくなるのは
ひどく自尊心が傷付きます。

年をとることがマイナスばかりに感じることは、
私個人どうしても拭えません。

けれども、
衰えながらも生き続けることに、
意味を見出していくことが、
人間らしい在り方なんだろうとも感じています。

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