古代エジプトでは、ピラミッドの建設時に王の体の一部を基準とした単位が使われていました。
例えば、王のひじから中指の長さを1キュービットとしています。
このような方法は、地域や時代によって異なり、曖昧で一貫性がありませんでした。
また、インドやチベットなど、特定の条件や状況に基づくユニークな単位も存在しました。
インドでは牛の声が聞こえなくなる距離を表す単位があり、チベットではお茶の温度が飲み頃に冷めるまでに走れる距離を基準にした単位が用いられていました。
18世紀に入ると、産業革命の進展に伴い、物や金の移動が広範囲に及ぶようになりました。
この時期、国ごとに異なる曖昧な単位では不都合が生じ、共通の単位の必要性が高まりました。
フランスの外交官タレーランが制定したメートル法は、地球の赤道から北極までの子午線の長さの1000万分の1を1メートルと定め、地球を基準にした普遍的な単位として多くの国々に受け入れられました。
このメートル法は、国際的なメートル条約の下で定義が統一され、日本も1885年に加盟しました。
しかし、メートルの長さを具体化する原器が必要であり、白金で作られたメートル原器がメートル条約加盟国に配布されました。
この原器は、さまざまな倍数の単位(キロメートル、メガメートル、ミリメートル、マイクロメートルなど)を基準として設定する基盤となりました。
科学の進歩とともに、メートル原器の代わりとして「クリプトン86原子の橙色の光の波長」が選ばれ、メートルの定義が1983年に変更されました。
この新しい定義は、光の速さを基準として高精度の測定が可能となりました。
現代の測量の現場では、光波を利用した測量機器が一般的に使用されています。
トータルステーションなどの機器は、反射光の時間を計測することで非常に高精度な距離測定が可能となっています。
以上のように、長さの単位は歴史を通じて進化し、科学の進歩と共により精度の高い測定方法が開発されてきました。